〈商店街サンド〉とは、ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、その土地でしか食べられないサンドイッチをつくってみる企画。必ずといっていいほどおいしいものができ、ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。
宮崎県宮崎市が舞台!今回やってきたのは宮崎県宮崎市。まちなかにはヤシの木があちこちに見え、まさに南国!
空港からも近い県庁や定番の観光スポット・青島神社では、南国の木々に囲まれていてとても宮崎らしい光景を見ることができる。
宮崎県庁。九州で唯一、戦前から残る県庁舎だそう。繁華街からも近い場所にあります。
宮崎市の定番観光スポットのひとつ、青島神社。島全体が境内とも言われ、熱帯・亜熱帯植物に囲まれ神秘的! 島へは橋がかかっていて、徒歩で渡れます。
青島神社までの道には「鬼の洗濯岩」と呼ばれる奇岩の景色が広がり、こちらも圧巻!
自然のエネルギーあふれる宮崎市にはほかにも、まちなかに厳かに鎮座する宮崎神社や一大リゾート施設のシーガイアがあったり、足を伸ばせば古代ロマンあふれる古墳群などを見たりすることができる。
海沿いにそびえ建つリゾート施設のシーガイア。そこだけ嘘みたいに大きくて驚く!
そんな宮崎市には、商店街がたくさん集まる賑やかなエリアがある。
これまたヤシが並び南国感ただようメインストリート「橘通り」、通称“ニシタチ”と呼ばれ郷土料理店や居酒屋が集まる「西橘通り・中央通り」、生活用品やファッションが集まる「一番街・若草通り」など。
そのなかでも今回は、若草通り周辺に絞って商店街サンドをつくってみることにした。
若草通商店街。歴史は長く、宮崎市民に深く愛されているという通り。
ファッション系のお店や、気軽に寄れそうな食事処がチラホラ。
若草通商店街は、ファッションからグルメまで、幅広いジャンルのお店が並ぶ商店街だ。
細道がおもしろい!歩いてみると、ところどころに散策甲斐のある横道が通っていることに気づく。
もっとも目を引いたのは「楽しいお買い物 文化ストリート」の看板がある細道。時代を感じさせるデザインの看板に、思わず胸がキュンとなる。
昔はこの細い道の中にたくさんお店が並んだのだろう。
こういう入り口があったら入りたくなっちゃいますよね!
時が止まってしまった通り。魚屋さんがあったんだな。
この文化ストリートにはかつてレコード店や化粧品屋、呉服屋、靴屋などの日用品店のほかに、鮮魚店やお肉屋、八百屋、お菓子屋なんかもあったようだ。
その当時なら、このストリートだけで商店街サンドが完成したかもしれない。
細道のなかにはいい雰囲気の飲食店がまだ残っているところも。
宮崎の代表的なグルメ、チキン南蛮の発祥のお店〈味のおぐら〉も発見!
まねき猫に誘われ、かき氷屋さんへいろいろ寄り道していると、人懐っこい猫に遭遇した。
地元の方に聞いたところこの若草通りには「カンタ」と「キンタ」と名づけられた猫がいて、のんびりと過ごす姿が見られるのだ。猫好きにはたまらないな!
たくさん相手してくれてうれしい!
かき氷屋〈みつをこぼせ〉の店の前に布団があるキンタ。かわいくてつい引き寄せられてしまう。
キンタに誘われ、かき氷をいただいてみることにした。いちごやパイナップルなど果物のかき氷もそそられたが、宮崎の特産品を使った創作かき氷にチャレンジ。
宮崎の〈服部養蜂場〉のこだわりの純粋ハチミツをたっぷり楽しめる「はちみつミルクヨーグルト」を選んだ。
〈みつをこぼせ〉の店名にたがわず、シロップがこぼれ落ちるかき氷!
これが驚くほど贅沢なかき氷だった。まず見た目は思い切った純白でインパクト大。シロップはこぼれるほどたっぷりだし、中にはサクサクのクッキーも入っていてかき氷とは違った食感が楽しめる。
キンタ、いいお店教えてくれてありがとう。
ヨーグルトの爽やかさとハチミツの甘さがマッチ。めちゃくちゃおススメです!
サンドの材料集め!さてひととおり商店街を練り歩いたので、目星をつけていたお店で商店街サンドの具材を一気に買い込むことにした。
まずは大事なパン。〈はぁーとパン〉で焼きたてのパンをいただいた。
〈はぁーとパン〉さんは、地元の就労支援施設の利用者の方たちがつくっているパン屋さん。種類は多いわけではないけれど、焼きたてのパンや焼き菓子が並んでいてとてもおいしそう。ちなみにケーキなんかもあって、喫茶店としても利用できる。
どれにするか悩んでいると、看板商品だというベーグルをおススメしてもらった。
次に、一見アクセサリーショップに見えるお店〈NOA〉さんで卵焼きをゲットした。
店の中をのぞくと地元らしきお客さんがところ狭しと椅子に座り、昼間からビールを飲みつつ料理を食べていたのだ。
見た目はアクセサリーショップ、中は馴染みの客が集う食事処になってる〈NOA〉。
このメニューの感じ、おいしい予感がしてテイクアウトできるか交渉したらできた。ちなみに左のダンボールは猫のカンタ(先ほどとは別の猫)の休憩所。
そして宮崎ブランドポークをつかった〈とんかつ峯〉ではメンチカツをゲット。宮崎ブランドポークとは、品種や餌、安全性にこだわりをもった宮崎県産豚のことだ。
こちらではひとつ120円から揚げたてをテイクアウトできるのでありがたい。
宮崎ブランドポークと書かれた旗がはためいていて目立つ〈とんかつ峯〉。
そして、人の入り具合から人気がうかがえる〈こはる食堂〉では宮崎を代表するグルメ、チキン南蛮を発見!
こはる食堂では唐揚げや生姜焼きなどの定番のおかずのほかに、今回買ったチキン南蛮や宮崎牛すじカレー、冷や汁など宮崎ならではのメニューも食べることができるのでオススメだ。お米も宮崎県産とのこと。
〈こはる食堂〉もテイクアウトができてありがたい!
集まったサンドの食材はこちら! 卵焼きにはよく見ると漬物が添えられていてうれしい。
さらに、果物屋さんを発見したのでスイーツサンドもつくってみることにした。やっぱり宮崎と言ったらまず浮かぶのがあの果物だから。
それにしても近くに大きいデパートがあるにも関わらず、ちゃんと果物屋さんがあるのっていいな。
〈フルーツ永野〉で立派なマンゴー発見!! しかし高級過ぎて手が出せず……
かわりに日向夏をゲット。宮崎原産の柑橘類だ。リンゴを剥く要領で白皮は残し、黄色い皮だけを薄くむいて食べるとおいしいとのこと。
日向夏に合わせるものとして〈南国プリン〉を選んだ。南国プリンは昭和スイーツの代表ともいえるプリンの上に、果物やジュレを乗せた宮崎の新名物だそうだ。
可愛らしいロゴの〈南国プリン〉。マンゴー入りがあったのでちょうどいいや。
〈いなはる菓子司〉さんではカステラをゲット。全国菓子大博覧会で農林水産大臣栄誉賞を受賞しているとのこと。
パンのかわりに買ったカステラはひと切れ個包装150円のものがあったが、端っこの大きいのが430円とお得だったのでそれを買った。
こちらがスイーツサンドの材料!
なお、南国プリンは3種が入ったお得なセット。
燦燦と輝く太陽を表現した「マンゴー入りプリン」、透き通った南国の青空に浮かぶ入道雲を表現した「青島プリン」、そして宮崎県産のこだわりの牛乳に九州産の生クリーム、厳選されたバニラビーンズの味を生かしたテゲセボンの「南国プリン」だ(テゲ=宮崎弁でとても、セボン=フランス語でおいしいの意味)。
繁華街から少し歩いたところにある大淀川のそばでサンドづくり。
時折、犬の散歩やランニングしている人が横を通り過ぎるなかオリジナルサンドをつくった。
今回は穴が開いているベーグルに、どうやって具材を乗せるかが大きなポイントだった。結果、切った具材を穴に落ちないように積み上げていくことに。
ジャーン! できた〜! 両方とも絶妙なバランスです!
過去イチ背の高いサンドになった。
まるでシーガイアな商店街サンド完成!その堂々たる姿は、まるで海沿いにそびえ建っていたシーガイアのようだった。食べてみると、リゾート複合施設のように一気に贅沢を味わえる!
もっちりとして噛み応えのあるベーグルに、肉汁ジューシーなメンチカツ、喫茶店のママがつくってくれた甘い卵焼き、そして酸味のきいたチキン南蛮。食べ盛りの男子に大ウケしそうなラインナップじゃないか。
そしてああ、タルタルソースって、すべての食材に合うんだなあ……。
相変わらず食べにくいけど、おいしい!
今回は商店街がたくさん集まったエリアのほんの一角だけをピックアップしてみたのだけど、それでも充分見どころはあったし、宮崎らしさが詰まったサンドをつくることができて楽しかった。
さて次はどの商店街へ行こうか。
日向夏を大胆にはさんだスイーツサンド。カステラは甘いけど日向夏とジュレでスッキリとした味わい。新感覚スイーツでした!
●シーガイアサンドレシピ
はぁーとパンのベーグル2個…300円NOAの卵焼き…400円とんかつ峯のメンチカツ2個…240円こはる食堂のチキン南蛮…450円合計……1390円
●宮崎スイーツサンド
いなはる菓子司のカステラ切れ端…480円フルーツ永野の日向夏 4個入り…690円南国プリンの南国3個セット…1390円合計……2560円
writer profile
Maruko Kozakai
小堺丸子
こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。
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撮影:地主恵亮