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中古マンションでの快適生活のコツは キッチンエリアをオープンにすること

  • 2018年12月7日
  • CREA WEB

 北欧、断捨離、ポートランド。部屋づくりには色々なブームがありましたが、今は人それぞれ。それでも誰もが求めているのが「居心地のよさ」だと思います。

 だから、自分の部屋を「週末ずっといたい、一歩も外に出たくない」と思えたら、結構幸せな気がします。新しい年を居心地のいい部屋で迎えませんか?


限られた空間で
いかに豊かに暮らすか

 食べることは、生きること。機能的だけれど、人の温度を感じるキッチンを部屋にしてみたら……。ごはんを食べたくなる家って、やっぱり幸せです。

●佐々木倫子さん[建築家]
1R+ロフト/3人暮らし


幅4.5mの大きなカウンターはキッチン、ダイニング、ワークスペースと、マルチな顔を持つ。

 建築家の佐々木さんが夫と子どもと暮らすのは、築37年の中古マンションだ。元は2LDKだったが、「あまり広いとは言えない空間で最大限豊かに暮らしたい」と、個室のない大きなワンルームへの改造を決めた。


キッチン背面には天井まである大きな収納を設けて、食器、日用品のストックからオフシーズンの服までしまう。

「とはいえ、家の中にも当然パブリックなスペースとプライベートなスペースがあるから、それをどう配置するか考えました」


立ち仕事のキッチン部分は床を一段下げて使い勝手よく。

 出した答えは最もプライベートなバスエリアと寝室をフレームで囲うようにデザインすること。壁で閉じないから、リビングと繫がりつつも独立性のあるエリアになった。

 逆に思い切ってオープンな空間にしたのがキッチンエリアだ。真っ先に目に飛び込む幅4.5メートルの杉でできたカウンターはキッチンであり、ダイニングであり、ワークスペースでもある。


フレームで囲い、独立性を持たせた寝室。

寝室上部はロフト。廊下に面した大胆なバスルームも額縁のようなデザインで独立したエリアに。

ときに応じて柔軟に使い分け


カウンターと同じく杉の足場板でつくった吊り棚。キッチン小物の間にリサ・ラーソンのオブジェが顔をのぞかせる。

「区切られた狭い空間にそれぞれの機能を持たせるより、人やときに応じてひとつの空間を自由にいろいろと使えるほうが暮らしが広がる気がして。夕方、息子が学校から帰ってくると仕事をする私の横で宿題をしたり、夜に人が大勢集まれば仕事道具を片付けてパーティのカウンターにも。30人くらいでワイワイ囲むこともあります」


「トゥデイズスペシャル」で見つけた大きなまな板。アメ横で魚を買って巻き寿司パーティをするときにも大活躍。

 リビング側のカウンター下は本棚、反対側はキッチン収納。上部には吊り棚を設けて、よく使う調味料や道具類の置き場にする。

 レールを取り付け、Sカンでツール類やマグカップをずらりと吊るせるようにしたから、必要なときにサッと手を伸ばせるのも便利で気に入っていると話す。


シンクはフィリップ・スタルクのデザインをセレクト。

 実はキッチン本体はもともとこの家に備わっていた普通のシステムキッチンだ。「収納部分にオークの突き板を貼って、ツマミを取り替え、天板を杉の足場板に替えただけ」というから驚かされる。


“出す”と“隠す”のバランスで居心地よく。天井際には梁に合わせてぐるりと棚を設け、ビジュアル本やアートを飾る。

 朝はササッと食事の支度をして、家族3人でカウンターを挟んで朝ごはん。片付けをして息子さんを送り出すと、佐々木さんはパソコンに向かう。

 そんな仕事スペースの横だからシンクの見え方には特に気を配ったそう。水切りかごがあると一気に生活感が出るうえ、そもそも気に入ったデザインが見つからないため、選んだのは水切りトレイがシンクと一体になったフィリップ・スタルクのもの。

 三角コーナーも使いたくなくて、生ゴミは使い古したシンク脇の鍋に。言わないと誰も気づかないとか。


カウンター下は本棚に。イス好きで、アーコールなど少しずつ集めた名作チェアが並ぶ。

「私にとって居心地のいい空間とは自分好みの素材感や、好きなものに囲まれた空間。ごちゃごちゃしすぎても、シンプルすぎても居心地が悪い。緊張感とごちゃっと感の中間みたいなちょうどいいバランスを常にはかっています」


●紹介してくれたのは……
佐々木倫子(ささき ともこ)さん

隈研吾建築都市設計事務所勤務を経て、2015年に建築ユニット .8一級建築士事務所設立。2016年、TENHACHI一級建築士事務所設立。夫の建築家・佐藤圭さんは共同代表。

Text=Nobuko Sasaki
Photographs=Tamon Matsuzono

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