うららかに晴れた秋の日、左岸にあるパリのランドマーク、エッフェル塔を仰ぎながら、歩くこと約15分。
目の前に広がる緑あふれる敷地内にこつ然と現れるドーム型のモニュメント。
煌びやかな装飾を施され、なんとも優美な景観。
圧倒的な存在感を放ってそそり立つこの建造物は?!
これこそが17世紀に建立されたパリの名高い名所「Hôtel des Invalides」のサン・ルイ教会。
通称 アンヴァリッド(陸軍博物館)
この地下には、かの有名なナポレオン1世が眠っています。
この敷地内に優雅に佇むのが
「Jardin de l’intendant」
ジョルダン デ ランタンダン庭園。
都会のど真ん中にある古典的なフレンチ式庭園です。
庭園内にはヨーロッパ・イチイ(常緑高木)の円錐形のトピアリーが、一定間隔のもとに整然と並べられてあります。
このトピアリーの起源は、遥か古代ローマまでさかのぼり、古来、西洋庭園の重要な装飾として欠かせないアイコンに。
縦を強調する「直線」と美しい弓なりの「曲線」で形作られる花壇。
これがフランス式庭園の真骨頂、ジオメトリック(幾何学的模様)です。
さらに、東西にまっすぐに伸びる一本の園路。
これは庭園の軸となる”ビスタ”と呼ばれる見通し線。
このラインを中心に左右完全なるシンメトリーに整形されています。
次に、写真下の中央にうっすらと見える大きな丸い輪郭。
これが庭園中心にある高らかに水しぶきを噴き上げる噴水池です。(残念ながら現在は不使用)
何やら楽しそうに語らうカップルが腰を下ろしているところがその噴水の直線部分に当たります。
円と直線、この泉水にもジオメトリックが施されています。
噴水は庭園の中心で大きな存在を示す、まさに庭園の主役。
人の暮らしは泉から、そして街は泉から発展を遂げました。
フレンチ式庭園においては、栄華を示すシンボルとして決して外すせない重要な役割を果たします。
フランス式庭園4つのアイコン
これらすべてを複合し、人工的に造られた庭園ーこれこそがフレンチ式庭園。
空から全貌を確認することができます。
その姿は壮大な彫刻さながらです。
フレンチ式庭園の特徴をしっかり見て頂いたところで、もう少しだけ園内のご案内を続けましょう。
凛とした深緑色のイチイの木と木の間に可愛らしいお花も植えられています。
ともするとややシャープな印象のあった庭園に鮮やかな彩りを添えてくれます。
園路をほどなく歩くとやがてプラタナスの並木に囲まれた広場にたどり着きます。
はらはらと舞い散った落ち葉に埋め尽くされた地面。
木・枝・葉がこの季節ならではの何とも美しい秋色を奏でています。
観光スポットとは思えぬほど、穏やかで、静謐な午後のひととき。
心和む癒し空間です。
今回はパリの由緒ある都会のフレンチ式庭園をご案内致しました。
次回はフレンチ式庭園の王道「ヴェルサイユ宮殿」からリアルレポートをお届け致します。どうぞお楽しみに!