
京都御所の東隣にたたずむ「UCHU wagashi 寺町本店」は、カラフル&ポップなデザインの落雁(干菓子)が人気の和菓子店。2024年春のリニューアルにより、天然木がほのかに香るスタイリッシュな空間となり、カフェスペースも拡大。メニューも増えてますます魅力が増しました。京都旅のおみやげ、贈りもの、自分のためのおやつ選びや、カフェタイムをゆったり楽しめるほか、落雁づくりのワークショップも体験できますよ。
京阪神宮丸太町駅から歩いて7分ほど。寺町通を北上していくと、ほどなくして現れる2階建てのモダンな京町家が「UCHU wagashi 寺町本店」です。
「UCHU wagashi」は、京都出身のデザイナー・木本勝也さんが「人をわくわくさせたり、しあわせにする和菓子を」と、2010年に西陣で立ち上げた和菓子ブランドです。木本さんみずからデザイン、菓子づくり、プロデュースすべてを一手に担うことで話題となり、従来の和菓子にはなかったスタイリッシュさが人気を集めてきました。2024年春、町家長屋の棟続きだった隣家が空いたのを機にリニューアル。2軒分の広さになって、お買いもの、カフェタイムそれぞれをゆったりと楽しめるようになりました。
看板商品は、選びぬいた素材と国産の和三盆糖を使い、ひとつひとつ手作業でつくる「落雁(らくがん)」。秋の訪れを告げる「りすとどんぐり」は、どんぐりを口いっぱいに頬張るキュートなりすとどんぐりの落雁、金平糖の詰め合わせで、毎年心待ちにするファンも多いひと品です。落雁を口に入れると、さらさらとほどけていき、和三盆の奥ゆかしい甘さが広がります。
「drawing」は、「UCHU wagashi」が最初に生み出した商品。伝統的な和菓子は季節の移ろいや自然の風物をモチーフにつくられますが、「drawing」は、ピースを組み合わせることで自分だけのイメージを形づくれる、 新しいスタイルの和菓子です。お気に入りのお皿をキャンバスに、思いのままに描いてみては。
和三盆糖を100%使用した「ochobo」は、プレーン、ジャスミン茶、ほうじ茶、抹茶の4種のティーフレーバーがひと箱に。キャンディーのように包まれた和紙をそっとほどいて口に入れると、豊かなお茶の風味が感じられます。茶葉の香りがより長持ちするよう、和紙はやわらかなものを選りすぐり、「ochobo」に傷がつかないようひとつひとつ丁寧に手作業で包んでいるそう。
甘夏、桃、ぶどうのフルーツ羹を、卵白を加えて軽やかにした白あんと合わせた「フルーツの羊羹」。カットした時の断面の美しさを考え、フルーツ羹の並べ方にも工夫を凝らしているといいます。香料を使わない、フルーツ本来のもつ香りと味わい、上品な甘さが印象的です。
ショーケースにはそのほか、落雁のデザインとリンクしたオリジナルのお菓子皿も並んでいます。
カフェでは、抹茶パフェや抹茶のおしるこ、季節の落雁と抹茶など、多彩なメニューがスタンバイ。茶葉は、茶どころ宇治で江戸時代初期から製茶問屋を営む「山政小山園」の上質な抹茶やほうじ茶を使用しています。
人気は、白玉、黒糖くるみ、パフ、あんこ、ミルクゼリー、抹茶ゼリーが層になった「抹茶パフェ」。ミルクアイスのさっぱり感と、抹茶のリッチな風味が溶け合って、余韻を残すおいしさです。
山桜製の木型や和三盆糖など、販売商品に使っているのと同じ道具や素材を使って落雁の手づくり体験ができるワークショップも不定期で開催しています。水分を加えた和三盆糖をギュッと木型に押し詰め、木型から外せば出来上がり。工程そのものはとてもシンプルですが、水分量や押し詰める際の力加減で食感や口どけが左右されるのが難しいところです。出来たてを抹茶と一緒に味わい、残りは持ち帰ることができます。
落雁づくりに欠かせない山桜の木型について、「木と干菓子は、どちらも呼吸しているもの。やはり日本の風土で育った木が、日本でつくるお菓子にフィットするように思います」と、勝也さんと二人三脚で店を担う奥様の倫子さんが話してくれました。
落雁は、抹茶、ほうじ茶、煎茶など日本茶はもちろんのこと、コーヒーや紅茶との相性もぴったり。おうちでのお茶時間をより豊かに演出してくれますよ。