小島:
火力発電は蒸気でタービンをまわして発電するという仕組みで、天然ガスや石炭、石油は水蒸気をつくるボイラーの燃料として使われます。電気の需要は季節や時間帯によって変わりますが、ボイラーに入れる燃料の量を調整することで発電量を調整できます。これは火力発電のメリットの一つでもあり、他の発電方法と違い柔軟に発電量のコントロールがしやすいのでとても便利です。
一方で、デメリットは何かというと、まずは燃料となる化石燃料を輸入に頼っていること、そしてCO₂の排出量が他の発電方法に比べて多いということです。
小島:
デメリットの一つである燃料の輸入が多いことについては、石炭と石油は99%以上、天然ガスは97%以上の輸入比率です。
輸入先は、石油は主に中東、天然ガスはアジアやオーストラリア、石炭は東南アジアの他、カナダやアメリカからも輸入しています。なお、ウクライナ侵攻後はロシアからの輸入は絶っています。
小島:
燃料を輸入に頼っているということは、一次エネルギーの自給率が低いということです。食料自給率と同じようにエネルギーにも「自給率」があって、日本は13.3%しかありません。
一番自給率が高いノルウェーでは、主に水力発電で自国に必要なエネルギーを賄っていて、石油などは輸出しているため、非常に高い自給率を誇っています。
小島:
もうひとつのデメリットですが、火力発電は発電時にCO₂を発生させます。CO₂は地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスといわれています。2000年から2022年までの日本のCO₂排出量は、10億トンほどで横ばいになっています。その中でも排出の半分を占めるのが産業部門ですね。
2009年と2020年はリーマンショックとコロナ禍で経済活動が少なくなったことが影響で排出量も他の年に比べて低くなっています。
小島:
CO₂排出量を世界的に見ると、1971年から2021年までの50年間で約2.5倍になっています。50年前から毎年45億トン程度排出し続けているのがアメリカで、2010年以降は中国の排出量が非常に多くなっています。
インドも年々増えていて、今後はインドと中国の割合が増えていくだろうと予想されています。日本は先程申し上げたとおり、10億トン前後を行き来しています。