観音開きのレトロなガラス戸を引くと、しっとりとした落ち着いた雰囲気に包まれる「vuori(ブオリ)」。ネルドリップで淹れるコーヒーをはじめ、暑い時期は毎朝手づくりする自家製シロップのかき氷が人気です。大切に使われてきたアンティークの道具が品よく配置され2階にはギャラリーも。忘れかけていた大切なものを思い出せてくれるお店です。
長谷の街に古くからある海産物の卸問屋さんの倉庫をリノベーションした喫茶店「vuori」。お店のとなりには大正時代に建てられた旧倉庫が並び、この付近は昔ながらのたたずまいを残すエリアです。「vuori」は山を意味するフィンランドの言葉で、山で過ごすひと時のように過ごしてほしいとの思いからつけられたのだそう。
席に通されると、木材が通っていたと思われる凹凸のある古い木の柱や古材を活かして作った手触りのいいテーブルなど、普段あまり意識することのない木の温かい質感を間近に感じます。何十年にもわたって使われてきた木目の美しさに目が奪われますよ。
階段の奥にも席が広がり、ほの暗い灯りのもとでゆったりとした時間が流れていきます。
自慢のコーヒーは深煎りの豆で淹れるネルドリップ式。藤沢のコーヒーロースターで焙煎したこのお店のスイーツにあうように深煎りの豆で、焙煎具合は季節にあわせて微妙な調整をしているのだそう。
そんなコクのあるコーヒーと相性のいいスイーツは「ベイクドチーズケーキ」や「そば粉のガレット塩バターバニラ(9月下旬から提供)」をはじめとして5種類ほど。陶芸作家の作品のコーヒーカップやお皿も素敵です。
いつしか夏の看板メニューになったかき氷。冷凍庫で保管した氷を削る前の一定時間常温に置く配慮が、とろみのあるひんやりとした美味しさを生み出します。かき氷にはすべて温かい黒豆麦茶が付いて、かき氷で涼んだあとはほっとしますよ。
人気の「生いちごミルク」は、信州・小布施産のいちごでつくるシロップがたっぷり。生のいちごに練乳などをあわせてシロップを作り、火を通さないので完熟したいちごの美味しさそのままに甘みをいただきます。生いちごのシロップは保存がきかないので、毎朝その日の分だけ作るのだとか。贅沢な王道かき氷です。
ほかにもバニラアイス入り「珈琲ミルク氷」や自家製白あんをのせた「白いんげんミルク」などオリジナルをラインナップ。牛乳でほうじ茶を煮だした「ほうじ茶ミルク」はまるでミルクティーの様な味わい。煮小豆がアクセントです。
レトロな階段を登った2階は、「くらしの道具店」になっていて、陶芸作家の器をはじめ銀彩のブローチやポストカードなどがアンティークの棚に並びます。カフェで使用している刷毛目のコーヒーカップやかき氷をのせるお皿などはこうした作家さんたちの作品です。
奥にはオーナーの知り合いの選出による古書が並び、『わたしの草と木の絵本』など手に取って見たくなるような書籍も。カフェでくつろいだ後は、ぜひ2階ものぞいてくださいね。