この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。
CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!
「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。
両親を亡くして叔父と暮らす、地味な少女・メイ。容姿端麗な叔父を羨ましく思うメイとメイがかわいくて仕方ない叔父の仲良しほっこりライフ。
「複雑な関係のふたりが、寄り添いながら日々を過ごしていく姿に、笑ったり泣いたり癒されたり。ポカポカのお風呂につかったときのような気持ちになるマンガです。登場人物が、癖ありなのに憎めない人ばかりなのも好きなポイント」(江上敬子さん・以下同)
「タイトルにすべてが詰まっているマンガだな! と、臨戦態勢で読み始めたのですが、まさか男性側(勝男)を応援することになるとは……。誰かにごはんを作る人、作ってもらう人、どちらにも読んでもらいたいマンガです!」
「子どもがいる人は、日々子どもの体調不良と闘っていますが、私も主人公と同じくそのひとりです。『なんで?』『どうして?』という、理由がわからない病状を診て、ブッキーが淡々と診断してくれる。その姿は、子を持つ親にとってヒーローそのもの。ブッキーとハネチンの、かみ合わないやり取りも面白い、笑える医療マンガです」
時代は大正。人喰い鬼に家族を殺された炭治郎は、鬼の血を浴びて人喰い鬼と化した妹の禰󠄀豆子を人間に戻す方法を模索する。鬼殺隊の一員として、鬼と対峙する炭治郎の成長していく姿を描いたダークファンタジー。
「作品が流行っていて、ずーっと『読んだほうがいい!』と言われていたのですが、『どうせ流行ってるだけでしょ?』と読まずにいたところ、アプリで何話か無料になっていて、読んでみると、面白すぎて一晩で読み切ってしまいました。流行っているものには理由があると痛感したマンガです」
「子どもが寝たあと、子どもの横で暗い中アプリで読むのが日課です。親子愛のシーンで泣きまくったあとは、子どもの手を握って寝ることもしばしば」
主人公の田宮は、恋人のみふゆと目玉焼きの食べ方を巡ってケンカをする。以来、自分とは異なる周囲の人たちの食べ方が気になり、仕事関係でも苦悩していく。
「グルメマンガが大好きなのですが、これは食べることが大好きな人にはブッ刺さるマンガだと思います。いつも食事をするときに感じる、少しの疑問や、人との違いを、これでもかと感じさせてくれるギャグマンガ。グルメ×ギャグの中では、私はトップだと思っています」
ハムテル(西根公輝)と親友の二階堂は漆原教授に導かれ、H大学獣医学部に入学して獣医師を志す。ユニークで豪快な漆原教授に振りまわされながらも、北海道の恵まれた自然環境の中で、さまざまな経験を積み、獣医師としての知識を吸収していく。
「動物たちもかわいいのですが、出てくる人たちのキャラクターにとにかく癒されます。シュールだけど癖になる、まさに佐々木倫子ワールドです」
お笑い芸人
ニッチェ 江上敬子(えのうえ・けいこ)さん
2005年、近藤くみことともにお笑いコンビ・ニッチェを結成。「王様のブランチ」(TBS)「ノンストップ!NONSTOP!」(フジテレビ)などにレギュラー出演中。島根県のふるさと親善大使「遣島使」。
眠りにつく前のひとときに、日中のあれこれを忘れさせ、新しい世界に連れ出してくれる力のあるマンガを称える「CREA夜ふかしマンガ大賞」。昨年からはじまった一般読者による投票を一次選考として、200作品以上が候補にあがるなか、2024年のナンバーワンが決定しました。
文=大嶋律子(Giraffe)