イチジクは食べ物のイメージですよね。そして実がなってる所を想像すると大きな葉と実だけで、花が無いという印象だと思います。漢字でイチジクは「無花果」つまり「花が無い果実」と書くほどです。
しかし、実際には花があるのでこれからご説明いたします。
実際は実の中に花が咲いています。イチジクの果実はその内側に空洞があって、とても小さな花がいくつも咲いています。外から見えてないだけなんです。
ただ普通の花とは違います。花びらがないのです。無花果の実を食べる時にぶつぶつしている部分があると思われますが、あれが花とお思いください。
無花果は受粉によって子孫を増やしません。花が受粉を経ずに実、ひいては種になる、単為結実(たんいけつじつ)なのです。
そのため、別に花が外に出ている必要はないのです。
なぜそのような形になったのでしょうか?その答えはイチジクの進化をひも解けば分かります。
イチジクは元々アラビア半島、小アジア(現在のトルコ)が原産。ヨーロッパとアジアの境目のところで生まれ世界に広まりました。
そのころはイチジクコバチとう呼称の小さな蜂が、イチジクの底部にある小さな穴から入り、内側に産卵していました。
そうすると、孵った幼虫は養分と外敵から身を守れる空間を確保できます。そうして安全に成長できるわけです。
成虫になると、イチジクコバチは花粉をまとって出てきます。そして別のイチジクに自身も産卵します。すると一般的な花のつき方をしなくても、内側に咲かせたまま受粉できるのです。
こうした経緯で現在の花のつき方になっています。
昔はハチに花粉を媒介させていましたが、現在は先述のように単為結実のため、「食べたらハチがいる」なんてことはありませんのでご安心ください。
以上のようにイチジクは美味しいだけでなく面白い歴史を持った植物なのです。
今後食す時には、内側のブツブツを食べる折には「花を食べている」と意識してみてください。