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不用品がオシャレなアイテムに!ミシンでできるリメイク技を聞いてきた

  • 2025年2月7日
  • コロカル

デザインや色柄が気に入っているけれど、シミや汚れがあり、着られなくなってしまった服や、思い入れがあってなかなか捨てられない服、買ったけれどまったく着ていない服など、クローゼットに眠る洋服や小物は案外多いもの。

名古屋市に本社を構えるブラザー工業のパーソナル・アンド・ホーム事業(P&H事業)では、「サステナビリティワーキンググループ」をスタートしました。ミシンなどブラザー製品を使用して、本来は捨てられるはずの衣類などに新たな価値を与えて再生する「アップサイクル」を推進しているそうです。

愛知県一宮市は繊維の町、織物のまち。メーカーや地元の中学校とのコラボも!

2021年より、愛知県一宮市内の中学校での出張授業や、地元の織物メーカーとのコラボ、不要となった衣類のアップサイクルの提案など、ミシンがサステナブルを生み出す道具であることを伝える活動を展開しています。

愛知県一宮市立北部中学校でアップサイクル講習を開催。

愛知県一宮市立北部中学校でアップサイクル講習を開催。

今回は、名古屋市内にあるブラザーの研修所にて、愛知県出身のデザイナーの井上アコさんを講師に迎え、エンドユーザー向けに、ちょっとしたアイデアで小物や洋服が生まれ変わる〈簡単アップサイクル講座〉を開催。その様子を取材してきました。

愛知県稲沢市出身の洋服作家の井上アコさん。文化服装学院を卒業後、アパレルメーカーに勤務したのち、1998年より手づくり子ども服ブランドを展開。現在はNHK『すてきにハンドメイド』に講師として出演するほか、らくがき刺繍家としての顔も。「らくがきライブ刺しゅう」と題したイベント・ワークショップなどを各地で行っている。

愛知県稲沢市出身の洋服作家の井上アコさん。文化服装学院を卒業後、アパレルメーカーに勤務したのち、1998年より手づくり子ども服ブランドを展開。現在はNHK『すてきにハンドメイド』に講師として出演するほか、らくがき刺繍家としての顔も。「らくがきライブ刺しゅう」と題したイベント・ワークショップなどを各地で行っている。

1枚のシャツからかわいい雑貨小物が!タグも生かしてオシャレなデザインに

洋服のリメイクと聞くと、ハードルが高いと思われてしまうのですが、例えば、シャツの身ごろを使用して、ボタンの部分をそのまま生かせば、ファスナーをつけなくても取り外しが簡単なクッションカバーができます。「洋服のかたちにとらわれず、布地として再利用すれば、さまざまなものにアップサイクルできるんですよ」と井上先生。

シャツをそのまま生かしたクッションカバーやティッシュケース、ポーチなど。タグもおしゃれなアクセントに。

シャツをそのまま生かしたクッションカバーやティッシュケース、ポーチなど。タグもおしゃれなアクセントに。

1枚のシャツから、クッションカバー、ティッシュケース、カード入れ、ポーチをつくったP&H事業QMCS推進部の河合成美(かわいなるみ)さんは、もともと洋裁が得意ではなかったそうですが、この取り組みをきっかけに、モノづくりの楽しさに目覚めたのだとか。

河合さんが着ているのは、井上先生のパターンでつくったワンピース。右前身頃は夫のシャツ、左前身頃は、以前ワークショップを開催したときにもらったカーテン地のはぎれなんだとか。デザインはシンプルでも、布地の組み合わせで、オリジナリティあふれる洋服に仕上がっています。

「このシャツは、私が気にいって、夫のために購入したものだったのですが、シミや汚れがあり、夫が捨ててしまっていたんです。それを私がゴミ箱から救出しました(笑)。夫には、アップサイクルすることを話していなかったので、私の着ているワンピースを見て、驚いていました」と河合さん。

スカートのプリーツもバッグのデザインの一部に。

デザインを活用。

 

こちらはご自身が愛用していたワンピース。スパンコールのベルト部分が、かわいかったので、そのまま使用しておしゃれなバッグへとアップサイクルしたそうです。裁断部分を工夫して、背のファスナーもそのまま布地として使用。こういった利用もアップサイクルのおもしろさといえます。

モノに込められた想いを話しながら、新たな再生へのストーリーを紡ぐ

講座ではアップサイクルを始める前に、それぞれが持参した洋服で、どんなものがつくりたいかを井上先生がヒアリングしていきます。「みなさんの持ってきた洋服にまつわる思い出を聞くのもとても楽しみです。私は技術面でのサポートはしますが、基本はみなさんから出てくるアイデアを大切にしています。思い出のこもった洋服が、どのようなかたちに生まれ変わるのかを想像するだけでわくわくします」と井上先生。

参加者同志、それぞれの思い出話に花が咲くことも。こういったコミュニケーションのなかから、新たな創作のヒントが生まれていくのもすてきです。

思い出のある品を形に変えて、大事に使い続ける心を育む

こちらは、お子さんが合唱大会で着用したTシャツを使ってアップサイクルしたトートバッグ。デザインやロゴが気に入っていて、何かのかたちで残せたらと考えていたそう。井上先生のアドバイスで、同じく着なくなったオレンジのTシャツを裏面にして、アクリルのテープで持ち手をつけて、オレンジがアクセントになったカジュアルなトートバッグが思い出とともによみがえります。

製作風景。

バッグが完成。

 

もう着られなくなった、お子さんのお気に入りのTシャツも、かたちを生かしてティッシュボックスカバーに。「裾(すそ)を折り曲げ、底をふたにし、ボタンをつけたので、ティッシュ箱を3箱分収納可能になっています。さらに紐をつけたことで、持ち運べたり、壁にかけたりすることもできます」と井上先生。モノを大切にする心を無理なく伝えることができ、お子さんにもアップサイクルでオンリーワンを楽しむ気持ちも芽生えます。

「アップサイクルって、自分の大切なものを、かたちを変えながら、思い出とともに大事に使い続けることができる。だから気持ちまでアップしていくと思うんです。自由な発想でモノづくりすることで、心も開放していけますよ」と井上先生。

お気にいりだったけれど、ボタンの部分の取り外しが面倒で着なくなってしまったオーバーオールも、「サスペンダーの部分を持ち手にしてみたら?」という井上先生のアドバイスで、オリジナリティあふれるバッグに大変身。

これとこれを組み合わせたら、もっと楽しくなる! という柔軟な発想がリメイクのコツでもあるようです。

 

不要のジーンズとベルト部分をそのまま生かしてつくった譜面台入れ。

だっこバンドを利用してつくったポーチ。

ランチョンマットを利用して作ったスマホクッション。

 

難しい技術を必要とせず、ミシンで簡単にできるので、初心者におすすめ。

男性上司もはじめてのアップサイクルでモノづくりの楽しさを知る

P&H事業営業企画部の岡部顕子(おかべあきこ)さんは、取り組みについてこう語ります。「社内でもアップサイクルのワークショップを開催したのですが、実際に自分たちでモノづくりをすることで、新たなミシンの活用法や機能部分の開発にもつながっているようです。各セクションの部長たちは、ミシンでモノづくりする楽しさを再発見してくれていました」

経営層に行われたアップサイクルのワークショップでミシンを使っての作品づくりに挑戦。

経営層に行われたアップサイクルのワークショップでミシンを使っての作品づくりに挑戦。

家庭で洋服づくりをする人も減り、いつの間にか洋服は大量生産、大量消費へと移り変わっていきました。しかしこれが原因で、海外において衣類の大量廃棄が問題となっています。「アップサイクル」を広めることは、ミシンでのモノづくりの楽しさを再発見してもらうとともに、SDGsへの関心を広げたり、新たな価値観を生み出したりすることにもつながっていると岡部さんは語ってくれました。

サスティナビリティやSDGsは、ともすると頭でっかちに捉えがちですが、毎日の生活をちょっと工夫して楽しみながら、それが積み重なって、社会の課題解決につながることも。ぜひ、みなさんも気軽にアップサイクルにチャレンジしてみませんか。

information

ブラザー工業 サスティナビリティ

Web:ブラザー工業 サスティナビリティ

Web:井上アコ

writer profile

Naomi Kuroda

黒田 直美

くろだ・なおみ●愛知県生まれ。東京で長年、編集ライターの仕事をしていたが、親の介護を機に愛知県へUターン。現在は東海圏を中心とした伝統工芸や食文化など、地方ならではの取り組みを取材している。食べること、つくることが好きで、現在は陶芸にもはまっている。

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