小淵沢の別荘やペンションが立ち並ぶ静かなエリアにある「蕎麦Hajime」。
オーナーシェフの清水一彦さんは、東京とシンガポールでフレンチの修業をし、その後、山梨県北杜市にある蕎麦屋「紬山荘」を立ち上げ、2018年4月にこの店をオープンしました。
和にフレンチのエッセンスを加え、それでも「うちは蕎麦屋」と語る清水シェフの料理の世界をのぞいてみましょう。
「蕎麦Hajime」は、古い平屋をリノベーションし、テラス部分を増築した一軒家。
店内に足を踏み入れると、モダンな雰囲気の店内に、ここが蕎麦屋だということを忘れてしまいそうになります。
厨房と客席を区切るのは、大きな一枚板のカウンター。
客席には地元の作家が作ったテーブルやイスがゆったりと配置され、フランスのアンティークライトがテーブルの料理を照らします。
「あまり和のテイストを強くせず、自分の別荘に来たような、ちょっとモダンな感じにしたかった」と語る清水さん。そのため、あえて席数を少なくしてゆったりとした空間に仕上げました。
静かに流れるジャズが、気分をリラックスさせてくれます。
料理はランチは3300円と6600円、ディナーは8800円のコース料理のみ。
これは前菜からデザートまで、一品ずつゆっくり食べてもらいたいという思いからだそう。
さっそく3300円のコースをいただきます。
1皿目は石川県のサバを使ったマリネ。炭で香りづけしたサバをはっさくのジュレで和えたさっぱりとした一品です。
作家ものの黒地の皿が、料理をいっそう引き立てます。
2皿目は「八ヶ岳の野菜のサラダ」。
新鮮な野菜を何種類も使い、イタリアハムを加えて自家製ドレッシングで和えてあります。高原野菜のおいしさは絶品です。
3皿目は「蕗味噌と辛味大根の十割蕎麦」。蕎麦は店の一角にある蕎麦打ち部屋で、蕎麦の実を挽いてその日に使う分だけ打っているそう。
十割蕎麦というとややボソボソした印象がありますが、こちらの蕎麦は細打ちで喉越しが滑らか。香り高い蕎麦本来の味が楽しめます。
4皿目は「野菜の天ぷら」。
鳴門蓮根、さつまいも、そら豆の天ぷらは、それぞれ異なる味付けがされていて、天つゆは不要。野菜そのものの甘みがじんわりと感じられる、滋味深い一品です。
そして5皿目で冷たいお蕎麦が登場。
4月中旬から10月ごろまでは、人気メニューの「すだち蕎麦」が味わえます。
かつお節と宗田節を使った、しっかり出汁の利いたお蕎麦で、これを目当てに訪れるお客さんも多いとか。
出汁の強さと、すだちの酸味があいまって、食が進むことうけあいです。
コースの〆は「チョコレートケーキのピーナッツアイス添え」。さすがは元フレンチのシェフ、と納得のおいしさです。たくさんいただいたあとのお腹にも、すっと入っていくデザートです。
料理のお供のお酒は日本酒をはじめワインの品揃えが豊富。国産ワインも充実しています。オーナー夫妻は二人ともソムリエの資格をもっているので、料理に合うワインを相談してみるのもいいですね。
メニューの内容は仕入れによって変わりますが、いつ訪れてもうれしい驚きと大きな満足感が得られる、そんな「蕎麦Hajime」に出かけてみませんか。