太陽光発電を適正に導入するための独自ガイドライン
長野県の上田市は2月20日、太陽光発電事業者を対象とする独自の指針
「太陽光発電施設の適正導入ガイドライン(案)」を公表した。
同市では、再生可能エネルギーの導入や普及を図るため、2010年に「上田市地域新エネルギービジョン」を開始。「太陽光発電」、「太陽熱利用」、「バイオマス」、「中小水力発電」の4分野の導入目標を設定し、地球温暖化防止の取り組みを行っている。
なかでも太陽光発電は、恵まれた日照条件を背景に導入件数・容量が飛躍的に伸び、約7100件、約76メガワットの設備が導入されるに至った(2016年9月現在)。今後もさらなる設備の設置が見込まれる。
ところが、災害発生等が危惧されるような場所にも建設計画が進み、事業者と地域住民との間のトラブルが発生するなどの問題が生じている。
同ガイドラインは、このような状況を受けて策定された市独自の指針。立地に適したエリアへの導入を図るとともに、地域に受け入れられる太陽光発電施設となるよう自主的な取り組みを促すことを目的としている。
立地を避けるべきエリアを明示
同ガイドラインの対象となるのは、同市内における出力50キロワット以上の事業用太陽光発電施設。同一の事業者が1年以内に複数の発電施設に分割して設置する場合も、合算が50キロワット以上となる場合には対象となる。ただし、建築物へ設置するものは対象外。
防災や景観・生態系保全の観点から、
「立地を避けるべきエリア(レッドエリア)」(地すべり防止区域、保安林、国立公園、文化財指定エリア等)と「
立地に慎重な検討が必要なエリア(イエローエリア)」(土砂災害警戒区域、旧城下町の景観計画区域、郷土環境保全地域等)を示したのが特徴的。
また、設置後の適切な維持管理や発電事業終了後の撤去・廃棄についても明記されている。
無秩序な太陽光発電施設の開発に一石を投じるか
同市では、2015年10月に告示された
「上田市太陽光発電設備の設置に関する指導要綱」により、開発面積が1,000平方メートル以上かつ発電出力が50キロワット以上の太陽光発電設備について、事業者が市へ事前に届出等を行う制度を設けており、事業主の責務や近隣関係者への事前説明、防災上の措置等を規定している。
同指導要綱とともに、今般策定されるガイドラインにより、地域と調和した太陽光発電事業が促され、再生可能エネルギーの推進につながるものと期待される。
同ガイドラインは3月3日までのパブリックコメント(意見公募)を経て、4月に施行される予定。
(画像は上田市HPより)
▼外部リンク
上田市 HP
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