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いまさら聞けない地球温暖化〜私たちが直面する現実とは〜
― 第23回エコ×エネ・カフェ(前編)

  • 2016年12月9日
  • 緑のgoo編集部

注目のパリ協定の中身とは?

柳 :パリ協定が昨年(2015年)12月に採択されました。ポイントは3つあります。ひとつは、長期的目標として、産業業革命以前に比べて、2℃より十分低く抑える。あるいは1.5℃にむけて努力するということ。

上野:温暖化の影響を受けやすい島嶼国(とうしょこく)が1.5℃を提案して、交渉の最後の段階で両方入れようとなったんですね。

柳 :二つ目が、5年ごとの、自国の目標の提出です。そして三つ目が、5年ごとの全体総括で世界全体の取り組み状況を、長期目標に照らし合わせて総括をすることになっています。

上野:目標自体は、何年刻みにするかは実は決まっていません。主要な国ではアメリカだけが2025年目標、それ以外の国はほとんど2030年目標を掲げています。2020年の見直しのタイミングで、2030年目標を変更することもありえます。

柳 : 気候変動に対する最初の目標として制定された京都議定書も、第2約束期間で日本は離脱。ほとんどEUだけが参加している状況になり、あまり実効性がないと言われていました。パリ協定は、EU・アメリカ・中国・途上国も頑張ろうということでパリ協定が合意されたことが評価されています。

柳 :京都議定書、カンクン合意、パリ協定の3つを比較してみます。京都議定書は国ごとの削減目標が国際交渉で決定されていましたが(トップダウン)、パリ協定は、自主的に削減量を決定するボトムアップと全体総括を5年ごとにトップダウンで行うハイブリッドなアプローチとなっています。

上野: 2020年以降の各国の目標の一覧がこちらです。



森 : BAU比とはどういう意味ですか?

上野: Business As Usualの略で、これまでのままで、何も対策を取らなかった場合と比べてどれくらい減らすか、という意味で使われます。韓国やメキシコがこの方式を取っています。中国やインドは、GDPあたりの排出量という表現をしています。このように、削減率の数値ばかりではなく、指標の取り方も選べるんです。各国の目標の積み上げを全体で見て2030年やそれ以降の世界の総排出量を予測したのがこちらのグラフです。INDCと書いてあるオレンジ色の線が各国の目標を積み上げて出てくる排出量で、青色の矢印が2℃以内に抑えるための排出量です。積み上げはこの矢印よりも上側にあり、現在掲げられている目標では、まだ削減が足りないと評価されています。

森 :やはり画期的な約束がないと、進んでいかないわけですね。


(上記写真は、COP21の緊迫の最終局面。パリ協定採択の瞬間。)

森 :アメリカと中国が歩み寄ったことで、パリ協定が合意されたとも言われていますね。

上野:オバマ大統領が、退任後にも残る業績として温暖化政策に力を入れてきました。国内では規制を強化し、国際的会合では、議題に必ず気候変動を入れていたそうです。

柳 :それに中国が乗った形ですね。

森 :大統領選挙の結果、アメリカがどう変わるか気になりますね。

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