川本:そして今後は高齢化が進み、高齢者が被害者になるだけではなく高齢者の運転する自動車による事故も増えていきます。
森:高齢者が加害者になるケースですね。そう考えると、高齢化社会によって公共交通にシフトせざるを得ないという面もありますね。
川本:高齢化が進むアジアだけを見ても、日本はダントツです。世界に先駆けて高齢化が進んでいるのが日本です。
川本:高齢化はもちろん平均寿命が長いということもありますが、もうひとつの原因は人口が減って少子高齢化になっているということです。そして、公共交通と結びつけて考えると、高齢化社会は実は貧困化社会というデータもあります。年とともに年収が下がるなどがあるからです。
森:年齢別平均年収を見ると、お年寄りが増えると全体的に年収が下がるということですね。
川本:また、1人あたりのGDPと移動距離の関係には非常に強い相関関係があると言われています。経済は雇用と消費ですから、移動が止まったら経済の進歩が止まってしまうということです。
森:移動しないと消費も減り経済も停滞するので、年をとっても移動をすることが大事ということですね。
川本:なのでどんどん移動しましょうということになりますが、そうすると交通事故という問題もあります。高度経済成長期に万単位だった交通事故の死者数は、去年やっと4000人を切りました。
川本:年齢別や移動手段別での比率は以前からあまり変わっていません。交通事故死者数の半分が高齢者で、さらにその7割弱が歩行者・自転車高齢者の歩行者です。さらに、自宅から500m以内を歩いていた人が55%です。車を運転しても加害者になってしまう、家の近くを歩いていても危ないということですね。