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【谷口ももよの“一日一薬膳”】 あらゆる味には効能がある!? 「おやつは心のご褒美です」

  • 2023年11月21日
  • CREA WEB

 7日間で薬膳の基礎を学ぶ、短期集中連載「谷口ももよの“一日一薬膳”」。

 年齢を重ねると起こる、さまざまな身体の変化と上手に向き合っていくためにも、自分の身体と対話しながら、ゆるく薬膳をはじめませんか? 薬膳知識のはじめの一歩を、薬膳料理研究家・谷口ももよ先生に教わりました。


おやつは「絶つ」のではなく「置き換える」


罪悪感を感じる!?「おやつ」が今日のテーマ/写真提供 アフロ

「おやつ」という言葉、なんて優しい響きなんでしょう。不思議な魔法の力があるような、ちょっとワクワクする言葉ですよね。赤ちゃんからお年寄りまで、おやつはみんなが嬉しくなる食べものです。

甘いものも適量であれば問題ナシ


谷口先生のレシピより「梨と白きくらげのコンポート」。

 でもおやつに甘いものを食べるのって、どこか罪悪感を感じますよね……。健康を考えるなら甘いものなんかダメ! と思われるかもしれませんが、農林水産省のホームページにもおやつや清涼飲料水も適度なとり方をすれば活力になると提示されています。

 適度に、というのが重要です。私だってたまには甘いものが無性に食べたくなり、デパートのスイーツ売り場をうろうろしています。美味しい魅惑的なスイーツを食べることで幸せな気持ちになったり、ストレス解消になったり、心のバランスを整えることにもなるので、夕食前にちょこっと食べる程度ならまったく問題ありません。どうぞご心配なく。

 おやつの中身を変えてみるのもいいですね。たとえば棗(なつめ)やくるみを1、2粒や、焼き芋や干し柿もおすすめです。甘さの質を変えてみると、砂糖をたくさん使った甘ったるいものを欲しなくなるはずです。

 おやつで身体に必要な栄養がとれたり、健康にいい効能が得られたら素晴らしいのになぁ。そんな思いから、私は薬膳スイーツのレシピ作りや研究をするようになりました。方法はカンタン。食材を身体にいいものに置き換えればいいんです。

 私が代表理事を務める東洋美食薬膳協会では、身体にいい、ヘルシーなスイーツのレシピが学べる「東美薬膳スイーツマイスター認定講座」を開講しています。受講者には学ぶというより体験し、実践、試食してもらうのですが、スイーツだと余計にテンションがあがるみたい!?  育児中のママさんたち、ご年配の方、若い世代も皆さん、とても喜んでくださっています。

あらゆる「味」には効能がある


「おからバナナブレッド」。

 東洋医学では何かを無性に食べたくなるのは“身体の不調のサイン”だと考えます。

 私は子供の頃、あまり丈夫でなく、とくに心臓に関して不安を抱く生活を送っていました。大人になってからも心臓の発作に悩まされたことがあり、それがきっかけで薬膳の道に進んだのですが、実は私、疲れると甘いものでなく、苦いものが無性に食べたくなります。たとえばピーマン。ちょっとおかしいですよね。チョコレートが食べたくなるのはみなさんと同じなのですが、甘いスイート系ではなく、甘みの少ない85%カカオくらいのビタータイプが食べたくなります。

 また、酸っぱいものが食べたいと感じる時。それは肝臓系の状態がよくない、知らないうちにオーバーワークで疲れている時だったりします。それに、イライラしているとレモンや梅干しなど酸っぱいものを口にしたくなりませんか? 酸味はスッキリする効果、イライラした気持ちを抑える働きがあるので、身体が自然に求めるのでしょうね。

 このように「甘い」は疲れを癒して痛みを軽減させ、「苦い」は熱をさげ、「辛い」は熱を発散させるなど味そのものに効能があり、その効能が低下した時に、身体はその味を欲します。甘いもの、辛いものは嗜好性が高いので、とりすぎにはくれぐれもご注意を。さほど疲れてもいないのに毎日、甘いものをやたらと摂取してはいけません。

 毎日食べたいと思ってしまう方はまず「そんなに疲れているのか?」「胃の調子は?」「どこか不調なところあるかしら?」と考えてみてください。甘いものを食べることが常習化しているかもしれません。

 身体の声にしっかり耳を傾け、きちんと対応することが未病(まだ病気にはなってはいないものの、軽い症状がある段階)を防ぐことにつながります。

おやつは心のご褒美である


自然な甘さのおやつを取り入れて/写真提供 アフロ

 小さな子供は食事をさせようとしても、なかなか食べてくれないことがあると思います。うちの子供たちも赤ちゃんだった頃、とても食が細く、食べさせるのに本当に苦労しました。しまいには怒ってしまって、そのあとで自己嫌悪……の繰り返し。赤ちゃんが食事を食べないからといって怒るなんて、まったく自分に余裕がなかったなと今は反省の気持ちです。

 子供たちがよく食べたのが、亀田製菓のベビーせんべい「ハイハイン」でした。カルシウム配合、アレルギー特定原材料等28品目不使用で、国産米100%のおせんべい。これは不思議とよく食べてくれましたね。少し塩味なのがよかったのかもしれません。

 私の作った食事より美味しかったのだとは思いたくはないのですが、人それぞれ、食べやすいものってあるんですよね……。それに食事としてではなく、「おやつ」としてだから食べられたのではないかなとも思っています。椅子にじっと座らされて「これちゃんと全部食べなさい」と強制されるより、散歩の途中にだとか、食べたい時に食べる方が、楽しく、美味しかったに違いありません。

 また、近年はご年配の方の食が細くなり、一日に必要な量がとれない栄養不足が深刻な問題となっています。食卓で「ちゃんと食べて」と心配する家族に言われるのも、赤ちゃんと同じようにプレッシャーになってしまうもの。テレビで大好きなお相撲を見ながら、お茶を飲んでおしゃべりしながらであれば、おじいちゃんもおばあちゃんもおやつの方が食が進むのではと思います。

 できれば、テーブルの上には市販のおせんべいやお饅頭ではなく、自然な甘さの蒸しパンやお団子、季節の野菜や果物などを用意して、その時に必要な栄養のあるおやつを口にしてもらいたいですね。そうすれば、知らず知らずのうちに元気に過ごせるようになるはず。おやつのパワーをもっと活用しましょう。


谷口ももよ(たにぐち・ももよ)

「健康は日々の食卓から」と「美食同源」をテーマに、身近な食材を使った簡単で美味しい薬膳レシピを提案。なかでも豆腐や野菜を中心としたよりヘルシーな“ベジ薬膳”を提唱する。薬膳料理教室を主宰し、講師育成の薬膳講座を全国で展開。レストランへのレシピ提供や企業との商品開発など活動は多岐にわたる。著書も多数出版し、『身近な10の食材で始める薬膳ビューティーレシピ』(講談社)、『5色の野菜でからだを整えるべジ薬膳』(キラジェンヌ)で、グルマン世界料理本大賞グランプリを2度受賞。「東洋美食薬膳協会」代表理事、「全日本薬膳食医情報協会」名誉顧問、「日本豆腐マイスター協会」理事、薬膳料理教室「Salon de Maman」主宰。国際中医師。

文=大滝美恵子
写真提供=谷口ももよ

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