国内初のバイオマスに竹を有効活用するシステム
2019年8月29日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、同社のバイオマスエネルギー導入促進プロジェクトにおいて、バンブーエナジー株式会社が国内初の竹によるORC(オーガニック・ランキン・サイクル)熱電併給設備を備えた熱電併給設備を備えたバイオマスプラントを熊本県南関町のバンブーグループ敷地内に完成させたことを発表した。
今後、試運転を行い、2019年10月より本格的に実証運転を開始する予定だ。
バイオマスエネルギーは再生可能エネルギーの中でも安定的に発電可能で、地域活性化にも寄与する電源として普及拡大が期待されている。
NEDOでは、各地域の特性を活かした地域と共生し持続可能なバイオマスエネルギーの導入を促進するためのプロジェクトを実施している。
同プロジェクトにおいて、バンブーエナジーは、2015年10月から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)などに頼らないことを念頭においた、竹の新素材加工工場に併設したバイオマスの熱・電併給カスケード利用によるバイオマスエネルギー地域自律システムの実現可能性の検討を進めていた。
従来より設備コストとCO2の削減にも有効
今回建設されたプラントは、国内初の竹を有効利用したバイオマス燃焼炉とORC熱電併給設備を組み合わせたバイオマスプラントだ。
年間8,750t程度の竹を利用する計画で、電気出力は995kW、熱出力は6,795kW(竹加工工場への熱媒油供給2,800kW、温水供給3,995kW)。
今回採用したORC熱電併給方式は、一般的な蒸気タービンを用いた熱電併給方式と比較し、大量の熱量を確保でき、隣接する竹加工工場における乾燥需要を満足できることなどの有効性を事業性評価において確認しており、乾燥などのエネルギー効率の最大化を実証運転の中で検証していく。
また、ORC熱電併給方式の利用により、一般的な蒸気タービンを用いた熱電併給方式と比較し、設備コストを2億円程度低減することができる。さらに電力を小売電気事業者から購入し、熱をA重油ボイラーで供給する場合と比較し、年間で約19,000トンのCO2を削減することができるという。
加えて、燃焼させた後に残る灰は、環境汚染の原因物質が検出されないこと、抗菌脱臭効果を持つことをテストプラントで確認しており、これらの検証を実証運転の中でも実施し、商品として販売することを目指している。
NEDOは今後、さらなるバイオマスエネルギー利用拡大のために「バイオマスエネルギー地域自律システムの導入要件・技術指針」を策定しており、今回の実証事業の終了後、成果についても反映させ公開する予定だ。
(画像はホームページより)
▼外部リンク
NEDO プレスリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101181.html