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光石研×思い出野郎・高橋一の対談② 踊れなくてもダンスは大好き!

  • 2019年11月9日
  • CREA WEB

 約2年ぶりに3枚目のアルバム『Share the Light』を発表した8人組ソウルバンド・思い出野郎Aチーム(OYAT)。

 今回、ニューアルバムのリリースを記念して、フロントマンの高橋 一さん(通称:マコイチ)と、かねてから思い出野郎Aチームのファンを公言していた光石 研さんの対談が実現!

 光石 研さんが主演を務めたドラマ「デザイナー 渋井直人の休日」に思い出野郎Aチームがオープニング曲を提供するなど、実は交流のあるお二人に、思い出野郎Aチームの楽曲や、今まで影響を受けてきた音楽について、とことん語っていただきました。


▼talk02

思い出野郎の新作には
ラテン・フレイヴァーがある


光石 (思い出野郎Aチームの)曲はどうやって作ってるんですか?

高橋 誰かがネタを持ってきて、そこからセッションで広げていくことが多いです。

 でも、新作のサード・アルバム(『Share the Light』)では結構違う作り方をして、ドラムパターンから最初に全部決めていきました。

光石 それは珍しいことなんですか?

高橋 バンドでは、あんまりないかもしれないです。でも、ヒップホップの人たちは最初にドラムパターンから作るのが多いから、そういう影響もあるのかなとは思います。

 要するに、セカンド(『夜のすべて』)までのセッションで作るやり方だと、だんだんみんなの手癖に頼って、みんなが気持ちいい演奏のスタイルが固まってきちゃう。

 そういうやり方のピークとして「ステップ」ができたので、次はそこからもっとあたらしいやり方でないといけないねという話になったんです。


──光石さんは、これまで思い出野郎(Aチーム)のアルバムを3枚聴いてきて、変化は感じられてます?

光石 僕はただのファンなんですけど、今回の新作はラテンというか、チカーノ色が強くなったなと思いました。

 ファースト(『WEEKEND SOUL BAND』)は、やっぱりいろいろやってみたかったんだろうなという感じ。

 セカンドでは結構サウンドがまとまって。今回はラテン色が強くなったと思ってます。

高橋 ファーストは、そのときあったレパートリーを録ってみた感が強かったし、バンドとしてもどこに向かうのかそんなに定まってなくて。セカンドではそれを一回整理してみた感はありますね。

 今回はいろんなことを取り入れつつ、ヴァリエーションを出そうとやってたので。

 新作に入ってる「繋がったミュージック」とかはラテン・フレイヴァーでやってみたんですけど。

 ラテンって意外とソウルと近い場所にあるし、華やかさには憧れていたので。

いつも踊らせようとする
そんなところが好き


光石 (思い出野郎の歌詞は)いっつもダンス、ダンスって言って、踊らせようとしてる感じがあるじゃないですか。そのイメージがものすごく好きですね。

 COOLSのジェームス藤木さんって僕は中学生からの大ファンで、あの人もとにかくダンスさせたがるんですよ。

 今年自伝も出てそれも最高なんですけど、1988年に、藤木さんがJBスタイルのザ・デュークスってバンドを作ってやった2枚組のライヴ盤(『ダンス・エクスプロージョン ―完全盤―』)があるんですけど、それをぜひ聴いてほしいですね。

高橋 そうなんですか。COOLSは知ってるんですけど、聴いてみます。ダンスって言葉は、僕らが中高生の頃はポップスの歌詞にもはや出てこないものになっていて。

 昔のソウルの曲を聴いていくとダンスって言葉が自然に出てたから、なんとなく昔は「みんながオシャレしてダンスして」みたいなカルチャーがあったんだなとぼんやり憧れていたんだと思います。

光石 バブルになってジュリアナのお立ち台とかになる前は、僕らもみんなダンスしてたんですよ。

高橋 多摩美でもサークル棟の真ん中にある広場にターンテーブル出して、みんなでDJの真似事とかしてて。最初はみんなシャイだからすぐに踊りには行けないんだけど、だんだん慣れていって。

光石 ダンスは大好きですね。僕は踊れないけど(笑)

──思い出野郎の「ダンスに間に合う」という曲も、今やってるパーティーにギリギリ間に合うという意味もあるけど、そういうかつてのダンスカルチャーの持っていたものの継承に間に合うという意味もあるのかも。

高橋 確かに、そういうところはあるかも。意識しないけど、歌詞にダンスって言葉、めちゃくちゃ使ってますね。

ソウル・ミュージックの
男のダメさが好き


高橋 ちょうど僕たちが思春期とか青春時代にはパンクロックっぽいのが流行ってて、そういうのも好きだったんですけど、どうしてもパンクよりライトなJPOP的なライヴだと縦ノリでみんなが一緒の動きをすることが多くて、そこからだんだんソウルとかを知っていって海外の映像とかを見ると、みんな勝手に踊ってる感じがすごくうらやましくて憧れてましたね。

 メンバーとも「そういうことがしたいよね」という話はずっとしてました。

光石 かっこいい。

──70年代アメリカのテレビ番組「SOUL TRAIN」の映像見ても、そういう感じありますよね。

光石 そうそう。僕が憧れてた東京のソウルのシーンも、ああいうとこだったから。ソウル・ミュージックってちょっといかがわしいし、その音楽の先にある何かを求めてるようなところがあるでしょ。

 そこが好きなんですよ。ロックってストレートで、反体制みたいに拳を振り上げて、みたいなところがあるけど、ソウルはもっと下心がある(笑)。その感じもすごく好き。

高橋 ソウルの歌詞を読むと、情けないやつがすごく多くて、そこもすごく好きなんです。

光石 そうそうそうそう!

高橋 ロック・ヒーローのかっこよさとはまたちょっと違う良さがあるんです。ダメなやつや奥さんに逃げられるやつとか、そういうのが意外と好きで。


光石 モーメンツってスウィートソウルのグループから発展したレイ・グッドマン&ブラウンってユニットの「ステイ」って曲があるんですよ。

 大雨の擬音から始まって、車が停まってるから「どうしたの?」って聞くと「車が壊れたの」って女性が言うわけですよ。「じゃあ、俺の車に乗んなよ」「助かったわ」ってやりとりで曲に入る。

「こんなことあるかよ!」って思いますよね(笑)。男の妄想だけでやってる感じで、聴いたとき「この歌最高!」って思いました。

高橋 そういう色気ゾーンは、まだ思い出野郎には全然取り入れられてないですね。光石さんに次のアルバムでその部分の語りをやってもらえばいいんですかね?

光石 ムード濃厚な語り。いいですね(笑)

自分の声でもソウルを
歌っていいと思った


光石 (マコイチは)いつから楽器はやってたんですか?

高橋 トランペットは小学校6年生のときでした。中学校まではブラバンで吹いてたんですけど、高校生になると自分でバンドを始めちゃって、部活動はダサいみたいになっちゃって。

 でも、後でソウル・ミュージックやジャズを知っていくと「あ、トランペットもアリじゃん」って戻っていった感じです。

──実は、マコイチくんは思い出野郎結成直後までは歌ってなかったんですよね。

光石 えー、そうなの?

高橋 インストバンドの予定だったんです。ちょうど僕らが大学生だった10年くらい前ってインストのレアグルーヴがまた流行ってて。

 最初は、JB’sのコピーをしたり、結構かっこいいインストファンクでやろうとしたんですけど、みんなヘタクソで全然うまくできなかった。なので「歌、入れようか」ということになって歌い始めたんです。

光石 へー、そうだったんだ。歌ったのは、そこで初めてだったの?

高橋 前にやってたロックバンドではちょっと歌ってたんです。こういう声なんで自分が歌うとしたらソウルじゃなくてロックだろうなと思ってて。

 でも、その頃にJAGATARAみたいなスタイルで日本語で歌うファンクもあると知って、こういう感じなら自分が歌うのもアリかもなと思いました。

 それに、あらためて海外のソウルを聴いてみたら、結構がなってる人もいっぱいいるんだって発見もして。


光石さんが取材時に持参してくださった私物。

──今はたいていは思い出野郎の印象というと、マコイチ(高橋)くんの特徴のありすぎる歌声の話になることが多いですけどね。

光石 「バイプレイヤーズ 〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」(テレビ東京系/2017年〜)を撮影してたときに、田口トモロヲさんと話してたら、田口さんも思い出野郎のことをご存じで、「かっこいいよね、声がいいよね」って言ってましたよ。

高橋 びっくりしますね。おそれ多いです。

光石 「今度ライヴあるときは行くんで絶対誘ってよ」って言われていて、まだ実現してないんですけど(笑)。でも、何かの機会には一緒に行きたいと思ってます。

光石 研(みついし けん)

1961年生まれ。福岡県出身。高校在学中の78年に映画『博多っ子純情』の主役に抜擢を受け、俳優デビューを果たす。主な出演作に、映画『Helpless』『紀子の食卓』『ヒミズ』『シン・ゴジラ』『アウトレイジ 最終章』『モリのいる場所』『羊と鋼の森』『教誨師』、ドラマ「バイプレイヤーズ」「未解決の女」「ハゲタカ」「フェイクニュース」などがある。テレビ東京系「木ドラ25」『デザイナー 渋井直人の休日』では主演を務めた(2019年1〜4月放映)
●鈍牛倶楽部(所属事務所)公式サイト http://dongyu.co.jp/


高橋 一(たかはし まこと)

1986年生まれ。東京都出身。多摩美術大学在学中に結成した8人組ソウルバンド「思い出野郎Aチーム」のヴォーカル、トランペット担当。愛称「マコイチ」。全曲の作詞を手がける。思い出野郎Aチームは2014年12月にシングル「TIME IS OVER」でデビュー。現在までに『WEEKEND SOUL BAND』『夜のすべて』『Share the Light』と3枚のアルバム、EP『楽しく暮らそう』などをリリース。バンド主催のイベントなど精力的なライヴ活動を続ける。2019年はマンスリーイベント『ウルトラソウルピクニック』を全国各地で行っている。
●公式サイト https://oyat.jp
●カクバリズム(所属事務所)サイト https://kakubarhythm.com/artists/oyat


思い出野郎Aチーム
3rd ALBUM『Share the Light』

カクバリズム 2,700円 発売中
https://kakubarhythm.com/special/sharethelight/

構成・文=松永良平
撮影=佐藤 亘

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