お茶の発展に貢献すべく、現代における喫茶の様式を創造し、継承している〈茶方薈(さぼえ)〉。
日本料理店〈八雲茶寮〉や和菓子店〈HIGASHIYA〉などを手がける緒方慎一郎さんが2016年に立ち上げました。
緒方さんは〈櫻井焙茶研究所〉の櫻井真也さん、〈万 yorozu〉の德淵卓さんとともに〈茶方薈〉の活動をしています。
今年4月には、初の実店舗となる日本茶専門店〈SABOE TOKYO〉を東京・麻布台ヒルズに開店し、話題を集めました。
そんな同店が11月3日に福岡県博多市、同月26日に岡山県岡山市でそれぞれ新店舗をオープン。
東京の店舗と同様に、日々の暮らしのなかで気軽に楽しめる日本茶の新しいかたちを提案したブレンド茶シリーズ〈T., Collection〉や日本茶と相性のよい菓子、さまざまな茶器を販売。
さらに、T., Collectionや菓子、茶と酒を融合した茶酒を使用したカクテルなどを味わえる茶房も併設しています。
11月3日にオープンした〈SABOE HAKATA〉。鎌倉時代に宋からお茶の種を持ち帰った栄西や、饅頭・羊羹などの製法を宋から伝えたとされる聖一国師(しょういちこくし)に縁のある博多旧市街にあります。
先日オープンしたばかりの〈SABOE OKAYAMA〉が店を構えるのは、岡山後楽園の玄関口にあたり、近世の城下町として栄えた地域に佇む歴史的建造物を改修した〈福岡醤油ギャラリー〉の一角。
今回の岡山県への出店は、同ギャラリーを運営する石川文化振興財団との縁がきっかけだったといいます。
明治時代に建てられた主屋と、昭和初期に建てられた離れから成るこの施設は、かつて醤油製造蔵や市民銀行の窓口として使われていた旧福岡醤油建物を改修した文化施設として親しまれています。
応接室だった場所を売店に改修。旧福岡醤油建物が使われていた往時の面影を残しています。
「茶」と書かれた暖簾をくぐると現れるのは、売店の入口。入口横の窓からは、お茶やお菓子をテイクアウト購入することができます。
お茶の色合いを見比べながら試飲ができるカウンターは、かつてこの場所が応接室だった頃に使われていた暖炉の石材と同様のものが使用されています。
茶房は蔵を改修。外観は銅の扉で閉ざされており、隠れ家のような雰囲気が漂います。
「T., Collection」には、「青 Sei」と名付けられた岡山限定のブレンド茶も登場。
岡山県でお茶の製造に取り組む〈茶下山(ちゃしもやま)〉の青番茶と無花果の葉、シナモンリーフを合わせた、青々とした香りとともに、みずみずしくふくよかな余韻が楽しめる一品となっています。
「T., Collection」のパッケージには、土に還る天然素材を採用。お茶の容器・お茶を淹れる茶器・お茶を飲む湯呑と、3つの使い方ができます。
information
SABOE OKAYAMA
住所:岡山県岡山市北区弓之町17-35
TEL:086-207-2779
営業時間:売店 11:00〜17:00、茶房 13:00〜23:00(日曜のみ〜17:00)
定休日:月・火・水曜(祝日は営業)
WEB:SABOE 公式ホームページ
writer profile
Mae Kakizaki
柿崎真英
かきざき・まえ●ライター。宮城県仙台市出身。2019年よりフリーランスライターとして、東京を拠点に活動中。月刊誌やニュースサイト編集者としてのバックグラウンドを活かして、Webメディアや雑誌などに寄稿を行う。