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買った山に、素人が植林!? 費用は? 木の種類は?

  • 2017年6月22日
  • コロカル
植林って何? 未知の世界に足を踏み入れる

昨年岩見沢で買った山には、購入後に私たちが果たさなければならない“約束”があった。もとの地主さんは森林組合に加入しており、広さ8ヘクタールの土地のうちの1ヘクタールが国や北海道の補助金を利用して植林されていた。その後、木は伐採したのだが、伐採後には再び植林をする必要があるそうで、この“約束”を、新しい土地の所有者となった私たちが引き継ぐかたちとなっていたのだ。

今年、いよいよ植林を進めることになり、6月初旬に、森林組合の担当者・玉川則子さんと、北海道空知総合振興局森林室の栗田健さん、そして植林を実際に行う〈千歳林業〉の千葉大輔さんが、私たちの山にやってきた。

現地で植林会議! 左から、栗田さん、山を一緒に購入した農家の林さん、わが夫、千葉さん、玉川さん。

図面を見ながら植林する場所を確認。

植林の対象となる土地は、道路脇から約1ヘクタールの範囲。植林なんて、まったくの未知の世界で、いったいいくらかかるのか、自分たちはどんなことをしなければならないのか、わからないことだらけだったが、森林組合の玉川さんは、とても丁寧に教えてくれた。

概要をザックリ説明すると、国や北海道から約9割の補助があるので、私たちが負担する金額は十数万円。このくらいの広さだと植える木は約2000本。植える作業も、その後の下草刈りや間伐にも補助があり、業者がやってくれるとのことで、特に私たちが管理しなくても大丈夫という。

「こちらで手続きなども全部やりますので、特に難しいことはありませんよ」と笑顔の玉川さん。

現場でより具体的な話し合いが行われ、道路から山に入る道の部分は植林せずに残すことなど、いろいろと私たちの希望を取り入れながら計画づくりを進めてくれた。玉川さんと栗田さん、千葉さんは経験豊富で、サクサクッと物事を決めていく。「ああ、こうやってプロにお任せしていけば、植林は順調に進んでいくんだなぁ」と実感したが、ひとつだけ、森林組合の提案と異なる希望が私たちの中にはあった。

森林のプロフェッショナルたちが、植林の段取りを打ち合わせ。

植林する場所には、伐採後に残された枝がうず高く積み上げられている。追加でお金がかかるそうだが、植林の際に重機などを使ってこれらを取り除くこともできるという。また、この枝をウッドチップにして木質バイオマスの燃料にする取り組みも岩見沢近郊で始まっているそうだ。

それは、どんな木を植えるのかということ。普通は苗も安価で鹿などの被害に遭いにくい、トドマツなど針葉樹を植え、50年ほどで伐採するそうだが(うちの娘と息子が50歳を超えている!)、できれば広葉樹を植えたいという想いがあったのだ。

広葉樹でよく知られているのはナラなどドングリがなる木。山の共同購入者である農家の林宏さんは、ナラなどの木を植えて、ゆくゆくは椎茸栽培のためのホダ木にしたいと考えていた。私もこの話を聞いたとき、広葉樹を植えるのはすてきだなあと感じた。東京に住んでいたときも、公園でドングリを拾ってきては、鉢に植えて育てて楽しんでいたこともあり(意外によく育つ!)、自分としても馴染み深い。

また、私たちの山は木がほとんど伐採されているのだが、土地の様子をじっくり見ていると、ナラの幼木がいたるところに生えていることもあって、相性もいいんじゃないかと、素人考えに思っていたのだ。

植林する木の種類は? 針葉樹か広葉樹かの判断基準とは?

しかし、この日、現地に来ていた栗田さんからは、トドマツなどの針葉樹を植えたほうがいいという強い提案があった。栗田さんによると、広葉樹はシカやウサギなどに枝や根がかじられてしまう被害が多く、苗が育たない確率が高いという。しかも自生しているナラの木よりも、植林した苗のほうが、動物の被害に遭いやすいそうだ。

「10年経って、だいぶ木が大きくなってきたなあという実感をもってほしいんですよね。国や北海道の補助金をかけて行っていることなので、失敗した造林地をつくりたくはないんです」

若芽をシカが食べてしまい、何年経っても木が大きくならないことも多いそうだ。また、植林する2000本のうち、2割ほどは枯れることを見越しているが、半分以上枯れてしまっては造林地としてうまくいっているとはいえないようだ。

栗田さんの説明はとてもよくわかったが、私には木を育て、それをビジネスにするという意識が薄いこともあり、ここで「はい、わかりました」と素直になれない、いつもの癖が出てしまった(夫とも喧嘩になる原因はココ!)。植林素人のくせに、ついつい……。

広葉樹を植林しているところもあるはずなので、そこがどうして動物の被害に遭わずに育っているのか知りたい。被害対策など自分たちに何ができるのかを考えてから針葉樹にするか広葉樹にするかを判断したいと、栗田さんに伝えてみたところ、思いのほかすんなりと了承してくれた(生意気言ってスミマセン!)。

「わかりました。では、樹種の提案も含めて書面をつくってみますので、検討してみてくださいね」と栗田さん。「植林と言ってもイメージがわかないと思うので、今度、近くの現場を見に行ってみましょう」と玉川さんからも、ありがたい提案があった。

私が広葉樹にしたいと言い張ってしまって、栗田さんは気を悪くしていないかな? と心配になったが、なんと別れ際に、この春自分でつくった小さな本『山を買う』を買ってくれた(コロカルの連載を読んでいて、本の存在を知ってくれていたらしい!)。

そして、よくよく聞くと、北海道の滝上町というところに山を持っていて、友人たちと自分なりに整備をしている、公私ともに山を愛している人だった(山活!仲間!!)。

さて、実際に植林をする目標は秋。植える樹種が決まって、苗をうまく揃えられたら10月下旬頃を目処に行うという。2000本の苗を植えるのは作業員6人ほどで、1日で終わらせてしまうのだそうだ。

北海道にエコビレッジをつくりたいと山の土地を探し始めていたら、行き着いた先にぶつかった、この植林という課題。ただ、面倒がらずに、これを機会に「木を植えることっていったいなんだろう」という問題を、自分なりに考えてみたいと思っている。

植林するのは1ヘクタール。それ以外の7ヘクタールは植林しないで、そのままの状態となるが、すでにナラやホウノキ、シラカバなどが生えてきており、もしかたら人の手を加えずとも森になるんじゃないかという期待も持っている。

そして……、『山を買う』の続きとして、林業に携わる人々や森を生かす暮らしをする人々に取材をして『山を育てる』という本をつくってみたいなあというアイデアもおぼろげながら浮かんでいるところだ。

植林したところと、そうでないところが今後どのように変化していくのか、それがわかるのは何十年もかかってしまうが、末永く見守り、そうしたなかから新しい本をつくっていきたいと考えている。

『朝日新聞 道内版』でも紹介してもらい、ちょっぴりだけど反響も。引き続きFacebookで細々と販売中。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。http://michikuru.com/

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