いくつかの観光名所をめぐりたいとき、気になるのは交通手段。電車やバスを時間通りに乗り継ぐのが難しかったり、レンタカーだと「誰が運転する?」問題が勃発したり、都心部を離れるとなかなかタクシーがつかまらなかったり……「自由に観光する」って、結構たいへんですよね。
そんなとき、便利なのが「バスツアー」です。観光バスなんて、乗ったことない!という人も、決まったルートをめぐるだけなんて……という人も、ぜひ一度、〈よかバス〉公式サイトをチェックしてみて。こんな所に行ってみたかった! という観光スポットに出合えますよ。
「よかバス」って何?光の道と呼ばれる、宮地嶽神社からの眺め。写真提供:福岡県観光連盟
公式サイトによると、よかバスとは、福岡県内を手軽に周遊できるバスツアーのこと。グルメツアーだけでなく、絶景・歴史・文化・体験などさまざまなコンセプトのツアーがあり、福岡県の多様な魅力を楽しむことができます。
訪れる皆さんに、“よか場所”、“よか食べ物”、そして何より“よか人”に出会っていただき、「福岡はよかね」と思っていただきたい、という想いが込められたネーミングなのだそう!
今、なぜバスツアーなのか? という疑問について、福岡県デスティネーションキャンペーン実行委員会事務局のよかバス担当者さんにうかがいました。
「福岡を訪れる観光客は、空港や主要駅がある福岡市や北九州市(政令市)に集中しています。この両政令市に集中する観光客を県内各地に周遊していただくため、乗り換えなどなく、効率よく観光地を周遊できるよかバスを企画しました」
もともとは、2024年4月にスタートした「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」の一環として始まったよかバス。複数の旅行会社が企画するさまざまなツアーを「よかバス」という統一名称で、一元化して紹介することでお目当てのツアーを検索しやすくなっています。
「すでに、『短時間に多様な観光スポットを巡ることができた』『車を運転しないので、ひとりで行けなかった場所に行けてうれしい』など、ツアー参加者からのうれしい反響も届いています」
この夏おすすめの「よかバス」ツアーは?今年の夏休み、福岡に帰省や観光の予定がある人や、もともと福岡に住んでいる人にオススメのツアーについて伺いました!
朝倉市やうきは市には、フルーツ狩りが楽しめる観光農園も多い。
「ひとつ目は、朝倉でフルーツ狩りとBBQを楽しむツアーです。いまの季節だと梨狩りが楽しめて、1キロの梨のお土産付きというもの。BBQは手ぶらでOK、地元の名産品・直売品のお買い物もできます」
朝9時に博多駅集合、夕方16時半ごろに博多駅着予定なので、家族や友人と一日たっぷり遊びたい人にぴったりですね。
観光鉄道として生まれ変わった「赤村トロッコ」。
「ふたつ目は、赤村トロッコと田川市石炭歴史博物館のツアー。赤村トロッコ油須原線とは、炭坑用として造られたものの開業することなく廃線となった幻の鉄路。約25分間の探検乗車が楽しめます」
田川市石炭歴史博物館は、2011年に日本で初めて「世界記憶遺産」として登録された「山本作兵衛コレクション」を所蔵。筑豊の炭坑の様子を記した絵と文書のほか、屋外には実際に炭坑で使用された大型機械類も展示されています。
旬のフルーツを味わったり、歴史のロマンに思いを馳せたり……意外と地元の人も行ったことのない場所に気軽に行けるのが、よかバスの大きな魅力です。
飯塚市にある「旧伊藤伝右衛門邸」では、企画展も楽しめる。
ちなみに担当者さんご自身は、「福岡県嘉麻市でトマトの収穫体験とヒュッゲ体験、飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸を見学するツアー」に参加したそう! 実際に出かけてみて、いかがでしたか?
「森林の中のテントで、焚火をしながらマシュマロやパンを焼いて食べたり、収穫したトマトを使ったピザづくりの体験などを楽しみました。その後、飯塚市にある旧伊藤伝右衛門邸を訪れ、筑豊の炭鉱王の伊藤伝右衛門と歌人の柳原白蓮が過ごした邸宅を見学し、細部まで意匠を凝らした建築を楽しむことができました」
アウトドアグルメと歴史探訪、とても充実したツアーですね!「よかバス」ならではの良さはどんなところに感じられましたか?
「ほかのツアー参加者と会話を楽しみながら、ゆっくりとした時間を満喫できて最高でした。一日で嘉麻市、飯塚市の観光地を効率よく巡ることができて、バス旅の良さを感じました」
確かに、他のツアー参加者との交流があるのは、バスツアーならでは!たくさん行きたいところがあって「ちょっと盛りだくさんすぎるかも?」と思うときでも、バスツアーなら移動中に休めるのもいいですよね。
福岡観光はもっと広く、もっと気軽に今年誕生したばかりのよかバスですが、今後は国内向けだけでなく、インバウンド向けの企画も検討しているそう。福岡の知られざる観光スポットに、ますます注目が集まりそうです!
宗像大社辺津宮は、海や川と関わりが深い宗像三女神信仰の中心地。写真提供:福岡県観光連盟
さらに、秋冬以降の注目ツアーとして、10月1日限定の「世界遺産・宗像大社の秋季大祭『みあれ祭』海上神幸を観賞するツアー」や、極上グルメとフォトジェニックなお花畑が両方楽しめる「幻のブランド牛・筑穂牛と原鶴15万本のひまわり畑を楽しむツアー」も。もう少し涼しくなってからおでかけしたい派は、ぜひ今のうちにチェックしておきましょう!
ローカルの魅力を満喫する福岡バス旅、今後も要注目ですよ。
※本記事でご紹介したよかバスツアーは、時期によって催行されていないものもあります。ツアー日程や情報については、公式サイトをご確認ください。
information
よかバス
Web:公式サイト
writer profile
Haruko Sato
佐藤 はるこ
さとう・はるこ●福岡生まれ、福岡育ち。成人してから引っ越した回数は10回以上。日本各地を移動しながら、2010年からフリーランスのライターとして活動。建築、都市、まちづくりに興味あり、音楽やアートの話が好き。人から話を聞くのがとても好き。