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瀬戸内海に浮かぶ「女木島&男木島」、アートで島の魅力を楽しもう

  • 2019年9月25日
  • ことりっぷ


日本列島における海上交通路の要所として、人と自然が豊かに交差してきた瀬戸内海。この海に浮かぶ島々は現在、たくさんのアートが花開く場所へと生まれ変わっています。3年に1度、この地域で開催される「瀬戸内国際芸術祭」。「海の復権」をテーマに、瀬戸内海を世界の「希望の海」にすることを目指した大規模なアートフェスです。
春・夏・秋と三期にわたり開催される「瀬戸内国際芸術祭」。いよいよ9月28日(土)から、「ひろがる秋」がはじまります。
ここでは、その会場の一部である「女木島(メギジマ)」と「男木島(オギジマ)」というふたつの島をご紹介。アートが島の魅力を活性化させ、世界中からたくさんの人たちが集まりはじめています。
高松港からフェリーで約20分、北部へ約4kmのところに浮かぶ「女木島」。約140人が暮らすこの小さな島には、冬のあいだ、北西から「オトシ」という強い風が吹いてきます。その強風から家屋を守るために作られたのが「オオテ」という石垣。この石垣が、この島の特徴的な景観を作りだしています。
フェリーが女木港に到着して最初に目に入っているのが、観光施設の「鬼ヶ島おにの館」。ここで、島を観光するために必要な情報を入手することが可能です。
海岸沿いを歩いていると、防波堤や防潮堤にたくさんのカモメたちが並んでいる様子が視界に入ってきます。これは「カモメの駐車場」という名前のアート作品。女木島に吹いている目にみえない風のかたちを、カモメの向きで可視化したもの。この島の象徴的なアート作品のひとつです。
海岸沿いで、カモメたちの次に視界に入ってくるのが、4本の帆を風にたなびかせている青銅製のグランドピアノ。「20世紀の回想」、それがこのアート作品のタイトルです。ピアノから流れる美しい音色と海の波の音。そのふたつの音が合わさることで、この場所ならではの音楽空間を作りだしています。
自動演奏による音楽なので、実際にピアノを弾くことはできませんが、その旋律と佇まいはみるものの心に残り続ける詩情豊かな作品です。
この島の独特な景観を作り上げている石垣「オオテ」。その内側へと歩みを進めていくと、「家船(えぶね)」というアート作品が姿を現します。
古代から近世まで、東アジア一帯には、船で漂流しながら海上生活を営んでいる漁民の家族がいたそう。瀬戸内海では、その船を「家船」と呼んでいたとのこと。このエピソードを手掛かりに、海沿いにある古民家に船首などを取り付けて「家船」の姿に作り上げたのがこの作品です。
建物の内部は、そのあとの家船がどうなったのかという架空の物語を想定。複数の若手アーティストたちによって共同制作されています。
2016年に島の住民たちに託した「島盆栽」。その記憶の起点としながら、「根付く」ことをテーマにしているのが「BONSAI deepening roots」です。これは、次世代の盆栽像や盆栽の新しいイメージを探る試みがなされている作品群。盆栽のワークショップも随時開催しています。
女木島でランチを食べたいときにおすすめしたいのが、レアンドロ・エルリッヒの《不在の存在》という作品が設置されている「レストラン イアラ 女木島」です。瀬戸内国際芸術祭の期間中のレストランでは、「瀬戸内ガストロノミー」という企画を展開。
瀬戸内の美味しいものを、その食文化の背景を含めたレクチャーを受けながら食べられます。
「ガストロノミー」とは、料理と文化のあいだの関係を考察すること。その起源はフランスの食文化にあるとされ、それぞれの料理が持っている背景や物語を学びながら食べていきます。この土地のことをさらに深く理解する助けにもなってくれる、特別な時間を楽しむことができるのが魅力です。
この「瀬戸内ガストロノミー」のもうひとつの特徴は、料理が目の前で仕上がっていくのをみることができること。使用されている食材やその調理法の説明を受けながら、料理にさいごの仕上げが施されていきます。そのため、出来立てのフレッシュな味わいを楽しめるのです。
参加するには店頭での予約が必要。人気があるので、早めに予約しておくのがおすすめです。電話での予約も可能。
女木島からフェリーで北へ約1kmのところにある「男木島」。その港で出迎えてくれるのが、男木交流館「男木島の魂」です。これは瀬戸内国際芸術祭2010で制作されたアート作品。貝殻をイメージした白い屋根には、8つの言語の文字がデザインされています。日中には屋根の文字が床に映し出されます。
男木島は、平地があまりないのが特徴。そのため、斜面に密集するように民家が建ち並んでいます。その建物のあいだを縫うように、まるで迷路のように入り組んだ細い坂道。それらが、この島の独特な景観を作り出しています。周囲約5kmほどの小さな島。集落もそれほど大きくないので、島内の主な移動手段は徒歩になります。
この独特な景観をもつ集落の中に、様々なアート作品がちりばめられています。たとえば、壁と路地と集落が織りなす壁画は「男木島 路地壁画プロジェクト wallalley」。この島で集められた廃材などに、風景のシルエットをカラフルに描き、民家の外壁に設置しています。集落の景観として馴染んでいるアート作品です。
それでは、男木島の気になるアート作品を紹介して行きましょう。
こちらは港の空き地に遊具として設置している「タコツボル」という作品。この島の伝統的なタコ漁をモチーフにして、子どもたちの遊び場として制作されました。アーティストがただ自らの作品を作るだけでなく、その島で暮らす人びとの現在や未来のことを考えながら作られているのが伝わってきます。
こちらは「オンバ・ファクトリー」の作品たち。オンバとは乳母車のことで、ファクトリーでカラフルに塗装・装飾され、アート作品として生まれ変わっています。坂道や路地の多いこの島では日々オンバが行き交うこの島ならではのアイデア。住民たちのオンバを作品化して、日常生活のなかで使ってもらうという素敵なプロジェクトです。
小さな古い蔵の中に展示されているのが「記憶のボトル」。暗い建物の中には、小さな光が灯った数多くの瓶がつりさげられています。この瓶のひとつひとつの中には、島で見つけたものや島の人びとの思い出が込められています。そんな本来は目に見えない大切な記憶を可視化するというアート作品です。
海沿いの堤防に展示されている立体作品「歩く方舟」。旧約聖書にあるノアの方舟から着想を得たアート作品です。4つの山を持った方舟が、海を渡っていこうと歩いていくさまが表現されています。空や雲、海に溶け込むような白と青の着色が印象的。瀬戸内海の風景に不思議と馴染んでいる、象徴的なアート作品です。
「海の復権」をテーマに、3年に一度開催されている「瀬戸内国際芸術祭」。瀬戸内の海に浮かぶ島々の魅力をさらに引き出すようなアートフェスです。これをきっかけにしてUターンを決めた家族がいたり、休校していた小・中学校が再開したり。島に新たなコミュニティも育っています。
ぜひ、「瀬戸内国際芸術祭」で「女木島」と「男木島」を訪れてみてください。朝早めに出発すれば、このふたつの島は1日でみてまわれます。ここでご紹介したアート作品たちは通年で楽しめますよ。

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