“洋館とフランス料理の街”と呼ばれている青森県弘前市は、レトロモダンな町並みに溶け込むフランス料理店が点在しています。なかでも、アットホームな雰囲気で気軽に立ち寄りやすいのが「フランス食堂 シェ・モア」。メインディッシュやデザートまで青森県産の紅玉を使ったコースランチで、りんごの様々な美味しさを堪能してみてはいかがでしょうか。
青森県西部の津軽地方にある弘前市。りんごの生産が盛んなことで有名ですが、実は人口に対するフランス料理店の軒数が日本一多いことから“フランス料理の街”としても知られているそう。肩肘張らずに普段使いもでき、地元客はもちろん観光客にも長年親しまれているのが「フランス食堂 シェ・モア」です。
店名はフランス語で「わが家」という意味。フレンチだからといって形式にこだわらず、気軽に楽しんでもらいたいという願いをこめ、オーナーシェフの藤田力三さんによって1987年に創業しました。店内はチェック柄のテーブルクロスをアクセントに、フランスの田舎町を思わせる素朴で温かみのある雰囲気。リラックスした気持ちでゆったりと食事ができます。
料理は、海と山に囲まれた食材の宝庫・青森ならではの食材が主役。陸奥湾で捕れる鯛やホタテ、真鱈の白子など、藤田シェフ自ら市場で選りすぐり、四季折々の食材を合わせて一皿が完成します。フレンチの枠にとらわれず素材を生かした品々からは、地元愛も感じられますよ。
通常のランチコースのほかに、青森県産の紅玉を使った「りんごランチコース」を提供しています。「料理にりんご?」と驚くかもしれませんが、甘味と酸味を生かして味のバランスが考え抜かれ、これまでに味わったことのないおいしさに出合えますよ。「味が全て同じにならないように」と試行錯誤の末に生まれた、開業時から続く藤田シェフの渾身作でもあります。
ほんのりピンク色に染まった見た目が可愛らしい「紅玉りんごの冷製スープ エスプーマ仕立て」から運ばれてきます。しっかり伝わってくる紅玉の果実味と、ふんわりとした口当たりのムースにうっとり。すっきりとした酸味もあって、食事の始まりにぴったりな味わいですよ。
繊細で美しい盛り付けが目を引く「白神の甘鯛のポワレ 紅玉りんごのシードルソース」。肉厚の甘鯛が、口の中でやわらかにホロリと崩れます。紅玉の角切りが入ったシードルソースは、香りがよく甘味さわやか。たっぷりと絡めていただくと、風味豊かな表情になります。
パリッと薄いパイ生地で牛ほほ肉の赤ワイン煮を包んだ「青森産牛ほほ肉とりんごのパートフィロ包み焼き 赤ワインソース」。バターを塗って一晩低温でぎゅっと旨味を凝縮した紅玉が添えられています。
中に忍ばせたクリームチーズのコクが満足感をプラス。牛ほほ肉のとろけるようなやわらかさが、パリッとしたパートフィロによって一層際立ちます。合間に紅玉を食べると、酸味と甘味が加わって最後までおいしくいただけます。
締めくくりのデザートは、フランスの一般的な家庭料理として知られているフルーツグラタンをアレンジした「カスタードグラタン仕立て」。熱々とろとろのカスタードクリームにアーモンドクリーム、りんごが一体となってやさしい味わいです。オレンジが香るコアントローのアイスクリームが絡まると幸福感でいっぱいに♪
これらにパン、コーヒー又は紅茶が付いてきます。ディナーで提供される「リンゴフルコース」は、2名様からオーダーすることができます。
青森県産のりんごを丸ごと一個使って焼き上げた「まるごとりんごチ-ズ風味パイ」も評判です。外側を覆ったパイ生地はサクサク香ばしく、土台のタルト生地との食感の違いも楽しめます。
ひと口食べるとジューシーな果汁があふれ出し、フレッシュな甘味と酸味が広がります。芯をくり抜いた部分にはクリームチーズが詰められ、アーモンドクリームとカスタードクリームが合わさると贅沢感たっぷり。お取り寄せすることもできるので、家族や友人とシェアしてみてくださいね。
地元食材を取り入れた気取らずに楽しめる弘前フレンチを、観光の合間に味わってみてはいかがでしょうか。