こんにちは。「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
「柿」の季節ですね! 今年は、柿の当たり年。大きな柿の枝がしなるほどに、たっぷりと実をつけました。
そんな年は、柿のお裾分けをいただくこともよくあります。でも、食べきれずに柿が熟しすぎてしまうことも。そこで以前、「“熟れすぎた柿”をおいしく食べるレシピ5選」という記事で熟し柿の活用法や、おすすめレシピをご紹介しました。こちらはもう読んでいただけましたか?
大きく育ちすぎた柿の木。バッサリと選定します。
今年は柿の木の選定も兼ねて枝ごと柿を収穫し、長期保存が可能な「干し柿」にしました。つくった干し柿の数は、なんと500個!
食べておいしいのはもちろん、干している間も美しいのが干し柿の魅力。縁側に並ぶコロリとかわいい姿に、ほっこりと癒されます。
皮をむいて干すだけとはいえ、カビを生やさず、トロリとやわらかく仕上げるには工夫も必要。今回は、自家製干し柿づくりのコツをお伝えします。
失敗しない干し柿づくりのコツとは?干し柿づくりで大事なポイントは、「気温」と「湿度」。気温が高すぎたり、雨が降って湿度が高くなるとカビ発生のリスクが高まります。最適な気温は10〜15度程度といわれ、肌寒くなって、空気がカラリとしてきた11〜12月辺りが干し柿づくりの季節です。
2週間から1か月ほど乾燥させることで柿がゆっくりと熟成・乾燥し、甘みが増すといわれています。
風通しのいい場所に吊るし、しっかりと乾燥させるようにしましょう。
干し柿の原料は「渋柿」じゃないとダメ?一般的に干し柿は「渋柿」でつくられますが、「甘柿」でもおいしい干し柿はつくれます。
じつは我が家の柿の木は、甘柿と渋柿を接ぎ木したもので、食べてみるまで、どちらかわかりません。(笑)これまでも、特に区別したりせず、すべて干し柿にしていますが、問題なくおいしくいただけています。
ただ、私の感覚としては甘柿のほうがカビが生えやすい気もしています。
さっそくつくってみよう! 干し柿のつくり方<準備するもの>
・干し柿
・ピーラー(または包丁)
・まな板
・ハサミ
・紐
・鍋
・スプレーボトル
・焼酎、またはホワイトリカー
(1)柿のヘタを取り、皮を剥く
包丁で剥くのが苦手という方は、ピーラーを使ってもOK! また、皮を剥く際、柿の枝を折らないように注意。干すときに結ぶ場所がなくなってしまいます。
ちなみに、柿の実にある黒点はカビではなく、柿に含まれるポリフェノールの一種「タンニン」が変化したものなので食べても問題ありません。
シェアメイトみんなで柿仕事。
(2)柿を沸騰したお湯に5秒程入れて引き上げる
ここがポイント! 表面を熱湯消毒することでカビを防ぎます。熱湯消毒の作業を省いて、スプレーボトルに焼酎やホワイトリカーを入れて吹きかけて消毒するのでもOK。
(3)柿の枝に紐を結ぶ
15センチほど間隔を空けて吊るします。近すぎるとぶつかった所にカビが生えてしまいます。
(4)日当たりがよく、風通しのよい所に干す
雨にあたるとカビが生えてしまうので、お天気のいい日は外に出し、雨の日は室内に入れるのがベター。ずっと室内で吊るす場合は、扇風機の風を当てるといいかもしれません。
(5)様子を見ながら、スプレーボトルに入れた焼酎を吹きかけて消毒
カビの発生を防ぎます。これはとても大事!
定期的にアルコール消毒。このときは焼酎やホワイトリカーが見つからず、ウイスキーを使ったので、縁側がとてもいい香りになりました。
(6)1週間ほど経ったら定期的に柿の実を揉む
揉むことで渋が抜けて柿が甘くなります。強く揉みすぎると破れて中身が出てきてしまうので、やさしく行うのがポイント。
(7)3週間後くらいから食べられます
カチカチに干し上げて濃厚な甘さを楽しむのもよし、味見と称してトロリとレアな柿を楽しんでもよし。自分好みの干し柿をつくってみてください。
お料理に、お菓子づくりに。お砂糖を使わない自然の甘味料として重宝しています。
干し柿の保存方法1か月以上カチカチに干したものなら、常温保存が可能です。紙袋やキッチンペーパーなどに包んで通気性をもたせ、日陰で風通しのよい所に保存しましょう。
半生の状態でキープしたい場合は、ひとつずつラップで包み、保存用袋などに入れて冷蔵保存・冷凍保存してください。冷蔵庫で1か月くらい、冷凍で3〜4か月くらいはおいしく食べられます。
カビが生えちゃったら……?干し柿の表面にできる白い粉は糖分が結晶化した「柿霜(しそう)」と呼ばれるものなので、食べても問題ありません。ただ、青や緑色の場合はカビなので、食べないようにしてください。
カビの部分だけ削って食べることは可能ですが、カビが大きい場合は、中まで食い込んでいる可能性があります。お腹が弱い方は食べるのを止めたほうがいいかもしれません。(まれに白いカビが発生することもあるので、ご注意ください)
干している最中にカビが生えてしまったら、35度以上の焼酎を染み込ませたキッチンペーパーなどで干し柿をよく拭いて殺菌してみてください。
青カビの生えてしまった干し柿。アルコールなどで落とせる範囲であれば食べてしまいますが、これくらいカビが生えるとさすがに食べられないので、処分しました。
おつまみに、デザートに! いろいろ楽しめる干し柿レシピ干し柿というと「おばあちゃんのおやつ」的な印象があるかもしれませんが、ちょっと工夫するだけで、お店のメニューにあるようなおしゃれな一品に仕上がります! 今回は、簡単につくれる、個人的お気に入りレシピをご紹介します。
干し柿とチーズの相性は抜群! お好みのチーズを合わせてみて。
干し柿チーズ
完成した干し柿をカットし、チーズを挟むだけ。簡単にワインに合う絶品おつまみに変身! リッチ感を高めるコツは、ちょっといいチーズを使うこと。食べやすさではクリームチーズが一番ですが、お酒に合わせるならカマンベールチーズ、個人的おすすめはブルーチーズです。ここに生ハムを加えるとさらに高級感アップ!
干し柿のフリット
干し柿に衣をつけて、170度の油で揚げるだけ。干し柿にチーズを合わせて天ぷらにしてもおいしい! サクッとした衣と、もっちりの干し柿がたまらない一品。1日のご褒美に。
干し柿バター
濃厚で背徳感のあるおいしさ、干し柿バター。ラップでソーセージのように包んで形成してもよし、バターと干し柿を混ぜてそのまま食べてもOK!
ひと手間かけて、干し柿バターにするのもおすすめ! バター100グラムに対して、干し柿半分程度あれば十分です。量はお好みで調節してみてください。
(1)干し柿をラム酒(またはブランデー)に数日漬け込む
(2)(1)を小さく刻み、常温でやわらかくしたバターと混ぜて棒状に伸ばし、ラップで包む
(3)冷蔵庫で寝かせる
(4)適度な大きさにカットして、クラッカーなどにのせて食べると美味!
干し柿ヨーグルト
カッチカチになった干し柿をヨーグルトにひと晩ほど漬けます。翌日、干し柿がヨーグルトの水分をたっぷりと吸って、新食感の干し柿ヨーグルトが完成。程よい酸味と、干し柿の甘さが絶妙にマッチして、あとを引くおいしさです。
「KAKI」はヨーロッパでも愛されている?和風なイメージの干し柿ですが、意外にも洋風の素材と相性がいいのです。
気になって調べてみると、世界の柿の生産量は1位が中国、2位がまさかのスペイン! 日本は5位ということでした。(2021年、国際統計サイトグローバルノート調べ)
ヨーロッパでも普通に食べられているという驚きの結果でしたが、洋風の素材がマッチするのも、なんだか納得してしまったのでした。
ちなみに、ドイツでも柿を「KAKI」と呼ぶのだとか。以前、我が家に来たドイツ人のゲストが教えてくれました。
みなさん、気になるレシピはありましたか? この秋は、いつもとひと味違う干し柿を楽しんでもらえたらうれしいです!
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CHIHARU HATAKEYAMA
畠山千春
はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。ブログ:ちはるの森