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長く飲まないと効かない? 1包から購入できる漢方薬店でカウンセリングを受けてみた

  • 2024年10月31日
  • CREA WEB

漢方薬店「LAOSI」。店長で薬剤師の松浦尚子さん。

 こんにちは、美容研究家のにらさわあきこです。

 ようやく過ごしやすい日も増えてきたとはいえ、日によって寒暖差も大きいですよね。呼吸器系が弱い私は、夏の終わりに副鼻腔炎から気管支炎になり、1カ月ほど体調を崩していました。そんな中、とても気軽に利用できる漢方薬店が「奥渋」と呼ばれる奥渋谷ゾーンにあるというので訪ねました。


訪れた人の求めに応じて、気軽に1包から購入できる


奥渋の静かな一角にあります。

 お邪魔したのは、漢方薬店の「LAOSI」。漢方をより現代的に、シンプルに、日常生活に取り入れる方法を提案するというコンセプトのお店で、訪れた人の求めに応じて、気軽に1包から購入できるそう。


カフェのような、ゆったりとしたオシャレな空間には漢方薬がずらり。

 場所は代々木公園から程近い、オシャレな珈琲屋さんやデリなどが点在する通りのさらに一区画入ったところ。

 静かな道を歩いていると、雰囲気のいいお店が目に入ってきて、「ああ、ここ、入りたい場所だ」と直感的に思いました。それくらい、そこだけ異空間というか、時の流れが違うような素敵なイメージを持ったのです。


漢方薬は50種ほど常備。オリジナルの薬膳茶や食品なども販売。

 のれんをくぐって中に入ると、今度はまるでカフェのようなオシャレな空間が目の前に現れました。

 平日の昼下がり。先客は数人ほどで、ゆっくりお茶を楽しんでいる若い女性2人連れと、さっそうと現れて、愛用しているらしい漢方薬を追加購入している男性など、幅広い方が訪れているようでしたました。

店長・松浦さんのカウンセリングは千里眼!

 のんびりと店内を眺めていると、スタッフの方が声をかけてくれて中央のテーブルに案内されました。「この問診票に記入してくださいね」と言われて、問診票に記入していると、店長で薬剤師の松浦尚子さんがやってきました。


店長で薬剤師の松浦尚子さん。頼れるだけでなく、話しやすい雰囲気も魅力。

 実は、この松浦さんはお店のインスタでライブ配信などもしているためにファンも多く、今回の取材も松浦さんファンの編集者さんからのすすめがきっかけ。

「今日はどんなお悩みで来られたんですか?」と尋ねられたので、「夏の疲れで副鼻腔炎になって困っています」と答えると、問診票を見ながら次々と質問を繰り出してきます。

「食後、眠くなることはありますか?」「便秘や下痢はどうですか?」「冷えやむくみはありますか? 場所は?」「睡眠はとれていますか?」などなど。

 ていねいな問診で、自分の暮らしぶりを改めて細かく振り返ることができます。


問診票に、体について細かく記入します。

 その後、「舌を出してみてください」と言われて、表をベーッと出して見せると、「裏も見せてください」と本格的。

そして、「にらさわさんは、胃腸も弱っていますね。胃腸の弱りも副鼻腔炎の原因になっています」とのこと。


私が弱っているのは黄色部分の「脾」と白い「肺」部分。

 漢方の考えでは、体の働きを「五臓」に分けるのですが、私は今その中の「脾(胃などの消化器官に関係する)」と「 肺(呼吸器や、皮膚、大腸に関係する)」が弱くなっているらしいのです。

 気をつけるものが多過ぎる……(猛省)。

 しかし、そんなところまで、どうしてわかってしまうのでしょうか。

「にらさわさんのお話の仕方や姿勢、肌や髪の状態、そして舌の状態、さらには舌の出し方でわかります。例えば舌の表面に苔が多いのは代謝が悪く余分なものが溜まっている状態で、裏側に赤紫色の血管が見えるのは血流が悪くなっている可能性があります」(松浦さん・以下同)

 なんと! もしや舌の苔を取らないできたのが悪かったのだろうかとひそかに後悔していると、「舌の苔は、そもそも自分で取る必要はありません。健康で代謝がよければ自然になくなります」と、松浦さんが優しく教えてくれました。

「今、呼吸器が弱くなっているのも、大本は肺の乾燥です。鼻も気管も粘膜でできていますが、そこが乾いてしまうから、菌やウイルスが定着しやすくなるのです」


「今の季節は、にらさわさん同様、『肺』の不調を訴える人が多いですね」と松浦さん。

 それとともに、私の場合は弱った胃腸を正常に働かせるのも大事だということでした。

大事なのは日々の食生活

「『肺』が弱っている人は、汗をかくような辛いものの取り過ぎに注意してください。潤いを与えてくれて『肺』を元気にしてくれる白いものを中心に食べるようにしましょう」

 松浦さんによると、漢方の考え方では辛いもの全般がダメなのではなく、肺の働きをサポートするものはOKなのだとか。

「乾燥を促す唐辛子やスパイスではなく、ネギや大根などです」

 なるほど、確かに白い食べ物ですね。

 また、「乳製品もやめたほうがいいでしょう」ということなのですが、乳製品の中でも発酵食品のヨーグルトは、一般的には「腸内環境を整える」といいますよね。健康によいイメージがあるのに、どういうことなのでしょうか?

「発酵食品という意味では、日本人は味噌などの麹を使った食品との相性がいいですね。一方、ヨーグルトは発酵食品ではありますが、その中のカゼインがよくありません」

 (え、カゼインって、聞いたことがあるけど、悪い成分なのだっけ?)とさらに伺ってみると、「カゼインは腸での消化吸収の負担になってしまうので、脾の働きを弱めてしまう」とか。

 実は副鼻腔炎の鼻水はドロドロやねばねば状態の粘性になっているのですが、そういう粘性の鼻水のある時に粘り気のある食品を食べるのはよくないというのが漢方の考え方。調べたところ、カゼインとは乳製品の中でも「凝固するタンパク質のことで、牛乳から脂肪とホエイを取り除いた残りの不溶性固形成分のこと」。となると、チーズもダメってことなのでしょうね……。結構食べているのでショックです。

「グルテン同様、カゼインも腸での消化吸収の負担になり、脾の働きを弱めてしまうため、にらさわさんだけでなく、控えていただきたいです」


漢方薬にも使われる薬膳たち。「今のにらさわさんには、白きくらげとクコの実がオススメです」と松浦さん。

 また、ほかに控えたほうがいいと言われたのは、夏野菜のオクラや生姜。

 オクラはねばねばする様子からいかにも粘性の鼻汁のある時にはよくなさそうな印象ですが、生姜はどうしてダメなのでしょうか。

「にらさわさんは、今、上半身の熱と下半身の水の流れをよくする胃腸の弱りがあるため、下半身が冷えやすかったり、上半身がほてりやすくなったりしています。そのため、体を温めて発汗させる生姜を取ると、頭部が熱くなり、乾燥がさらに進みます。よって、今のにらさわさんには、生姜はデメリットが大きいのです」

 なるほど!

 代謝がうまくいっておらず、乾燥している今の私には、一般にはよいとされている生姜も漢方の考え方ではダメージになるということなのでしょう。つまり、一般的によいとされる食品でもやみくもに取るのはよくないということになのかもしれません。

「はい、まさにその通り。まずは自分の体の状態を知って、今の自分に合った食べ物や食べ方を選ぶのが大事です。漢方薬も同様で、自分の状態をきちんと知って合ったものを選ぶのが基本です。漢方は長く飲まないと効かないと言われがちですが、そんなことはありません。正しい食事を取ったうえで、その人に必要な漢方薬をきちんと飲めば1週間で効果を感じることが多いです」

 漢方を1包から販売しているのは、必要な量を必要なだけ取ってほしいからだと松浦さん。

 こんなふうに、体質や体調を診て、食べ方から教えてくれるお店が近くにあったら、どれだけ心強いだろうと心底思いました。

 後篇では、漢方の考え方や自分で不調を判断するための目安となる方法などを引き続き松浦さんに教わります。

松浦尚子(まつうら・ひさこ)さん

薬剤師・漢方薬剤師・養生アドバイザー。漢方薬局を営む両親のもと、幼い頃から漢方が身近な環境で育ち、自身も薬剤師の道へ。薬剤師として多くの病院や調剤薬局に勤務。2021年からLAOSIに参画。養生や漢方によるセルフケアをより身近にするべく店頭に立つほか、インスタライブや商業施設でのPOP-UP、音声メディアでの発信など活躍の場を広げている。

⚫︎LAOSI - 漢方入門薬店

https://laosi.jp/


にらさわあきこ

文筆家、美容研究家。NHKディレクターを経て、文筆業に。恋愛や結婚、美容について取材・執筆を続ける中、2019年から美容活動を強化。簡単&ラクに綺麗になるための情報をブログやインスタ、雑誌ウェブなどで発信中。著書に『未婚当然時代』(ポプラ新書)。『婚活難民』(光文社)、『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)など。
インスタ:@akiko_nirasawa_beauty、ブログ:『美活☆365日 簡単&ラク〜に綺麗になろう!』

文・写真=にらさわあきこ

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