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【徳島県】「うだつ」があがるまち!? 徳島県三好市をぶらぶら歩き|Local Action

  • 2017年1月31日
  • コロカル
東は徳島、西は愛媛、北は香川、南は高知に接する、 ボーダレスカルチャーが魅力の三好市

徳島県三好市ってどんな場所?と聞かれるときっと旅行で訪れた人ならば、景勝地である大歩危(おおぼけ)小歩危(こぼけ)のある祖谷(いや)や温泉など徳島の奥地だからこそ出会える秘境の美しさについて話すはずだ。

ところが実際に三好に暮らしている住人たちは、こう答える。「四国の真ん中にあって、あちこち行くのに便利なんですよ」。旅人の四国行脚の拠点として滞在を勧めるあたりはさすが、「おせったい」のお遍路文化が息づく徳島県人だ。と決めつけてかかると、「そうはいっても、自分たちは “徳島県人”というアイデンティティ意識は薄いかもしれない」と地元人から戻ってきた。なぜなら、隣県のあちこちに通勤している人も多いことから使う方言はバラバラ。県外から三好に働きに来る人、引っ越してきた人もいる。三好は四国4県の市町村の中でもっとも大きな面積を持ち、東は徳島、西は愛媛、北は香川、南は高知に接しているからボーダーレスな感覚の人が多いのかもしれない。

筆者は以前、高知龍馬空港から祖谷方面に入ったことがある。吉野川をたどりながら池田町に向かう際には、徳島阿波おどり空港からだった。今回は、ピンポイントで池田町に一番近い空港といわれている高松空港を利用。到着寸前まで、なぜか高知に到着すると勘違いしていた。まあ、それほどまでにアクセスの選択肢も多いということだ。

標識は、徳島行きやら、高松行きやら。反対方向から見ると松山行きになってしまうのだから、四国の交差点のような場所というのもうなずける。

三好市池田町のメインストリート、駅前通り。平日昼間はひっそりとしているが、夏になると入りきらないほど人が集まり、阿波踊りが繰り広げられる。

2006年に6町村が合併して三好市となるまで、現在の三好市役所のある池田町は、三好郡池田町だった。全国高校野球選手権大会優勝3回、準優勝2回の実績があり、「やまびこ打線」「さわやかイレブン」で知られるあの池田高校のある池田だ。

土讃線 阿波池田駅から続くアーケード商店街、駅前通りを歩く。個人商店の看板や風情に、どことなく昭和の残り香が漂い、右へ左へと立ち寄りたくなってしまう。なかでもひときわ目をひくのは、喫茶〈21世紀〉。20世紀の時代には、21世紀というと遠い未来のように感じたのが、すでに21世紀となってしまった今、このネーミングを目にするだけで、急に昭和の時代へとタイムスリップさせてくれる。

駅前通りにある、ひときわ目をひくショーウインドウ。オムライスやミックスフライ定食など、洋食好きにはたまらないメニューがずらり。

笑顔が素敵な看板娘の内田貴子さん。「一押しメニューはチキン南蛮です」。ちなみに21世紀というネーミングは創業した1979年創業当初に21世紀まで続けられますように、という店主の願いから名づけられた。

タバコ産業がまちを支えた過去

食後は、「うだつ」のまち並みを歩く。うだつというのは、隣家との間に設けられた防火壁のこと。装飾をこらしたうだつの存在は、当時、お金持ちの家であることを証明した。なぜ、池田にうだつのまち並みがあるのかというと、江戸から明治の時代にかけて、この地で栽培していた葉タバコ産業の景気がよかったことに由来している。四国を縦横断する交通の要衝でもあったので、このうだつ通りは、当時はずいぶんと栄えていたらしい。まさにうだつがあがる商売っぷりだったはずだ。

けれども、時代は移り変わる。1985年の日本専売公社解散、そして2001年のJT池田工場撤退を迎え、働き手だった多くの住民がほかの仕事を求めて三好市を離れてしまった。山間部では、過疎を心配する集落も多い。そのようななかでも、まちに息づく歴史や文化は住人たちの努力によってそのままに残されていた。

現在、うだつ通りでは、さまざまなイベントが開催されている。特に、四国じゅうの手仕事に関わる人たちが一堂に会する「うだつマルシェ」が有名だ。運営事務局の特定非営利活動法人〈マチトソラ〉に勤める元木香織さんは2013年、マルシェに実家の和菓子屋から初出店した。そのことがきっかけで、現在は重要なスタッフのひとりとなった。「デザインを学んだあと、神戸の大型書店で働いていましたが、Uターンで徳島に帰ってきました。地元での仕事探しは大変でしたね。うだつマルシェに関わったことで、これまでの経験も生かせるような職場が見つかったので、結果的によかったです」現在、元木さんは移住検討者の案内もしており、八面六臂の活躍ぶりだ。

うだつ通りにあるきスペースきせるの住所は、徳島県三好市池田町マチ。まさに住所の通り、古くから賑わいのある“マチ”だった。反対に、三好には“ソラ”といわれる場所もある。ソラといわれる、祖谷、奥祖谷の秘境へは、日本国内のみならず、世界各国から旅人が訪れている。

三好市は、パッと見、派手さのある場所ではないが出会った人たちは口を揃えて「暮らしやすい」という。通りすがりの旅人には暮らしやすさはわからないが徳島県では各地で新しいことに挑戦できそうな気配がぷんぷんにおっている。人口密度の低さが手伝って快適なブロードバンド環境があることからサテライトオフィスが成功した同じ徳島県の神山町に続いて、三好市にも〈にし阿波サテライトオフィス〉がある。祭りやマルシェなどのイベントもあり、働くことと遊ぶこと、参加・交流することが連動しやすい環境であることは間違いない。

お試し住居で“ちょこっと三好暮らし”はいかが?

三好市では、現在、お試し移住モニターを募集している。お試し移住用の住居は、古民家を気鋭の建築家に改修を依頼。ソラに近い〈丘の棟〉とマチのなかの〈街の棟〉の2棟があり、選べるようになっている。なんと、車も貸し出してもらえるというのだからお得だ。自分と土地の相性を確かめることのできる移住モニターは、地方への移住を考えている人にはもってこいの機会だろう。四国のヘソたる便利さを体感するのにもいい。

どのような目線で滞在するかは、その人次第。今後どのように生きていくかということと相性のいい土地を探すことは同じベクトルなのだが、いざ、気に入った土地へ引っ越してみると想像とまったく違ったりする。土地と人の縁は、実際に住んでみないとわからないところが大きい。

うだつ通りを案内してくれた元木香織さんは「いつでも来てください、案内しますよ!」と言っていた。フラットにまちの様子や移住体験談を知りたかったら、〈スペースきせる〉に出かけ、移住者の西崎健人さんと話してみるのもいい。

数日間家を借り、暮らすように旅することは、普段着のソラとマチ、両方の長所短所を発見できるいい機会だ。発見したものを未来の生き方とどうつむぎ合わせるかは、自分の腕にかかっている。

information

三好市お試し移住モニター募集

http://machitosora.com/otameshi-miyoshi/

期間: 平成29年1月11日〜3月6日(丘の棟)、平成29年2月1日〜3月6日(街の棟)

対象者: 都市部等の市外に住所を有し、移住に関心の高い原則40歳以上の方

定員: 一施設あたり一利用件数につき2名(丘の棟は4名まで)

使用期間: 基本 2泊3日(最短1泊2日〜最長6泊7日まで滞在可能です。)

料金: 無料ですが、利用者アンケートの回答が必須となります。

お申し込みはこちらまで

一般用お申し込みフォーム

writer profile

Chizuru Asahina

朝比奈千鶴

あさひな・ちづる●トラベルライター/編集者。富山県出身。エココミュニティや宗教施設、過疎地域などで国籍・文化を超えて人びとが集まって暮らすことに興味を持ち、人の住む標高で営まれる暮らしや心の在り方などに着目した旅行記事を書くことが多い。現在は、エコツーリズムや里山などの取材を中心に国内外のフィールドで活動中。

credit

撮影:津留崎徹花

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