
金沢駅直結の金沢百番街内の中でも、北陸新幹線の乗り場近くにあるおみやげとグルメの施設「あんと」。その中のあじわい小路にあるのが「季節料理 おでん 黒百合(くろゆり)」です。駅施設にあり続けて約70年の人気店は、創業以来のメニュー金沢おでんが味わえます。ほかにも、加賀の伝統料理を味わえたり、初心者でも挑戦できる米どころ金沢ならではの日本酒が豊富だったり、石川県の味を存分に楽しめるお店です。定食もあるので、ひとりごはんにもおすすめですよ。
1953(昭和28)年、国鉄金沢駅地下ステーションデパートでオープンし、1991(平成3)年に金沢百番街へ移転。その後、北陸新幹線の開業に伴い「金沢百番街あんと」としてリニューアルして現在に至ります。「駅近の金沢おでんの店」として知られ、70年以上変わらない味を3代目が守り続けています。
金沢おでんの特徴は、主に昆布、鰹節、煮干しなどのダシがうみだす、ほのかに甘く優しい味わいといいます。もちろんその特徴は当てはまりますが、こちらは削り方の異なる2種の鰹節に加え、鯖節や昆布などを加えたオリジナリティある旨味があり、何より香りが良いと評判です。毎日新しいダシをつくり継ぎ足して、創業からずっと調え続けています。具材の味わいを生かしながら、しっかり染み込んだダシのジュワっとしみるおいしさが楽しめますよ。
金沢おでんは、定番の大根や厚揚げ、こんにゃくなどに、北陸でよく見かける赤と白の渦巻きかまぼこの赤巻や、油揚げで巻いたぜんまいなどがあります。また、生麩を棒に巻いて焼き上げた車麩は、ダシがしみしみでとろとろの食感に。またこのあたりで一般的に食べられている巻き貝の梅貝も、金沢おでんの特徴的な具材。コリコリとした歯ごたえがあります。
観光客はもちろん地元の方にも人気の店だけあり、定食もいろいろあります。日替わり定食はランチ限定ですが、それ以外の定食7種は夜でもオーダーが可能。石川県らしい岩魚付きの白山定食から、金沢おでん定食まであり、人気はきときと定食。近海で獲れた、きときと=新鮮な魚介に、小鉢も付いた満足できるメニューです。ほかにも、金沢の伝統料理の加賀丸芋の月見とろろ、白山の堅豆腐などもあります。
夕方4時以降に登場するメニューが郷土料理の「鴨の治部煮」と「どて焼」です。鴨の治部煮(1200円)は、小麦粉をまぶした鴨肉を、甘めの醤油だしで煮込んだ金沢の伝統料理で、野菜や麩などの具材も一緒に味わいます。
またどて焼円は、豚バラ肉とこんにゃくを交互に刺した串を、おでんダシで蒸し焼きにして、白味噌をたっぷりと絡めた一品。お酒のアテにも良いので、豊富にそろえる石川の銘酒や霊峰白山の美酒で、日本酒デビューをするのもおすすめです。
11時から22時まで通し営業なのも嬉しい「季節料理 おでん 黒百合」。電車を待つ間や、旅の始まりや最後に、金沢を存分に味わうにはおすすめのお店です。