サイト内
ウェブ

第38回エコ×エネ・カフェ「STOP 地球温暖化!脱炭素社会は世界を救うか~火力発電現場の最前線から~」

  • 2021年12月22日
  • 緑のgoo編集部

ぺちゃくちゃタイム

ここからはブレイクアウトルーム(小部屋)にわかれて、これまでのお話から感じたこと気づいたことを自由に語り合いました。

参加者からは、以下のような意見や感想がありました。

▪CO2削減に対してきちんとやっている企業とやってない企業がわかるように可視化できるといい。

▪この最先端技術が中国やインドの発電所に導入されるとどのくらいのインパクトになるのか知りたい。

▪石炭はCO2のことだけで悪者にされているが、価格などメリットの部分も見てほしい。

▪最新の技術がすばらしいのはわかったが、やはり気持ちとして石炭を使う発電には賛成できない。

▪過激な脱炭素運動もあるが、現場の方がそれをどう思っているのか気になる。

▪石炭への風当たりは強いが、実際日本は電力を石炭に頼っているので頭ごなしに反対するのは現実的ではない。

▪技術はあっても、その技術や取り組みをアピールすることが難しい。

▪「石炭が悪い」というリソースの話だけをしているのでは、地球温暖化対応がもう間に合わないという共通認識が必要だと思う。

▪これからの時代は、大規模発電ではなくて小規模発電を地域につくっていく分散型になるのではと思う。
38ecoene 38ecoene

全体セッション

全体セッションでは、参加者のみなさんとゲストとの対話が質問形式で行われました。

参加者2:
大崎クールジェンの技術を海外にも広めたいと思いますが、技術を海外に輸出することは難しいですか?

相曽:
海外での石炭ガス化の技術開発がうまくいかなかった事例はたくさんありますが、この技術は日本独自で開発してここまで仕上げたものです。CO2排出量の多いアジアに適用することで世界のCO2低減に貢献したいと思っています。国内ではソフト面の技術はJ-POWER、ハードの部分は他社と一緒に展開していく必要があります。海外でもこのように共同で進めていくことで、技術輸出は可能だと考えています。

参加者3:
大崎クールジェンの実証試験では、どれぐらいCO2が出て、どれぐらい回収できているのでしょうか?

相曽:
CO2分離・回収型 IGCC(石炭ガス化複合発電)では、全体のCO2発生量の15%相当で1日あたり410トンのCO2を回収しています。CO2回収効率は90%以上、回収CO2純度は99%以上となっています。

参加者4:
ESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資)の加速によって火力発電所にファイナンスが付きにくい状態ですが、将来的に、IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)商用機の運用や維持はできるのでしょうか?

相曽:
石炭を使うということだけでESG投資にならないと考えるのではなく、あくまでも将来の脱炭素化への投資だという理解をしていただくため、試験の結果や今後のプロジェクトをしっかり説明やPRしていく必要があると思っています。

38ecoene

参加者5:
CO2分離・回収の技術は、他の電力会社で採用している石油での火力発電などにも応用できますか?

相曽:
IGCC(石炭ガス化複合発電)でのCO2回収処理は、3メガパスカル近い高圧で行う様になります。ですから、この高圧下のCO2分離回収処理は、現状、ガス化技術を開発・実証しているJ-POWERなど限られた会社でしか使ってきていません。しかし、ゆくゆくは広く様々な企業に使っていただけるものになればと思っています。

参加者6:
大崎クールジェンの次の段階として、CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)は必須となるのでしょうか?また、IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)は、実用機としては数十万kWクラスの大規模なものになるのでしょうか?それとも、より小型で分散的な運用になるのでしょうか?

相曽:
低炭素化から脱炭素化の段階へ持っていくには、 CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)だけではなく CCUS(二酸化炭素回収・貯留、利用技術)が必要となります。
バイオマスの活用などでCO2を減らすことはできますが、脱炭素化するには、回収したCO2を貯留したり、回収したCO2でメタノールをつくるなど再利用するということが必要となります。
燃料電池の大型化は次のステップになると思いますので、まずはIGCC(石炭ガス化複合発電)と組み合わせながら分散的な使い方になると思っています。将来の究極的な姿としては、燃料電池を大型化して組み合わせることを考えています。

参加者7:
CO2を地中に貯留することで、岩盤が崩落するリスクなどの弊害などはないのでしょうか?

相曽:
もちろん、岩盤の強度チェックなどは事前にしっかり行う必要があります。特に原油のあった場所にCO2を封じ込める場合などは、石油等資源採掘会社がかなり状況を把握しているので、リスクは低くなります。

38ecoene

参加者8:
電力自由化などの流れで、今後ますます再生可能エネルギーに対するニーズが高まると思いますが、再生可能エネルギーについてはどのように計画していますか?
また、火力発電所のアップサイクル計画に対する抗議運動がありますがどのように対応されていますか?

相曽:
石炭ガス化複合発電と再生可能エネルギー、両方活用しながら脱炭素化していくという方向性を考えています。再生可能エネルギーは天候などにより発電量が大きく変動し、不安定になるという課題があります。再生可能エネルギーを拡大普及するためには、不安定な電力量をカバーする調整力として石炭ガス化複合発電等火力発電の活用が不可欠だと考えています。

小林:
アップサイクル計画に反対する方々の中には、アップサイクルが火力発電を延命させてしまうとおっしゃる方もいます。。 私たちとしては、既存の火力発電所にガス化設備を付加して石炭ガス化複合発電をし、またCO2を分離回収して有効利用や貯留することで大気中のCO2を減らすことができることをお話しし、現在の立場は違っても脱炭素を目指すというゴールは一緒だということを丁寧に説明しています。

森:
相曽さんは長年技術の最前線にいて、さらに社長にもなって、考えの違う方や反対される方々に対してどのような対応をしてきましたか?

相曽:
地元の方や議員さんなどたくさんの方とお付き合いをしましたが、やはり現場に行って現物を見ていただくことが重要だと思っています。その上で丁寧に説明すると、とてもよくご理解いただけます。

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

記事の無断転用は禁止です。必ず該当記事のURLをクリックできる状態でリンク掲載ください。