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FIP制度とは?FIT制度との違いを解説します

  • 2020年10月27日
  • エネチェンジ

「FIT制度(フィット制度)」や「FIP制度(フィップ制度)」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。どちらも再生可能エネルギーに関する制度ですが、いったいどのような制度なのでしょうか?2つの制度の内容や違いについて見ていきましょう。

FIT制度に加え、2022年度よりFIP制度がスタートします

日本では、再生可能エネルギーの普及を加速させることを目的として2012年7月1日にFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が始まりました。2022年度よりこのFIT制度に加え、市場連動型となるFIP制度が導入されます。

国は、FIT制度に加え、2022年度より再生可能エネルギー電源を競争電源と地域活用電源に分け、大規模太陽光や風力など競争力のある電源への成長が見込まれるものは競争電源としてFIP制度に移行させます。

FIP制度とは


出典:FIP制度の詳細設計とアグリゲーションビジネスの更なる活性化|資源エネルギー庁

FIP(Feed-in-Premium)制度とは、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額として交付する制度です。FITでは市場取引は免除されていますが、FIPでは市場取引が基本となります。

FIP制度によるプレミアム額は、基準単価(FIP価格)から参照価格(※)を控除した額(プレミアム単価)に再エネ電気供給量を乗じた額を基礎として、一定期間(=交付頻度)ごとに決定されます。

※市場参照期間ごとの市場価格の平均価格を基礎に、対象区分等ごとの季節または時間帯による再生可能エネルギー電気の供給の変動その他の事情を勘定して算定された額。

FIT制度とFIP制度の違いは? 2012年にはじまったFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)では、再生可能エネルギー発電所から作られた電気はすべて電力会社(小売電気事業者)が買い取ります。買い取り価格は国が毎年定め、家庭用の太陽光発電(10kW未満)は10年間、地熱発電は15年間、それ以外の再生可能エネルギーは20年間、同じ価格で買い取ってもらえます。

FIT制度では、再生可能エネルギー発電事業者の初期の参入障壁を引き下げるため、市場取引は免除されています。コスト見合いの「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」による発電収入により、再生可能エネルギー発電事業者の投資インセンティブが確保されます。

FIP制度では、卸電力取引市場にて取引をし、再生可能エネルギーで発電された電力にプレミアム額をプラスすることにより、再生可能エネルギー発電事業者の投資インセンティブが確保されます。

FITの買い取りに使われるお金は、「再エネ発電賦課金」として毎月の電気代に加えて電気を使うすべての利用者から徴収されています。FIT制度により日本の再生可能エネルギーによる発電の普及は拡大してきましたが、「再エネ発電賦課金」は年々高くなり、2019年度の買取費用総額は3.6兆円、再エネ発電賦課金総額は2.4兆円となり国民の負担が増大してきています。FIP制度のプレミアム額も国民負担により賄われますが、FIP制度の開始により、入札による競争がさらに進んでコスト低減が促され、国民負担の抑制につながることが期待されます。

FIP制度の3つの種類

デンマーク・イタリア・ドイツなど、海外ではすでにFIP制度が導入されているところがあります。海外で導入されているFIP制度には、以下の3種類があります。

  • プレミアム「固定型」FIP
  • プレミアム「固定型」FIP(上限・下限つき)
  • プレミアム「変動型」FIP

それぞれのFIP制度の概要、メリット・デメリットは以下のようになります。

FIP制度の種類概要メリットデメリット採用実績のある国
プレミアム固定型FIP電力卸市場価格に固定されたプレミアムを付与。電力需要の大きい時間帯における再エネ供給インセンティブが高まる。卸電力価格の変動に再エネ事業者の利益が大きく左右される。• スペイン(-2007)
プレミアム固定型
FIP(上限・下限付)
市場価格とプレミアムの和に上限と下限を設定したもの。卸電力価格の変動による事業の収益性への影響をある程度低減出来る。適正な上限値、下限値の設定が難しい。• スペイン(2007-13)
• デンマーク
プレミアム変動型FIP電力卸市場価格の上下に応じて、付与するプレミ
アムが変動する。
卸電力価格の変動による収益性への影響を低減出来る。市場価格が低下した場合、賦課金が増大。• イタリア
• ドイツ
• オランダ
• スイス

日本におけるFIPは、プレミアム「固定型」FIPとプレミアム「変動型」FIPの中間の制度が検討されており、プレミアム単価は市場価格の変動に応じて一定期間ごとに変更される方針で検討がすすめられています。

出典:再生可能エネルギーの大量導入時代における政策課題と次世代電力ネットワークの在り方|資源エネルギー庁

FIP制度のメリット、デメリットは?

FIP制度のメリットは、再生可能エネルギー発電事業者が電力需給に応じて変動する市場価格を意識し、市場価格が高いときに売電をすることにより収益が拡大できる点です。

いっぽうデメリットは、再生可能エネルギー発電事業者の卸売市場での売電収入が、時間帯や季節による市場変動に加え、長期の気候変動や長期的な市場価格の下落などにより投資回収の予見性を著しく損なうリスクがある点です。

再生可能エネルギー発電事業者は、市場価格が安い季節に発電施設の定期メンテナンスをしたり蓄電池を活用するなどの工夫をし、市場価格の変動にあわせて売電を行うことで、収益を確保していくことが可能となります。

今後、FIP制度が注目されるポイント

FIP制度により再生可能エネルギー発電事業者が卸電力取引市場へ参入することで、日本が目標とする再生可能エネルギーの主力電源化の早期実現に向けた大きな一歩となります。

現在、日本の再生可能エネルギーの全体の発電量に占める割合は、FIT制度の創設以降2.6%(2011年度)から8.1%(2017年度)に増加(水力を含めると10.4%から16.0%に増加)しました。しかし、他国の再生可能エネルギーの導入状況と比較すると日本はまだまだ低い状況です。

日本の再生可能エネルギーの導入状況(2018年時点)


出典:再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2020年度版|資源エネルギー庁

世界の再生可能エネルギーの導入状況(2017年時点)


出典:第5次エネルギー基本計画|資源エネルギー庁

国は、2030年に再生可能エネルギー比率22~24%を目指すことを目標としており、FIP制度により再生可能エネルギー導入量がさらに高まることが期待されます。

FIP制度の導入により、再生可能エネルギー導入量の拡大へ

2022年度からはじまるFIP制度についてご紹介しました。FIP制度では、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額がプレミアム額として交付されます。

FIP制度について、詳しい制度設計は2020年8月31日にはじまったばかりです。新たな詳細が発表され次第、エネチェンジでもお伝えしていきます。

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