2024年9月23日、京都の碁盤の目の街なかにオープンした「BONSAI1877」。かつて染め物屋だったという築150年近い京町家の古き良き意匠を生かしてリノベーションした、スタイリッシュなトラットリアです。旬の地野菜や丹後・舞鶴から仕入れる魚介など、京都の食材を中心としたイタリア料理や、薪窯で焼き上げた本格ナポリピッツァが味わえます。ランチ、ディナー、バーまで、シーンに合わせて重宝する一軒です。
地下鉄烏丸線または東西線の烏丸御池駅から西へ歩いて5分ほど。盆栽をモチーフにした白いのれんが目印です。建物は1877(明治10)年、代々京友禅の下絵師を受け継ぐ熊谷家の工房兼居宅として建築されたもの。店名の「BONSAI」には、日本のアイコンのひとつである“盆栽”、三方を山に囲まれた京都“盆地”、彩りよく料理を盛り付ける“盆彩”と、さまざまな意味が込められています。
1階の新町通側は、薪窯を据えたオープンキッチンとテーブル席が2つ。薪窯でピッツァを焼く様子が間近で見られてライブ感が楽しめる席です。40mもある通り庭(土間)を進むと、バー仕様のカウンター、坪庭、離れの個室も。“うなぎの寝床”と呼ばれる京町家ならではの、奥行きのある間取りとなっています。
2階には、テーブル席のほかゆったり座れるソファ席もあります。「火袋」と呼ばれる吹き抜けや梁など、京町家特有の意匠を残しながら和モダンなテイストを取り入れた、スタイリッシュな空間です。
ピッツァは10種がスタンバイ。注文すると、シェフ兼プリモピッツァイオーロの鳴嶋喜永さんが、華やかでありながらも手早い所作で生地を伸ばし、具材をのせ、窯で焼き上げてくれます。
「小麦粉は北海道産の石臼挽きの全粒粉など3種をブレンドし、甘みと小麦本来の香りを引き出しています。また、生地は三次発酵まで行っています。そうすることで、層のひとつひとつが立ち上がってサクッと軽い食感になるんですよ」と鳴嶋さん。
九条ネギや、揚げナス、きんぴらレンコンなど、上にふりかける粉チーズ以外は野菜オンリーの「ヴェルドゥーレ」が人気。たとえばレンコンなら、茹でたあとオイルで香りづけして炒め、赤ワイン、バルサミコ酢、はちみつで和えるなど、具材のひとつひとつに下味を付けているそう。「テーブルに運ばれてきたときの香りも楽しめるように」と、焼く前と焼き上げた後とで、ふりかけるオレガノを使い分けるというこだわりも。
ランチは、「本日のプレートランチ」、「本日のパスタランチ」、「和牛ハンバーグステーキ」、「和牛ボロネーゼ」、「ベジプレートランチ」の5種がそろいます。人気の「ベジプレートランチ」は、たっぷりの野菜のほか、丹波産地鶏の鶏ハムや卵も。野菜それぞれの持ち味を引き出すべく、手間暇かけて下ごしらえされていて、食べ応えのある一皿です。ヴィ―ガン対応もOKとのこと。
ドルチェは2種。宇治の茶商・辻喜が一芽一芽手摘みした茶葉を丁寧に石臼で挽いて仕上げる抹茶を使った「辻喜抹茶アイスとラムレーズンのアイス」と、バスクチーズケーキです。香り高く濃厚な抹茶の風味が感じられます。
京都産素材をふんだんに使った、本格派でいてリーズナブルな料理の数々をスタイリッシュな空間で。誰かに教えたくなる一軒です。