京都は知る人ぞ知るパンの街。そこで、もう10年以上も地元で愛されているベーカリーカフェが洛北にあります。焼きたて手ごねパンと淹れたてコーヒーが迎えてくれる落ち着いた空間で、日々の喧騒から離れ、忙しい日常を忘れて、旅のひとときをゆったりと過ごしてみませんか?
「CAFE Uchi」へは、まず京都駅からバスで30分の出町柳へ。そこで路面電車の叡電(えいでん)に乗り換え7分の修学院駅で降ります。ガタンゴトンと民家をぬうように走るローカル電車は、乗るだけで旅気分になりますよ。駅からは大原通を5分ほど北へ歩くと、右手にカフェが見えてきます。
扉を開けると、そこはやわらかな明かりが灯り、温もりに包まれた空間。こじんまりとした店内には、カウンター席が8席。カフェを切り盛りする内田さん夫妻が、蚤の市や折にふれて収集したアートが壁を飾ります。
内田さんは、ご主人がコーヒー、奥様が手ごねパンを担当。おふたりは、カフェの空間をとても大切に考えているそうです。
単に食べて飲むだけではなく、リラックスして気持ちよく過ごせる場、何も考えずぼんやりひとりで過ごす時間、来るとなぜかほっと落ち着くカフェ、そんな場所があればという思いを形にしたのが、CAFE Uchiでした。
CAFE Uchiの魅力をあますところなく味わえるのが「キッシュプレート」。キッシュ、ライ麦季節のジャム&クリームチーズパン、サラダのセットです。
キッシュのサクサクのパイ生地はもちろん手作り。大きなキッシュを三角に切り分けるのではなく、小さな丸い形になっているのは、生地のサクサク感を楽しめるようにとの心配りから。
また、ライ麦パンは、中は手ごね独特のモチモチ、外はサックリ。トースターで焼く途中に温度を変え2度焼きすることで、焼きたてパンのような食感にしているそうです。パンに包み込まれた、砂糖とレモン汁だけでコトコトと炊き上げられたジャムも爽やかな風味ですよ。
セットに合わせるドリンクは、自家焙煎のドリップコーヒーがおすすめです。オリジナルブレンドの豆を、ハンドロースターで少量ずつ焙煎。注文を受けてから豆を挽き、一杯ずつハンドドリップで淹れてくれるコーヒーは、深煎りだけど飲みやすく、キッシュやパンの味を邪魔することがありません。
京都らしいパンの代表は、米粉入りの抹茶パンで発酵バターと餡をはさんだ「あんバターサンド」。餡は自家製で、大納言小豆を粒の食感が少し残るようコトコトと炊き上げているそう。餡の上品な甘味と、抹茶の苦み、バターのコクが溶け合い、午後のティータイムにぴったりな甘パンです。
店の入り口には、パンにちなんだ雑貨が並んでいます。たとえば、本に挟む栞は、貼り絵作家さんによる1点1点手作りのもの。CAFE Uchiのような静かな空間では、紙の本が読みたくなるのでいくつあってもよさそうです。
また、毎月15日にある百万遍手づくり市や、毎月第4日曜日の上賀茂手づくり市にも、パン雑貨を出店されています。詳細はインスタグラムで確認してくださいね。
紅葉の名所である修学院離宮や赤山禅院は、CAFE Uchiから歩いて15分ほどの距離。秋の紅葉散歩の後に立ち寄って、一人静かにほっとひと息ついてみませんか。