毎日の「白めし」がおいしく炊けたらそれだけで幸せです。新米の季節、甘みがあってふわっ、もちっとしたご飯の炊き方と、口の中でほろりとほどけるおにぎりの作り方を、「賛否両論」の店主・笠原将弘さん著『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』からご紹介。
白めしをおいしく楽しむには「まず米自体がよい状態のものを選んで」と笠原さん。精米仕立てがおいしいから、米は少量ずつ購入し、高温多湿を避けて保存するとよいそうです。冷蔵庫の野菜室で保存するのが理想だとか。
一番のコツは「割れ米」を作らないことなのだそう。米をガシガシ勢いよく洗うと粒が割れて糊化し、ご飯同士がくっつく原因に。しっかりこすり合わせて洗うのは1回だけで、あとはやさしく混ぜる程度に。
ボウルに米を入れ、水をたっぷり入れたら両手で素早く米をすくって3〜4回こすり合わせ、すぐに水をすてるのが肝心。1回目のスピード感が大切です。再び水を入れながら軽く混ぜ、すぐに水を捨てる。これを2〜3回繰り返して洗い終えたらザルにあげます。水は完全に透明にならなくてよいそうです。
水気をきってから、ボウルに戻して水をたっぷり入れて、30分は浸水させます。この段階でしっかり水を吸うことで、ふっくら炊き上がるのだそうです。浸水が終わったらザルに上げて、水気をしっかりきります。
鍋に米を入れ、浸水させた米と同じ重量の水を加えて蓋をし、強火にかけます。沸騰したら中火にして5分、弱火にして15分炊いて火を止めます。蓋を開けずに5分蒸らしたら、しゃもじで底から大きく混ぜます。
炊飯器の場合も、洗って浸水させるまでは同様。炊飯器の内釜に米を入れ、目盛まで水を入れて炊きます。
熱々のご飯をにぎるのはちょっと大変。「手を洗って少し冷やしてからにぎって」と笠原さん。冷めたご飯はうまくにぎれないので、冷やした手でトライしてみて。ご飯の粒をつぶさないように、軽くギュッとして、ふんわりとにぎることが重要です。
塩の旨みがいきわたる塩むすびは、塩がご飯の甘みを引き立てるから、それだけでおいしいもの。パスタを茹でるときと同様のイメージです。「米と米をむすびつける気持ちでにぎってみてください」と笠原さん。
まずは1%の塩水(200ミリリットルの水の場合で塩小さじ1/3)、粗塩適量、おにぎり1個につき熱々のご飯150グラムを用意します。両方の手を塩水でぬらし、手のひらに粗塩をつけます。塩水でぬらしておくと、おにぎり全体に塩味がつきやすく、衛生的。
早速、三角のおにぎりをにぎってみましょう。
前ページの、三角のおにぎりのにぎり方を参考にしてつくる「明太クリームチーズにぎり」。朝ごはんやランチなどにも。
(1)からし明太子1/2腹はほぐし、マヨネーズ小さじ1と混ぜる。クリームチーズ20グラムは1センチ角に切って加え、混ぜる。
(2)1%の塩水、粗塩各適量、熱々のご飯300グラムを用意する。
(3)両方の手を塩水でぬらし、ご飯100グラムをまな板にのせる。(1)の1/2量をのせ、ご飯50グラムをかぶせる。手のひらに粗塩をつけてから手にとって、前ページを参考に三角ににぎる。残りも同様ににぎる。
(4)全形の焼きのり1/2枚を半分に切り、(3)を巻く。具(分量外)をのせても。
ねっとりとして濃厚な味わいの卵黄を塩むすびにのせた「卵黄しょうゆ漬けにぎり」。お酒を飲んだあとの〆にもぴったりです。卵黄のしょうゆ漬けは丸くにぎるおにぎりがのせやすいので、丸くにぎる方法をご紹介。
手のひらにご飯をふんわりとのせ、両手で軽く包むようにして丸くする。上からのせる手の指を丸くして軽くギュッとにぎり、2〜3回転がしながら、ご飯をつぶさないように軽くギュッとしながら丸くにぎる。
では「卵黄しょうゆ漬けにぎり」をつくってみましょう。
(1)卵黄しょうゆ漬け(下記参照)2個、1%の塩水、粗塩各適量、熱々のご飯300グラムを用意する。
(2)両方の手を塩水でぬらして手のひらに粗塩をつける。ご飯150グラムを手にとり、上記の丸くにぎる方法を参考ににぎってから円盤状にする。真ん中をくぼませて卵黄しょうゆ漬け1個をのせる。残りも同様ににぎる。
(3)全形の焼きのり1枚を半分に切り、(2)をのせる。
(1)卵4個は冷凍室に1日入れて凍らせ、取り出して自然解凍する。
(2)小さめのボウルにしょうゆ大さじ4、みりん大さじ2を入れる。
(3)(1)の殻を割って卵黄だけを取り出して(2)に入れ、3時間以上漬ける。
ご飯の炊き方を覚えれば、熱々の白めしでつくるおにぎりも格別のおいしさに。今回ご紹介した『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』には、ご飯に合う、毎日食べたいみそ汁、出汁いらずのみそ汁のほか、炊き込みごはん、のっけめし、焼きめしなど、笠原さんのアドバイスとともに、たくさんのレシピが掲載されています。ぜひ手に入れて、気軽につくってみてください。
文=CREA編集部
写真=竹内章雄