国宝犬山城や歴史的建造物を展示する博物館明治村など、観光スポットに恵まれた愛知県犬山市。次々と新しいお店が増える城下町は、そぞろ歩く人たちでいつもにぎわっています。そんなメインストリートの近くにあるのが「珈琲ボタン」。自家焙煎珈琲と自家製ケーキをはじめ、看板猫ちゃんなどさまざまな魅力が詰まったお店。今年7月に移転して雰囲気ががらりと変わったお店で、その魅力を確かめてみませんか。
愛知県の北端に位置する犬山市。名古屋駅からは名鉄電車の特急で約30分、車でも1時間程度と半日観光にほどよい距離です。国宝犬山城へと続く古い町並みから少し東へ入った場所に「珈琲ボタン」がオープンしたのは2017年。コーヒーを仕事にしたいと考えていた大前良平さんと、数年前から犬山で暮らしていた和恵さん夫妻が、閉店したカフェの店舗を引き継いでお店を始めました。
城下町のメインストリートからすぐ近くにあった「珈琲ボタン」は、地元の人や観光客でにぎわう人気店に。自家焙煎珈琲と自家製ケーキの確かな味、古民家の落ち着くたたずまい、気ままな看板猫などに魅かれて通うファンも着実に増えていきました。
焙煎機や住居スペースの都合などで数年前から移転を検討していましたが、ようやく条件に合う物件が見つかり、今年7月に移転。「遠くへ行ってしまうの?」という不安の声もあったそうですが、旧店舗から東へ徒歩2分の場所に落ち着きました。
細い通りの角に建つお店は正面がガラス戸で西側にも窓があるので、外光がほどよく入る空間。真っ白な壁とライトグレーの床でさらに明るく、天井が高くシームレスな構造でより広々と感じられます。移転してオープンキッチンになったため、店内にコーヒーの香りがより豊かに広がり、キッチンに立つ大前さん夫妻とお客さんの距離もぐっと近くなりました。
旧店舗で使っていた緑の椅子などは引き継がれ、お二人の好みが伝わってくる本やマンガも変わりなく。これまでの珈琲ボタンに愛着を感じていた常連さんも安心です。
店を始めた当初はモーニングやランチも提供していましたが、徐々に手放していき、現在は自家焙煎珈琲と自家製ケーキに専念。コーヒー担当の良平さんは豆の仕入れや焙煎のチェックに十分な時間を使い、和恵さんは旬のフルーツを取り入れた期間限定のケーキを提供できるようになったそうです。
コーヒーとケーキ、それぞれの担当をしっかりと追求しながらも、どこかふんわりと和やかな大前さん夫妻。お二人が醸し出すやわらかな空気と、その感性で集められた置物やレコード、本なども、ボタンの居心地のよさにつながっています。
コーヒーは浅煎りから深煎りまで、好みや気分に合わせて選べるよう幅広いラインナップ。ペーパードリップのほか、エスプレッソマシンを使ったラテなども楽しめますよ。
移転して焙煎機を大きなものに変えたことで、「安定したブレのない焙煎で、よりすっきりした味わいのコーヒーになった」と話す良平さん。以前はいろいろなデザインを使っていたカップ&ソーサーも、白いフリーカップに統一。「よりシンプルに、コーヒーそのものにフォーカスしたい」という想いがあるそうです。
和恵さんが担当するケーキは、定番のクリームキャラメル、三層のチーズケーキ、ガトーショコラの定番に加えて、期間限定の一品。初秋は、犬山の農園”林ファーム”で採れたシャインマスカットとナガノパープルを使った葡萄のタルトで、数量も限定です。期間限定のケーキは、季節の素材に合わせてタルトやレアチーズケーキ、シュークリームなどさまざま。どんなケーキに出合えるか楽しみです。
お菓子を作る際には、まずコーヒーとの相性を考えるという和恵さん。ご自身が好きなバターを使ったコクのあるお菓子はコーヒーに合うので、自然と多くなるそう。製菓に強いスタッフさんが加わったこともあり、今後は季節のケーキをもう一種類、焼菓子も増やすことを目指しています。
おいしいコーヒーとケーキで満たされたい、音楽を聴きながら読書してくつろぎたい、看板猫ちゃんと仲良くなりたい…。それぞれのおめあてを求めて訪れる「珈琲ボタン」。犬山へまた出かけたいと思う理由の一つになる、素敵なお店の魅力をぜひ感じてみてくださいね。