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くず餅の原料「葛」は、花も美味! 葛の花をおいしく食べるレシピ5選

  • 2024年11月12日
  • コロカル

こんにちは。「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

山道を歩いていて、ブドウのような甘い香りがふわりと漂ってきたら、近くに「葛(くず)」の花が咲いている証拠かもしれません。それほど、葛の花は目が覚めるほどにいい香り! 

葛は、秋の七草のひとつに数えられ、和菓子や料理などに使われる“葛粉”の原料として古くから日本で親しまれてきた植物です。

紫色の花を連ねて咲かせた葛の花の写真。

葛の花は、昔から漢方薬として重宝されていました。

一方で、驚異的な繁殖力を持つ外来種として、アメリカを中心に世界から恐れられていることを知っていますか? 

アジアを原産地とするこのツル植物は、1日に30センチ以上も成長することがあるといわれ、ほかの植物を覆いつくすように繁殖するためIUCN(国際自然保護連合)による「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

ほかの植物を覆うように繁殖した葛の写真。

田んぼに侵入する葛。ほかの植物の育成を阻害し、生態系を破壊するといわれています。

厄介な植物として駆除の対象となってしまった葛ですが、日本では古来から薬として用いられたり、和歌にも詠われたりしてきました。

今回は、そんな葛の花でつくる「シロップ」や「花の砂糖漬け」のレシピなどをご紹介します。

スミレ、レンゲ、たんぽぽ、梅……今までいろんな野花のシロップをつくってきましたが、今回は、過去最高においしいものができあがったと思います‼ どうぞご期待ください! 

葛の花を房からとる作業の写真。

葛の花を収穫する

私たちの集落でも葛の繁殖はすさまじく、今や田んぼにまで侵入しています。このまま放っておくと

(1)葛のツルが猪対策用の柵に絡みつき、柵を壊してしまう

(2)大好物の葛の根を求めて、猪たちが田んぼに入って畔を壊してしまう

(3)葛の花には米の養分を吸うカメムシが集まるので、お米の育ちが悪くなる

などなど、さまざまな問題を引き起こす原因となります。害獣や害虫からお米を守るためにも、夏はシェアメイト総出で葛刈りをしました。

柵に絡まった葛を刈る人の写真。

柵に絡まった葛のツルをカマで断ち切りながら、葛を刈っていきます。

葛の大繁殖は、温暖化で冬が暖かくなったことや、空気中の二酸化炭素濃度が高まったことも関係しているという分析結果があり、気候変動が大きな原因と推測されています。

……ということは、気候変動が進行すると、葛ももっと増えるということ? そう考えるとゾッとします。もうこれ以上増えないでー‼ 

葛刈りついでに、葛の花をどんどん収穫していきます。花を摘んでいると、大量のカメムシがポロポロと落ちてきて、服や靴の中がカメムシだらけに!(笑)お米の養分を吸われてしまっては大変なので、かわいそうだけど駆除します。

バケツ一杯に収穫した葛の花の写真。

葛の花は紫の小さな花が連なるように咲いていて、藤の花にもよく似ています。

バケツに山盛り入った葛の花からは、フルーティーな香りが漂います。これでシロップをつくったら、おいしくなる予感しかしません! 

田んぼを荒らされるだけではなんだか癪なので、このお花でおいしいものをたくさん仕込んでみたいと思います! 

葛の花を楽しむ「シロップ」2種

4つの瓶に仕込まれた葛の花のシロップの写真。

酵素シロップの仕込みは、分量を変えて実験してみました。

葛の花にはサポニンやイソフラボンという成分が豊富に含まれており、更年期障害や骨粗しょう症の予防などに効果があるといわれています。また、お腹周りの脂肪の合成を抑制するということでサプリメントに配合されていたり、女性特有の症状にもうれしい効果がたくさんあるそう。さらには二日酔いにも効くとされ、お酒を飲む人にもぴったり。

……と、さまざまな効能を紹介しましたが、なによりも「味」や「香り」がいい‼ 

まずは、いろいろと試作するなかで、これはおいしい! と衝撃を受けた「非加熱の酵素シロップ」と「煮込んでつくるシロップ」の2種類をご紹介します。

葛の花の下処理

葛の花を房から外す作業の写真。

こそげ落とすように花だけを集めていきます。

強い香りに誘われて、葛の花にはカメムシやアリなどたくさんの昆虫がいます。花はザルなどに広げて少しの間干しておき、虫を出してからさっと洗います。水に浸け置きすると、花の風味が落ちてしまうので注意。

非加熱の酵素シロップ

まずは、火を入れず、酵素が生きた状態の「酵素シロップ」をつくります。

きれいな赤い液体となった葛の花のシロップの写真。

きび砂糖だと茶色くなってしまうかな? と心配しましたが、レモンなどの酸っぱいフルーツを追加すると、酸の化学反応できれいなピンク色に仕上がりました。

<材料>

・葛の花

・砂糖(葛の花の1〜2倍くらいの重さ)

・水

・レモン汁(なくてもOK)

・熱湯消毒した瓶

<つくり方>

(1)葛の花、砂糖、の順番で瓶に入れ、レモン汁を絞って回しかける

(2)ひたひたになるくらいまで水を入れ、常温で発酵させる

(3)毎日、蓋を開けてよく混ぜる。密閉したままだと発酵して爆発するので注意

(4)2〜3日で発酵してくるので、花を濾して液体だけにする

(5)完成! 

瓶の口からシークワーサーを搾り入れている写真。

レモンがなかったので、庭に生えているシークワーサーを使いました。

花を濾したあとでも、常温だと発酵が進んでしまうので、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。また、発酵させすぎると酢になってしまうので、おいしいところで飲み切ってください。長期保存したい場合は、次に紹介する「煮込んでつくるシロップ」がおすすめ。

煮込んでつくるシロップ

続いて、火を入れることによって長期保存が可能なシロップをつくっていきます。

お鍋に葛の花と砂糖を入れ、火にかける前にヘラで混ぜている写真。

火にかける前に、お砂糖となじませるのがポイントです。

<材料>

・葛の花

・砂糖(葛の花の1.5〜2倍くらいの重さ)

・白ワイン(なくてもOK)

・水

・レモン汁(なくてもOK)

・鍋

・熱湯消毒した瓶

<つくり方>

(1)葛の花と砂糖を鍋に入れ、花のエキスが出てしんなりするまでよく混ぜる

(2)お好みの量の白ワインと、ひたひたになるくらいまで水を入れ、弱火で煮る

(3)花の色が抜け、水に色が移ったら、火を止めて粗熱をとる

(4)花を濾して、液体だけにする

(5)レモン汁を回し入れ、さっと煮立たせたらすぐに火を止め、瓶に入れる

(6)完成! 

白ワインの量は、お砂糖の3分の1くらいでしょうか。 フレッシュな風味を楽しみたい方は、レモン汁を入れずにシロップをつくり飲む直前にレモン汁と混ぜて飲むのも◎。

炭酸割りなどをしたい場合は、お砂糖たっぷりでつくったほうが、濃厚でおいしく仕上がります。完成したシロップは、冷蔵庫保存がおすすめ。

非加熱&煮込みシロップのおすすめの飲み方

グラスに注いだ、シロップの炭酸割りの写真。

ふたつのシロップとも、炭酸割りが一番簡単でおいしいですが、お酒好きな方はビールと混ぜてもいいと思います。

また、レモングラスなどのハーブティーと混ぜると爽やかな飲み心地に。

私のお気に入りは、葛シロップにローズマリーを漬け込んだもの。スパイシーさが加わり、一気に華やかな飲み物になります!

笊に盛られた葛の花の写真。

ぶどうとスモモを混ぜたような甘酸っぱさと、それらの果物に引けをとらないおいしさの葛の花シロップ。これまでつくった野花のシロップのなかでも、間違いなく最高の出来です! 

以前、マルシェで葛の花ドリンクを出したところ、「おいしい」と口コミが広がり、あっという間に売り切れてしまいました。葛の花のおいしさが伝わってうれしい……! 

シロップだけじゃない! 葛の花の活用術

2種のシロップをご紹介しましたが、葛の花の活用術はまだまだあります。

二日酔いに! 「葛の花茶」

葛の花をザルに乗せて乾燥させ、葛花をつくっている写真。

葛の花をザルに乗せて乾燥させ、葛花をつくりました。

葛の花を乾燥させただけの「葛花(かっか)」と呼ばれる葛の花茶は、二日酔いの薬にもなるそう。クセがなくほんのり甘い風味。ほかのお茶とブレンドして飲んでもよさそうです。

花の風味を閉じ込める「葛の花の砂糖漬け」

木のお皿に盛られた、葛の花の砂糖漬けの写真。

スミレの花の砂糖漬けに憧れて、ずっと挑戦してみたかったお花の砂糖漬け。葛の花でつくってみたいと思います!

<材料>

・葛の花

・グラニュー糖

・卵白

<つくり方>

(1)葛の花に卵白を薄く塗る

(2)グラニュー糖を全体にまぶし、クッキングシートにのせて2日ほど乾燥させる

(3)瓶に詰めて完成! 

グラニュー糖がなかったので、白砂糖で代用したところお砂糖が塊になってしまいあまりかわいくない仕上がりに……でも味はおいしい! 

サクッと噛むと、お花の香りが口いっぱいに広がります。乾燥剤と一緒に冷蔵庫保存すれば数か月もつので、お菓子づくりに使う予定です。

香りをギュッと閉じ込めた「葛の花酒」

小さな瓶に仕込まれた葛の花酒の写真。

葛の花をホワイトリカーや焼酎につけておくと、芳しい葛の花酒になるそうな。試したことがないので、今回初挑戦! 仕上がりは数か月後になるので、完成が楽しみです。

次回は「葛粉」をつくってみたい……?

葛の緑色のツルで編まれた籠を手にする人の写真。

野生児のシェアメイト・けいたくんが、葛のツルでカゴをつくってくれました。

根っこや花で漢方薬をつくったり、ツルを使ってカゴをつくったり、昔は暮らしに欠かせない植物だった葛。花はおいしいし、根もツルも活用できるのに、里山を荒らすだけの存在になっているなんてもったいない! 

せっかくなので、次回は葛の根からつくる「葛粉」にチャレンジしてみたいです。なかなかハードだと聞いているのでちょっと心配ですが、つくったらまたここでシェアしていきますね! どうぞお楽しみに。

おまけ

葛の花で天ぷらをつくりました! かわいらしい見た目で、サクサクの食感。茎はちょっとかたいです。秋の七草として、目で楽しむ天ぷらになりました。

葛の花の天ぷらがお皿に盛られた写真。

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CHIHARU HATAKEYAMA

畠山千春

はたけやま・ちはる●新米猟師兼ライター。3.11をきっかけに「自分の暮らしを自分でつくる」活動をスタート。2011年より鳥を絞めて食べるワークショップを開催。2013年狩猟免許取得、狩猟・皮なめしを行う。現在は福岡県にて食べもの、エネルギー、仕事を自分たちでつくる〈いとしまシェアハウス〉を運営。2014年『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』(木楽舎)。第9回ロハスデザイン大賞2014ヒト部門大賞受賞。ブログ:ちはるの森

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