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非常袋と防災袋の違いを知ってる? 漫画家・わたなべぽんが更年期を 迎える前にやっておきたいこと

  • 2024年6月21日
  • CREA WEB

 コロナ禍をきっかけに暮らし方が変わり、将来のことを改めて考えた人も多いのでは? わたなべぽんさんのコミックエッセイ最新刊『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』では、わたなべさんが改めて考えた、防災やお金、健康など、人生後半を楽しく生きていくための“備え”について綴られています。

 将来に備えて、ちょっとずつ、無理なく準備できること。わたなべさんにお話を伺いながら、一緒に考えました。


結婚記念日に防災袋の中身をチェック

──『やっとこっかな』は、きっと誰しも自分の経験が重なる部分がある1冊だと思います。コロナ禍を経て、価値観や生活スタイルにいろいろな変化があったと思いますが、わたなべさんにとって一番大きかった変化を挙げるとすると?

 やはりこれからの暮らしを、地に足をつけて改めて考えるようになったことですね。コロナ禍の前はなんだかんだ言いながら、未来は今と地続きにあるものというか、「どうにかなるだろう」とほったらかしにしていた部分があったと思うんです。「ある日突然不自由になることもある」と身をもって知って、「今後のことをしっかり考えよう」という思考になれたことは大きかったです。

──発売されてから、読者の方からはどんな反響がありましたか?

 一番反響が大きかったのは、非常袋と防災袋の違いについて描いた章ですね。「初めて知りました!」という声をたくさんいただきました。

──災害時に持って逃げる非常袋と、避難先での生活用品を入れる防災袋。私も2つの違いを知らなかったので、とても勉強になりました。中身の入れ替えを定期的に行うことも大事だと思うのですが、忘れてしまいがちですよね。


『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

 我が家では年に1回、結婚記念日の日にメンテナンスするようにしています。夫婦に関係することをチェックするには、ぴったりの日かな、と。食料や水の賞味期限はもちろん確かめますし、見落としがちなのが連絡先。非常時にはスマホが使えない可能性もあるので、紙に書いて入れているんですが、先日も夫の姉夫婦が引っ越しをしたんですね。そんなふうに意外と頻繁に変化があるので、定期的にチェックするようにしています。


『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

──貯金や資産について考える章では、NISAなども調べつつ、テンションが上がる貯蓄法として宝くじ付き定期預金を選択されていましたね。

 資産運用をマメにやっている人に話すと「本気でやってるの?」と笑われるんですけどね(笑)。年に2、3回、宝くじの番号が書かれたハガキが届くと、部屋の見えるところに貼っておくんです。「あと○日だね」と当選番号の発表日までカウントダウンして、当日は夫と2人でワクワクしながらチェックして。我が家のささやかな行事になっています。


『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

──「将来動けなくなったときのため」「老後のため」という理由ではなく、「楽しさを優先した貯蓄法」を選ぶというのは目から鱗でした。

 しっかり運用したいときが来たら、もちろん資産を動かすのもありだと思うんですけどね。とりあえずお試し気分というか、楽しみが1つ増えたのでいいなと今は思っています。

夫には自分の気持ちを脚色せずに伝える

──1冊を通して、パートナーとの関係性がとても素敵だなと感じました。言いたいことは言い回しに気を配りながらしっかり伝えたり、でも不向きなことは無理にさせないで諦めたり。結婚生活を送るうえで大切にしていることはありますか?

 夫のことは、一番近くにいる他人だと思っているので、友達に同じことを言ったら喧嘩になってしまうであろうことは、夫にも言わないようにしています。気持ちを煽るような言葉を使ってしまうと、売り言葉に買い言葉で絶対にうまくいかない。自分の気持ちを素直に、脚色せずに伝えることを意識しています。『自分を好きになりたい。』という本にも描いたのですが、私の母はけっこうエキセントリックで怒りやすい人だったんですね。それを反面教師にして、なるべく感情的にならないように話すことを心がけています。

──最近も将来について、何か夫婦で話し合いましたか?

 コロナ禍も落ち着いてきて、旅行に出る機会も増えたこともあり、改めて「終の住処をどうするか」ということは話しますね。あとはお互いの両親のこと。私の母も夫の両親も幸いまだ元気なのですが、もし介護が必要になった場合はどうするか、などはたまに話しています。

──そして、心療内科を受診するほど気持ちが落ち込んでしまった際に、御朱印帳にご友人やお世話になっている人にサインをもらうことにしたら、元気が出た、というのも素敵なエピソードでしたね。子供の頃に流行った、サイン帳を思い出しました。

 サイン帳、懐かしいですね(笑)。夫が提案してくれて実際にやってみたら、すごく面白かったんです。似顔絵を描いてくれる人、一句詠んでくれる人、座右の銘を書く人、手形を押す人、応援メッセージをくれる人……個性豊かで。今もまだ集めている途中で、50人分くらい集まったところです。面白かったのが、「今はまだ書く時じゃない」と、2人に断られたこと(笑)。2人とも非常に個性的な人なんですけど、そういうリアクションも興味深くて。人間観察の一環になっています。


『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

──ほかに、コロナ禍に心を軽くしてくれたものはありますか?

 作中にも描いたんですが、私は2022年夏にコロナに罹ったんです。熱も咳も出て大変だったんですが、治ったときに身も心も軽くなって。たぶん私は、コロナがすごく怖かったんです。それを自分自身が体験して克服したというか、クリアしたような感覚がありました。あの頃、精神的に参ってしまったのは、「私の漫画は本当に必要なんだろうか?」と思ってしまった部分が大きかったんですね。でもコロナを乗り越えて「生活はこれからも続いていく」ということを実感できたことで、「私もまだ描きたいことがある」と思えたし、気持ちが軽くなった気がします。

閉経は店じまいのようなもの

──「本格的な更年期がやって来る前に“やっとこっかな”と思っていることがいくつかある」と描かれていました。その後、実際に取り組んだことはありますか?

 一人旅にチャレンジして、その面白さを知りました。私は人見知りだったこともあって、それまではなかなかハードルが高かったんです。山脇りこさんの『50歳からのごきげんひとり旅』を読んだことが後押しになり、さらに友人と台湾に行った際に見かけた「マジョリカタイル」というかわいいタイルの色付け体験に参加したくて思い切ってワークショップが開催された神戸まで、1人で行ってみました。京都まで足を延ばして、マジョリカタイルが貼ってある古い銭湯にも寄ってみたりして。

──不安よりも、楽しさが勝りましたか?

 はい。知らない人に何かを尋ねるのも、1人で食事するのも、全然平気でしたね。気持ちが自由になる旅でした。昨年『人見知りの自分を許せたら生きるのがラクになりました』という本を描いたんですが、私は「自分は人見知り」と、自分に暗示をかけていた部分もあったのかなって。思い切って人見知りを名乗るのをやめたら、思いのほか楽チンだったんです。神戸で出会った人におすすめの食べ物を教えてもらって、美味しいお豆腐に出会えて、それを『CREA』の夏の贈り物特集でも紹介させていただきました(笑)。いろいろな出会いが嬉しかったですね。

──更年期と聞くと、多くの方は不安に襲われてしまうと思うんですが、わたなべさんは自分をアップデートする、新しくするきっかけだと捉えていらっしゃるんですね。

 私は子供の頃から、生理痛が重くて大変なほうだったんです。生理の日は2、3日寝込んでしまうことも多くて。だから「更年期になったらこれがなくなるんだ」と思ったら、「やっと店じまいできる」という期待感があったんですね。更年期は精神的なバランスやホルモンバランスが崩れるという話も聞きますが、個人的にはホッとしている部分が大きいかもしれません。


『やっとこっかな 近い未来のためにちょっぴり備える』より。

──読者に「これはやっておいてよかったよ」と伝えたいことがあれば教えてください。

 私が今までに描いてきた中で一番思い入れがある本が『自分を好きになりたい。』なんです。誰しも子供の頃からのトラウマや、心に引っかかっていることがあると思うんですが、見て見ぬふりができているうちはいいんです。でも気にかかる部分があるんだとしたら、一度向き合って、自分の心を大切にする期間を設けてほしい。私はそれを経て、生まれ直せたなと思っていて。母との関係が良くなかったこともあって、ずっと「どうして自分は生まれてきたんだろう」という思いにとらわれていたんですが、自分がここにいる意味やありがたさを実感したら、すごく心が軽くなったんです。何か引っかかるものがある人は、改めて自分を見つめ直す時間を作ってみてほしいですね。

わたなべぽん

漫画家。山形県出身。累計50万部を突破した「やめてみた」シリーズや、自身のダイエット経験を綿密に描いた「スリム美人シリーズ」をはじめ、『自分を好きになりたい。』『人見知りの自分を許せたら生きるのがラクになりました』『ダメな自分を認めたら部屋がキレイになりました』など著書多数。
X @ponwatanabe

文=岸野恵加

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