比叡山の麓に広がる自然豊かな八瀬の地。そこから高野川の流れに誘われ南へ下ると、かつて上皇が離宮を構えた修学院へ。今では個性あるカフェやショップが点在するエリアです。この秋は、自然と人の営みがほどよく調和する小さな町を訪ねてみましょう。
秋になると、電車を降りてすぐの八瀬もみじの小径で野趣あふれる山紅葉、瑠璃光院で手入れされた庭紅葉や、SNSで話題の鮮やかなリフレクションなど、タイプの違う秋景色が目を楽しませてくれる八瀬~修学院離宮道エリア。前編では、紅葉が美しい3つのスポットをご紹介しました。
後編では、修学院駅周辺のカフェやごはん処、雑貨屋さんをめぐります。
叡電修学院駅から徒歩10分。比叡登山や離宮帰りに訪れたい「山道具とごはん 麓」。店奥にはガラス窓を通して豊かな緑が見えます。
地元の修学院や、大原、黒田など近隣の田畑で収穫された野菜をふんだんに使う定食が看板メニューで、この日のメインはトマト酢豚。修学院産の米を使う雑穀米や、カリフラワー、
イチジクなど旬の味がたっぷりです。
安土桃山時代に若狭街道(鯖街道)の茶屋として創業した「山ばな 平八茶屋」。山口県の禅寺から移築された騎牛門(きぎゅうもん)をくぐって店内へ入りましょう。
秋になると庭園の木々が赤や黄に色づき、赤い毛氈を敷いた席でひと休みするのもおすすめ。かま風呂もあり散策の疲れも癒やされます。
日々の喧騒から離れ、忙しい日常を忘れて、店主の淹れるコーヒーと奥様の手ごねパンが味わえるベーカリーカフェ「CAFE Uchi」。静かな空間を大切にしているので、来店は2名までで。カウンター席でほっこりひとり時間を過ごすのもいいですね。
修学院駅近くの商店街に店を構えるアンティークショップ「chic and clan ; artless Life」。古道具屋というよりもセレクトショップのような店構えが特徴です。
商品は、日本のみならず、アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、店主のおめがねにかなったものを取り扱っています。器は現代の作家ものがメインで、家具や雑貨のコーディネートにヒントがもらえそうな一軒です。
建築界では知る人ぞ知るガラス張りの細長いビル。この風変りな空間は、書店勤めをしていた店主が営む、立ち飲みを併設した古本&雑貨屋さん。奥行2mほどの極細ショップに魅かれ、さまざまな人がやってきます。
書棚には小説からサブカルチャー系の本まで、雑貨は文具から布小物まで、ありとあらゆるジャンルをカバー。建築好き、読書好き、お酒好きが集まり、思わぬ出会いがあったり、つながったりする楽しみも。立ち飲み初体験にもおすすめです。
大原で養鶏に取り組む農園が、おいしい卵をもっと広めたいと市街地に近い修学院に開いた菓子工房。鶏が自由に動き回れるよう平飼いし、十数種類の原料を配合した独自の飼料で育てるなど試行錯誤を重ね、味にこだわる「野たまご」が誕生しました。プリンやシュークリーム、クッキーなどの焼き菓子だけでなく、野たまご(1個97円)も提供しています。
土・日・月曜にはシュークリームがお目見え。野たまごを使ったコクのあるカスタードクリ
ームと生クリームがコンビになったダブルクリームです。
いかがでしたか?
もっとよりみちしたい方は八瀬比叡山口駅からバスに揺られ約20分で大原へ。お座敷で秋色に染まる庭を前にお抹茶を頂ける三千院や、宝泉院ではしっとりとした秋の風情を味わって。また駅からケーブルとロープウェイを乗り継ぐと、比叡山山頂駅へ到着。そこからはバスで延暦寺にも行けますよ。