トルコのエーゲ海に面するイズミルは国内第3の都市。エーゲ海地方観光の拠点となる街です。トルコ国内ではもちろん、欧州のリゾート地として古くから愛されてきたエーゲ海エリアは、食べ物やワインも、遺跡などの観光地もまだ知らなかった魅力でいっぱい。満足度の高いリゾートがリーズナブルに体験できるとあって、訪れるならいまなのです!
多くの旅行者の玄関口となるイスタンブルの旧市街は1985年に「イスタンブル歴史地区」として世界文化遺産に登録された、特に見どころがたくさんのエリア。スルタン・アフメト地区とも呼ばれています。
世界一美しいモスクと称されるブルーモスクやビザンチン建築の最高傑作と言われるアヤ・ソフィア大聖堂、オスマン帝国時代の繁栄の象徴である、トプカプ宮殿などが主要なスポット。
4世紀にはじまる東ローマ帝国、15世紀からはオスマン帝国の帝都として栄えたこの地の建造物は、たとえばアヤ・ソフィアはキリスト教の教会からイスラム教のモスクへと役割を変えてきていますが(博物館の時代を経て、現在はモスク)、建築様式や内部装飾の素晴らしさから、今も変わらず世界中の観光客を惹きつけています。
長い歴史に彩られた、貴重でフォトジェニックなスルタン・アフメット地区。エーゲ海エリアのトルコを体験する前後に訪れてはいかが。
アヤ・ソフィア歴史体験博物館(デジタルミュージアム)
https://www.demmuseums.com/museums/hagia-sophia-museum/
レストラン「オドゥ ウルラ」のあるウルラは、ギリシャに近いエーゲ海に面した温暖な港町。ブルーフラッグ(国際NGO FEEが実施するビーチ、マリーナ、観光船舶を対象とした国際環境認証)の認証を受けたビーチや漁港などがあり、イズミルの中心街から日帰りでも訪ねられるのんびりとしたエリアです。
イズミルがスミルナと呼ばれていた紀元前4000年ごろに利用されていたオリーブオイル製造所跡などがこのウルラで発掘され、トルコにおけるオリーブオイルの発祥の地ともいわれています。
オスマン・セゼネルシェフが率いる地元に根ざしたレストラン「オドゥ ウルラ」。40年以上前から家族経営のレストランでシェフとして活躍してきましが、2020年にこの地に「オドゥ ウルラ」をオープンさせて以来、シェフやスタッフ自ら野菜やフルーツのほか牛や羊などを育て、食材の半分は近隣の生産者から仕入れる形で運営しています。
地元の生産者とともに地産地消・廃棄物を限りなくゼロに近づけるなどサステナブルな活動に取り組みつつ、この循環型ビジネスモデルの一環として常に30〜40人の若い料理人をキッチンに招き、レストランを学びの場としても提供。
店名の「オドゥ」はトルコ語で「火」を表し、炭火料理を主軸に料理が組み立てられています。メニューはコース「THE JOURNEY OF THE CHEF(12品で3,900TL)」とアラカルトがありますが、いずれも近隣の生産者からその日に一番良い素材を仕入れて調理。エーゲ海で育つ新鮮なエビやハタなどを取り入れたコース料理の中から、一部をご紹介! ワインのペアリング(6種3,500TL)も一緒に楽しめば、より深くエーゲ海トルコのフード体験が叶います。
Od Urla
オドゥ ウルラ
https://www.odurla.com/od-experience
「オドゥ ウルラ」から車で約10分の場所にある、色とりどりの植栽も愛らしい通り「アラチャトゥ・ストリート」。石畳の通りにはカフェやレストラン、オリーブの木を使った雑貨店やアンティークショップ、食材店などが軒を連ね、多くの観光客で賑わいます。
トルココーヒーは豆の種類ではなく、トルコ独自の淹れ方のこと。極細かく挽いた深煎りのコーヒー粉を煮出してカップに注ぎ、粉がカップの底に沈むのを待って上澄みを飲みますが、こちらのカフェでは、炭火で熱した砂の中に銅製容器を沈めて加熱したトルココーヒーが味わえます。
トルコのエーゲ海エリア最大の観光地ともいえる、世界遺産の遺跡・エフェソスを見学するのにも便利なワイナリーホテル「イエディ ビリゲレル」。
イズミルのアドナン・メンデレス空港から車で約45分の場所にある、フランス人オーナーが経営するこちらは、ブドウ畑を見下ろす見事な眺望のレストランでワインと料理を味わい、ブドウ畑を望む場所に点在するゲストハウスにステイする、というロケーション抜群の開放感溢れるワイナリーホテルです。
ホテル名に付く「イエディ」はトルコ語で数字の「7」。この地に縁のあるタレス、バイアス、ピタゴラスなど7人の哲学・科学の父たちへの賛辞を込めて名付けられたそう。メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンブラン、マルベックなどのブドウの苗木はフランスから持ち込まれ、トルコの固有品種も敷地内や近隣にあるブドウ畑で育てられています。
ゲストハウスはオーストリアの建築家による石造りの建物。大きな窓の明るいベッドルームにテラスやバルコニーが付いた客室は、プールビュー、ガーデンビューと抜け感も心地よい、気持ちのよい設え。散歩がてらにブドウ畑の脇を抜けてレストランのある母屋まで移動するのも、わくわくするアプローチとなっています。
レストランではワインペアリング付きのテイスティングメニューを体験(テイスティングメニュー2,200TL、ワインペアリング3,100TL)。6種類のワインと素朴なトルコの郷土料理をモダンに解釈した料理のマリアージュは、ヘルシーながら満足感のあるものばかりです。料理はというと、身近なところでイタリアンやギリシャ料理などに近いイメージ。
7 Bilgeler
イエディ ビリゲレル
http://www.yedibilgeler.com/
アジア、中東、ヨーロッパなどの影響を受けながら、独自の発展を遂げてきたトルコ料理。オスマン帝国時代にも国外のエッセンスを多彩に取り込んで融合しているため、宮廷料理だけでも多様な料理が見られます。
トルコ最大の都市・イスタンブルには各地方の美味が集結しているとは言え、たとえばエーゲ海沿岸エリアと首都アンカラのあるアナトリア〜東部の山岳地方では気候も産物も異なるため地域ごとに伝統的な料理が存在し、一括りにはできません。
今回ご紹介するオリーブの原産地とも言われるエーゲ海沿岸エリアは、特産のオリーブオイル、ヨーグルトをはじめとする乳製品をふんだんに使っているのが特徴。ナスやトマト、キュウリなどの野菜、クルミやピスタチオ、ヘーゼルナッツなどのナッツ類も料理に取り入れています。
また、羊やチキンのケバブ料理の印象が強いトルコ料理ですが、エーゲ海沿岸ではエビ、イカやタコ、ムール貝、カキなどの貝類、白身魚のハタ(スズキ)といったシーフードを使ってグリルやフライにしたり煮込んだり、といった料理も多数あります。
魚介と野菜を中心にしたヘルシーで彩りも鮮やかなエーゲ海エリアのトルコ料理。2024年ミシュランガイドのイズミル、ボドルム(ムーラ)版では13軒が1ツ星とビブグルマンを獲得しています。旅の最重要案件とも言える美味しい味覚体験の一助となる、絶対に外さないレストランをご紹介します。
イズミルのアドナン・メンディス空港から車で約1時間。アラチャトゥのハジュミス広場にある人気のレストランはメゼ(前菜)の種類が多く、ワインやラクと呼ばれるトルコの蒸留酒の水割りと一緒に楽しめます。大きな桑の木の下のオープンテラスで開放感たっぷり。
Ortaya alacati
オルタヤ・アラチャトゥ
https://www.ortaya.com.tr/
トルコのエーゲ海エリア屈指のリゾート地、ボドルムにあるシーフードをメインとしたレストラン。2024年のミシュラン、ゴーエミヨの候補になったのも頷けるクオリティの高い料理を提供しています。海まですぐのロケーションで、テラス席で潮風を感じながら魚介料理の数々を堪能して。
Orfoz Restaurant
オルフォズ・レストラン
https://orfoz.net/
ハイブランドショップが軒を連ねる、ボドルムのヤリカヴァク マリーナにあるシーサイドレストラン。抜群のロケーションだけでなく料理のクオリティも高いため、各国セレブも訪れるとか。海に沈む夕日を眺めながらの食事は、デザートに至るまで感動的。
Sait Kitchen&Lounge
サイドキッチンアンドラウンジ
https://sait.com.tr/en
車でパムッカレから30分、デニズリ・チャルダク空港からは1時間ほどのところにあるオープンエアのレストラン、ガルソン・シュクル。ラムのケバブや牛レバーのソテーが有名なこちら、創意工夫が施された大胆な盛り付けで料理が提供されます。デザートのフルーツからもトルコの食材の豊かさが感じられます。
Garson Şükrü
ガルソン シュクル
https://www.garsonsukru.com/
※2024年9月12日現在1TL(トルコリラ)=4.18円
文=CREA編集部
写真=橋本 篤