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マグマの熱エネルギーを利用する地熱発電とは?種類や普及しない理由は?

  • 2019年4月15日
  • エネチェンジ

地熱発電は、再生可能エネルギーを有効活用する発電方法として世界中で注目されています。特に日本は火山大国であるため地熱資源も多く、今後の発展が期待できる分野です。

では、地熱発電はどのような仕組みで行われているかご存知でしょうか?

この記事では、地熱発電の仕組みや歴史、メリット・デメリット、今後の展望について解説しています。地熱発電に関する基本的な知識や近年の動向などを知りたい人は必見です!

地熱発電とは

地熱発電とは、地下にあるマグマの熱エネルギーを利用して発電する方法です。

まずは、地熱発電の仕組みや開発の歴史について解説していきます。

地熱発電、どうやって発電するの?

地熱発電のイメージ出典:地熱発電のしくみ|図解でみるエネルギーのしくみ|みるみるわかるEnergy|SBエナジー

地熱発電は、火山や天然の噴気孔、硫気孔、温泉、変質岩などがある「地熱地帯」と呼ばれる地域で行います。地熱地帯には深さ数キロメートルの比較的浅い地点にマグマだまりがあり、その近くには地上から浸透した雨水が加熱され水蒸気となってたまっている地熱貯留層があります。この地下にたまった水蒸気を取り出し、タービンを回して発電するのが地熱発電の仕組みです。

地熱発電の歴史

地熱発電の始まりは、1900年代のヨーロッパ・イタリアからでした。1904年にイタリアのラルデレロ地方で世界初となる地熱発電実験が成功し、その後1942年には総出力12万kWを超える発電所が開発されました。このイタリアの技術を取り入れたニュージーランドやアイスランドなどの国々が、現在世界有数の地熱大国へと成長しています。

一方日本では、1925年に初めて大分県別府市で出力1.12kWの地熱発電に成功しました。その後第二次世界大戦終了後や石油ショック、さらに最近では東日本大震災による深刻なエネルギー危機の度に、国内における再生可能エネルギーの重要性が見直されてきました。その中でも、火山大国である日本では、安定して発電ができる地熱発電への期待は高まりつつあります。
出典:これまでの歴史|地熱発電のあゆみ|独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 地熱資源情報

地熱発電の種類

地熱発電には、大きく分けて3つの種類があります。

フラッシュサイクル

シングルフラッシュ出典:地熱発電について|再生可能エネルギーとは|経済産業省 資源エネルギー庁

フラッシュサイクルは、日本でもっとも多く使用されている方式です。地下から200℃以上の高温の熱水をくみ上げる場合に適しています。地中から取り出した水蒸気を「蒸気」と「熱水」に分離させ、蒸気によってタービンを回し発電します。

このフラッシュサイクル方式には「シングルフラッシュ」と「ダブルフラッシュ」とがあります。ダブルフラッシュでは、シングルフラッシュで分離させた熱水にさらに圧力をかけて蒸気をつくるため、発電量が増加します。

ドライスチーム

ドライスチーム出典:地熱発電について|再生可能エネルギーとは|経済産業省 資源エネルギー庁
ドライスチームは、地中から取り出した水蒸気に熱水がほとんど含まれていない場合に、蒸気と熱水を分離させず、水蒸気をそのままタービンに送り発電する方式です。

バイナリーサイクル

出典:地熱発電|再生可能エネルギーとは|経済産業省 資源エネルギー庁

バイナリーサイクルは、水蒸気の温度が低くタービンを回す力が得られない場合に、沸点の低いアンモニアなどの媒体を加熱することよって、媒体蒸気で発電する仕組みです。既にある温泉熱(水)・温泉井戸等を活用するため、新たな掘削、熱水還元井等は必要ありません。

100度程度の熱水であれば発電が可能なので、まだまだ導入の余地があり、既存の温泉施設に設備を追加することで新たに発電が可能です。環境にも優しく、近年注目されている方式です。

地熱発電の事例

国内の代表的な地熱発電所の事例をいくつか紹介します。

八丁原地熱発電所 所在地:大分県玖珠郡九重町 運転開始年:1967年(昭和42年) 発電方式:フラッシュサイクル(ダブルフラッシュ) 阿蘇くじゅう国立公園や耶馬日田英彦山国定公園の山々に囲まれた温泉地に位置する地熱発電所です。大岳発電所(出力:12,500kW)、八丁原1号機(出力:55,000kW)、八丁原2号機(出力:55,000kW)の3施設が稼働しています。

出典:八丁原・大岳発電所|九州電力 八丈島地熱発電所 所在地:東京都八丈島 運転開始年:1999年(平成11年) 発電方式:フラッシュサイクル(シングルフラッシュ) 東京都八丈島に位置する関東初の地熱発電所です。島の自然環境の保全と地域との共生を考え、現存する林をほとんど残した施設設計を実現しています。この発電所では、島全体で必要な最低電力需要に近い約3,300kWを供給しており、発電時に発生する二酸化炭素の排出を約4割削減することができています。

出典:八丈島地熱発電所|日本の地熱発電所|経済産業省 資源エネルギー庁 九重地熱発電所 所在地:大分県玖珠郡九重町 運転開始年:2003年(平成15年) 発電方式:フラッシュサイクル(シングルフラッシュ) 九重観光ホテルの温泉蒸気を利用した、出力990kW規模の地熱発電設備です。
牧の戸温泉と九重観光ホテルの敷地内で発電された電気は、ホテルやキャンプ場の電力、暖房、給湯、浴場温泉に利用されています。

出典:阿蘇くじゅう国立公園 牧の戸温泉 九重観光ホテル

地熱発電のメリット・デメリット

地熱発電には、メリット・デメリットが存在します。以下でひとつずつ見ていきましょう。

地熱発電のメリット

地熱発電のメリットは、以下の4つになります。

環境負荷が少ない

二酸化炭素などの有害物質をほとんど排出せず、環境負荷が少ない点が最大のメリットです。

資源エネルギー庁の「発電の種類によるライフサイクルのCO2排出量」によると、kWhあたりの二酸化炭素排出量(g・CO2)は石炭火力が975、石油火力が742、太陽光発電は53、風力発電は29、地熱発電は15であり、地熱発電は他の発電方法を比較すると二酸化炭素の排出量が圧倒的に少ないです。

純国産のエネルギーである

地熱発電は、その土地で発生する地熱を活用した発電方法なので、純国産のエネルギーであるといえます。海外からの輸入に頼ることもないので、世界情勢に左右され価格が急激に変動することもありません。

発電量が安定している

太陽光発電や風力発電とは異なり、地熱発電は天候・昼夜を問わず発電量が安定しています。また、地熱発電は地下のマグマの熱を利用するので、エネルギー源が枯渇する心配もありません。環太平洋火山帯に位置している日本は、世界的に見ても豊富な地熱資源を所有しています。まだまだ導入を進めることができるでしょう。

蒸気・熱水の再利用が可能

地熱発電で使用した蒸気と熱水は、再利用が可能です。農業用の温室や魚の養殖場、施設の暖房などに再利用する発電施設も増えています。

地熱発電のデメリット

メリットばかりの地熱発電ですが、デメリットもあります。ひとつずつ見ていきましょう。

発電設備開発に時間とコストがかかる

地熱発電の発電設備をつくるためには、入念な地質調査が必要になります。また、土地ごとに規模や発電方式が異なるため、その土地に合わせた設備開発から工事完了までにかなりの時間とコストを要します。これが、日本で地熱発電がなかなか広まらない1つの要因です。

自然や地域産業を破壊する可能性がある

地熱発電に適しているのは、国立公園や温泉地など自然の景観に恵まれた場所が多いです。自然保護区域に手を加える場合は自然破壊につながる危険性がありますし、温泉資源を活用するとなれば地域の温泉産業・観光産業に影響が出ます。地熱発電施設の設置には、地元関係者との調整や環境との調和をはかる必要があり、計画の進行がとても難しいのです。

騒音や振動の問題がある

地熱発電施設の建設は、生産井や還元井を掘るため大規模な工事となります。ボーイング作業をはじめとするさまざまな作業工程によりかなりの騒音・振動が発生するため、近隣への影響が大変大きく、トラブルの原因になりかねません。

地熱発電の現状と今後の展望

世界の地熱資源量を見てみると、日本はアメリカ、インドネシアに続く第3位に入るポテンシャルがあります。しかし、地熱発電の稼働状況で日本は第10位にまで順位を下げており、地熱エネルギーをうまく利用できていないのが現状です。

しかし、2030年度の再生可能エネルギー普及目標を見据えた補助金支援や、国立・国定公園の一部開放などの動きもあり、今後日本国内の地熱発電設備は増加していく見込みです。

日本地熱協会の「わが国の地熱発電ー現状と課題ー」によると、資源エネルギー庁のJOGMEC助成制度を利用し調査開発中の大規模・中規模案件は、平成30年9月末時点で34か所あり、地熱発電の開発が進んでいる様子がわかります。

また、地下構造の探査精度の向上、掘削費用の低減・期間の短縮化、運転開始後の蒸気量の維持など、開発コストとリスクの低減を実現するための技術開発も進んでいます。

地熱発電について まとめ

火山大国である日本は、世界有数の地熱資源を持つ国です。これから再生可能エネルギーの利用が進むにつれ、地熱発電の重要性もさらに高まってくるでしょう。ぜひこの機会に、消費者としてエネルギーに対する理解を深めておきましょう!

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