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【北海道】入学予定の小学校は在校生8人! 少人数学級ならではの魅力とは?|うちへおいでよ! みんなでつくるエコビレッジ

  • 2017年2月23日
  • コロカル
移住する一番の問題は、息子の小学校入学

岩見沢の中山間地、美流渡(みると)への移住計画については、この連載で何度も触れてきているが、今回は、息子がこの春から入学する小学校のことを書いてみたい。

そもそも、この時期の移住を決めたのは、息子が新1年生になるタイミングというのが大きかったし、移住計画の当初、親戚や知人が反対する一番の理由に、息子の小学校問題があったからだ。

現在の住まいは、岩見沢駅から車で5分ほどのところで、この学区にある小学校の児童数は約300人。1年生は2クラスあり、人数は岩見沢市街のほかの学校と同様の規模だ。しかし同じ市内であるものの、ここから車で30分ほどの美流渡地区にある美流渡小学校まで行くと、在校生はたったの8名(2016年度)。昨年入学した1年生はおらず、2・3年生と5・6年生が同じ教室で学ぶ、複式学級となっているのだ。

美流渡小学校は、現在の児童数は少ないが、ほかの市街地の小学校と校舎の規模は変わらない。一部の壁にレンガが使われていて味わい深い。

移住を懸念していた親戚や知人は、生徒数の多い学校のほうが、学力の面や学校行事を行ううえでも安心感を持っているようだった。自分自身を振り返れば、1学年5〜6クラスという第2次ベビーブーム世代であったため、わずか10人に満たない学校がどんなところか想像が及ばず、児童数が多い学校のほうがいいのではないか? という意見に、なんと返したらいいのか言葉につまってしまうことも多かった。

そんななか、美流渡小学校について知っていくにつれて、少人数には少人数なりの良さもあるんじゃないかと思うようになった。

改装中の古家からの通学路。両脇の雪を崩し崩し息子は歩く。

異学年が一緒に教室で授業を行う複式学級とは?

昨年秋に、学校の様子を知りたいと、美流渡小学校に見学に行ったことがある。複式学級の授業とは、ひとつの教室に異学年の生徒がいて、授業時間をだいたい半分に分けながら、先生が各学年の授業を進めていくというやり方だ。

例えば同じ学級となっていた2・3年生の教室を見ると、前と後ろに黒板が設置されていて、先生が2年生の授業を前の黒板で行ったら、次に後ろの黒板に移って3年生の授業を行っていた。別の学年の授業が行われているあいだ、もう1学年の生徒は自主的に学ぶ時間となり、生徒はプリントで問題を解いていた。

このように先生が語る時間は限られるが、このとき2・3年生はひとりずつのため、ほぼマンツーマン。もし理解ができていない部分があったら、個別に対応できる環境があることがわかってきた。

また、人数が少ない場合に工夫が必要な授業は体育。全学年で行うほか、他学校との交流授業などをしながらカリキュラムをつくっているという。

2月になってこの春新1年生となる子どもたちの体験入学が行われた。この日、移住予定の美流渡の古家から、息子と通学路を歩いてみることにした。今年、岩見沢は降雪量がとても少ないが、それでもこの地区には雪がたっぷり。大人の足だと小学校までは15分ほどだが、息子は雪山で遊びながら歩くので、倍くらいの時間がかかった。

美流渡の古家。屋根につもった雪が玄関先に落ちてきており、山になっている。除雪をしないとなかに入れない状態。

息子はたっぷりの雪に大喜び。「学校に行くよ〜」と声をかけても知らんふりで、ソリ遊びに夢中。

通学路の途中でばったり会ったのは、この地域で果樹園を営む東井さん母子と、美流渡の駐在所に夫が勤務している曽我さん母子。子どもたちは、わが家と同じ新1年生。すでに息子と何度も遊んだことがある友だちで、お互い笑い合いながら、並んで学校のほうへと駆け出した。

2017年度の1年生は、いまのところ息子を含めて4人(例年に比べると多い!)で、そのうちの2人の両親とはすでによく知る間柄というのは、実はわたしにとって、とても心強いことだった。

以前から、父母会などの集まりには、すぐに馴染むことができず、初めてのママさんたちとの会話は結構苦手。息子の幼稚園が新学期になって顔合わせの父母会があると、ちょっと気が重いような、そんな気持ちになっていた。ましてや小学校など新しいところに飛び込むとなると、わたし自身も相当なプレッシャー。だから、美流渡小学校に知り合いが多いというのは、本当にありがたいことなのだ。

地域に見守られながら育つわが子

先ほど、小さな学校に息子を入学させることに反対する人もいると言ったが、いざ入学を決める頃になると、応援してくれる友人もいた。特に自身が小規模校で育った経験のある友人の話は、とても説得力があった。

例えば人数が少ないと、全員がどんなときでも“主役級”になる。学芸会の役もそうだし、学校の委員会活動でも同じこと。ふたりしかいなければ、どちらかが委員長で、どちらかが副委員長ということになる。それがときに息苦しく感じることもあったというが、振り返ればよい思い出。ある友人は、就職活動の面接のネタとしてとても役に立ったと語っていた。めったにない経験をしているということで、どの会社でも興味をもたれたと振り返る。

また、美流渡小学校の在校生の父母によると、小規模だからこそ、行事に家族が深く関わり、アットホームな雰囲気がつくられるのだそうだ。特に運動会は、保育園、小学校、中学校合同で行われ、親は見ているだけは済まされず、競技に積極的に参加。地元の人も巻き込んだ、地域の一大イベントとなっているという。

美流渡地区の人口は現在400人ほどで、誰の子どもが学校に通っているのか、地域の人の多くは知っていることになる。どこで遊んでいても、「あっ、○○さんところの子だ」と、ご近所の人はすぐにわかるそうで、これから地域の人に見守られながら、息子は育っていくことになるのだと思う。

また、わが家もPTAの活動を通じて、より地域との関わりを深めていくことになるはずだ。生徒数が少ないということは、親にも必ずと言っていいほどPTAの“役”がまわってくるそうだ。

ここまでいろいろと書いてはみたが、大きい学校がよいのか小さい学校がよいのか、実際のところはわからない。

美流渡への移住を計画したきっかけは、エコビレッジをいつかは北海道につくりたいという目標を実現するための第一歩となると思ったからだ。このわたしの考えに、夫や息子をつき合わせているのではないか? と思うこともあるし、この選択が果たして正しいのかと、ときどき自問することもあるが、こうして雪にまみれながら通学路を歩く息子の姿を見ていると、美流渡の生活はきっと楽しいものになるんじゃないかと期待感がわいてくる。

山間にあるこの場所は、森に囲まれており、雪の上にはウサギやキツネ、シカの足跡がたくさん見つかる。自然に囲まれたこの場所で、子どもが伸びやかに育つことは何ものにもかえがたいのではないだろうかと感じられるのだ。

入学式の頃になっても、北海道はまだ冬の名残がある時期。雪が残る道を歩いて通うわが子の姿を楽しみにしながら、まだまだ続く厳しい寒さを乗り切っていきたいと思っている。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。http://michikuru.com/

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