二十四節気の「小雪」を過ぎ、秋から冬にかけて、しだいに寒くなってきたこの季節…。しかし、今年の夏が暑かった影響もあり、これから紅葉のピークを迎える観光地も、少なくありません。今回は、世界遺産・姫路城で有名な兵庫県姫路市で、今週末から12月上旬にかけて、紅葉の見ごろを迎える2大スポットをご紹介します。
今週末は、姫路まで足をのばし一泊旅というのも、きっと楽しいに違いありません。
標高371メートルの書写山の山上に位置する「圓教寺」は、966年、性空上人 (しょうくうしょうにん)によって開かれた天台宗の古刹。滋賀県大津市と京都市にまたがる天台宗総本山で、「日本仏教の母」として有名な比叡山延暦寺と並び、“西の比叡山”と称されています。
西国三十三霊場の第27番札所でもあり、一般の参拝者は、ロープウェイを使うことで圓教寺を訪れることができます。山上のロープウェイを降りると、そこは深山幽谷の世界。
境内には国や県指定の文化財が多く、その中心に位置する京都の清水寺に似た「摩尼殿」は、近代寺院建築の傑作と称されていて、今年1月に国の重要文化財に指定されました。
摩尼殿は4回再建されており、現在の摩尼殿を設計したのは“関西建築界の父”とも称される武田五一氏。現代を代表する建築家・隈研吾氏も尊敬の念を示しており、影響を与えています。その縁もあり、隈研吾氏は「摩尼殿」と室町時代の建築である「三之堂」にインスピレーションを受け、境内にパビリオン《くぎくも》を展示しています(12月1日まで)。
さらに、もうひとつの見どころが、国の重要文化財である「大講堂」「食堂 (じきどう)」「常行堂」からなる「三つの堂」です。三つの堂は、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(2014年)などの時代劇に登場しているほか、トム・クルーズと渡辺謙主演の映画 『ラストサムライ』(2003年)のロケ地としても話題になりました。
日本気象協会によると、書寫山圓教寺は現在「全体的に紅葉してきている」状態で、今年の紅葉の見ごろは「11月下旬〜12月上旬」と予想されています。
数十の歴史的建造物、記念碑、墓地、本堂と6つの塔頭が、31ヘクタール超の書写山の一帯に存在しているため、散策には2時間ほどかかり、余裕をもって訪れるのがおすすめ。紅葉の時期だけでなく、年間をとおして姫路城とともにぜひ訪れたい、人気の観光地です。
姫路城の敷地内にある「好古園」は、世界文化遺産・国宝の姫路城を借景として、平成4年に開園した池泉回遊式の日本庭園。
発掘調査で確認された姫路城西御屋敷跡・武家屋敷跡・通路跡などの地割を活かし、門や塀をくぐるごとに9つの趣が異なった庭園を楽しめる趣向になっています。
紅葉は、旅の雑誌で「圧巻の絶景紅葉ランキング1位(2022年)」も獲得した、姫路市内で屈指の紅葉名所のひとつ。園内の約200本の紅葉した木々をライトアップし、夜間に美しい景観を楽しめる「紅葉会」が、12月1日(日)まで開催されています。
江戸の情緒を醸し出すその佇まいから、映画『るろうに剣心』などのロケ地としても使われました。茶の庭にある数寄屋造の茶室「双樹庵」では、抹茶サービス(一席:700円)があるほか、庭園を眺めながら食事を楽しめるレストラン「活水軒」も。
日本気象協会によると、好古園も現在「見ごろを迎えてきている」状態で、今年の紅葉の見ごろは「11月下旬〜12月上旬」と予想されています。
今年最後の紅葉はぜひ、姫路を観光して、楽しんでみてはいかがでしょうか。
https://www.himeji-kanko.jp/
文=CREA編集部
写真=釜谷洋史