穀物の蔵として使われていた蔵をリノベーションした「関次商店 パンの蔵 風土」。宿場町の風情が残るエリアにたたずむ白い蔵の中に一歩足を踏み入れると、しっとりとした落ち着いた雰囲気が漂います。電球の明かりの灯る蔵の中でサンドイッチやコーヒーをいただくと、まるで明治時代にタイムスリップしたかのような気分になりますよ。
日本橋を起点とした旧東海道の6番目の宿場町・藤沢宿は今の藤沢市内にあたり、土蔵造りの建物が点在してそのなごりを感じさせます。そんな歴史あるエリアにたたずむ「関次商店 パンの蔵 風土」は、国の登録有形文化財「関次商店の穀物蔵」をリノベーションしたパン屋さん。明治時代に建てられた蔵に電気と水道を通して美味しいパンを毎朝焼いています。
頑丈な鍵の付いた入口から入ると蔵特有の高い位置にある窓から明るい日が差し、天井も高いせいか思った以上に広く感じます。明治19年に建てられたという頑丈な蔵はパン屋さんとして再びよみがえり、風情のある落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
経営しているのは岩田和憲さん佳奈さんご夫妻。ご主人の和憲さんが、教育関係の仕事をしていた時にとある保育園で園児の食べる天然酵母のパンのおいしさに出会ったことがきかっけとなって2人でパン職人の道を選んだのだそう。あの時の自然なパンの風味をたくさんの人に味わってもらいたいと、その日の温度や湿度に合わせて配合した自家製酵母で発酵させたパンを主流にしています。
幅80㎝以上もある一枚板のカウンターには、カナダ産オーガニック小麦をメインに使った焼きたてが20種類ほど並びます。湯種を使った柔らかい食感の「食パン」やヒマワリやカボチャなどの種を沢山トッピングした「なたね丸パン」、サンドイッチにすると小麦の酸味が旨味に変わる小麦とレーズンの酵母で発酵させた「カンパーニュ」(1/4サイズ270円~)など、おいしいうえに体にも優しいパンが注目を集めています。
木枠のケースに入っているサンドイッチのほかプライスカードが出ていればオーダーごとに作ってくれるので、サンドイッチは出来立てをここで味わうのがおすすめです。
ハムやチーズと一緒にバケットのおいしさを味わう「バケットサンド」(518円)や野菜とひよこ豆のペーストをなたね丸パンに挟んだ「フムスのサンドイッチ」などパンの種類も具材にあったものを選んでいます。
ドリンク類も京都の老舗コーヒー店「玉屋珈琲店」の有機コーヒー豆を使用した本格的なコーヒーがいただけます。隠れ家のような蔵の中でのんびりと過ごしてはいかがでしょうか。