各界の第一人者をゲストに招き、「エコロジー」と「エネルギー」について気楽にフラットに学び合う、エコ×エネ・カフェが2016年10月24日(月)開催されました。23回目の開催となる今回のテーマは「地球温暖化」です。『私たちが直面する現実とは?』。電力中央研究所/社会経済研究所の主任研究員・上野貴弘さんと、日本エネルギー経済研究所の主任研究員・柳美樹さんにわかりやすく解説いただきました。
○ゲスト
まずは主催のJ-POWER(電源開発株式会社)の藤木専任部長より開催の挨拶。
J-POWER(電源開発株式会社)は、戦後復興と経済成長のため、急速に増えた電力需要に応えるために、国策企業として1952年に設立、2004年に民営化しました。全国に発電所と送電線や変電設備を持ち、日本で消費される電力の約6%を発電し、全国に電気を届けています。1998年に策定した企業理念「エネルギーと環境の共生」の実現を目指して、2007年から「エコ×エネ体験プロジェクト」を社会貢献事業として展開して、今年で10年目を迎えました。エコ×エネ・カフェは、大学生ツアーに参加してくれた皆さんの声にお応えして、「身近なつながりの場」という位置づけで開催しています。私たちの暮らしに欠かすことのできないエコとエネ、双方のバランスがとれた社会のつくり方を、一緒に考えていけたらと思います。
ファシリテーターのBe Nature Schoolの森さん
(以下、敬称略)
森 :お二人はどのような経緯で、地球温暖化をテーマに選んだのですか?
上野:学生時代から気候変動に関心を持ち、2002年から通称COP(コップ)と呼ばれる国際交渉に通算十数回参加してきました。大学では国際関係論を専攻。理科系の学科に入学後、国際関係論を専攻とする文系に転向し、現在、技術研究所の社会科学部門で働いています。
森 :「不確実性が大きい、囚人のジレンマ構造のある問題」に関心があるそうですが、何故ですか?
上野:囚人のジレンマとは「お互いが協力しあう方が、いい結果が得られるとわかっていても、協力しない方が利益を得る可能性がある場合に”相手に任せて、自分はやらない”という選択をしてしまう」というゲーム理論です。温暖化交渉はその典型的なパターンに陥りがちと言われていますが、それをどうしたら解決できるか、研究したいと考えました。
森 :柳さんも、文系と理系両方の経歴を持っているそうですね。
柳 :国際経済学部を卒業、社会理工学研究科で修士号をとって、メーカーで環境規格の仕事をした後、現在の仕事につきました。このほか政府系金融機関への派遣経験があります。