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北海道の宿や上野駅の人情話も! 12人の旅人が綴った小さな出来事とは

  • 2024年6月15日
  • コロカル
心に残っている、旅のトゥルーストーリー

自由に、縛られることなく旅をしているクリエイターが持っている旅の視点は、どんなものなのだろうか?独特の角度で見つめているかもしれないし、ちいさなものにギュッとフォーカスしているかもしれない。

さまざまなクリエイターがローカルを旅したときの「ある断片」を綴ってもらうリレー連載が、コロカルの『旅からひとつかみ』だ。その連載を見てみると、北海道から沖縄まで全国での出来事が綴られていた。そこで地域ごとにまとめて記事を紹介していく。まずは【全国編】【北海道・東北編】【関東編】から。

全国編、北海道・東北編、関東編の旅先マップ

【全国編】「桜を追う」「パンと本」
大森克己さん

大森克己

写真家

「2007年、オシム・ジャパンのただ1度の5月、1か月半ほど続いた旅の終わり。北海道えりも町庶野の公園で薄いピンクの山桜が散りながら光っているのを見た。朝の陽光に花びらが光っているのを見て、ただ美しいと感じたそのとき、桜を巡る旅はもう終わりにしよう、と思った。見ることだけに集中しようとしていた自分だが、考えてみれば、見ると同時にずっと歩き続けてきたし、呼吸し続けていた。」

かつて桜を追いかけて全国への旅を始めたきっかけや、当時、感じた気持ちを綴っています。全国を歩いたこの旅は、どのようにして終わったのでしょうか?

 Lee Izumidaさん

Lee Izumida

絵描き

「本は時間がたってから自宅でゆっくり読む。行った先の美術館のチケットの半券や素敵なデザインのフライヤー、メモ書き、気になったお店の店舗カード、レシート裏に描いた落書きがランダムにページに挟まっている。旅行へ行った日付もしっかりわかる。よく季節は覚えていても何年前だったか思い出せないこともあるが、本に挟まったヒントですぐにわかる。膨大なカメラロールやインスタを遡るよりはるかに早い。」

旅するときにはずせないという、本とパンの話。旅は本屋とパン屋から始まり、帰宅してからも、その旅の思い出を彩ってくれるようです。

【北海道・東北編】「稚内の宿とスナック」「子どもと八戸へ」「八戸のウニ」「遠野の渓流釣り」「追分温泉の宿」「東北のスキー」
ジェリー鵜飼さん

ジェリー鵜飼

アートディレクター

「ただひとつだけ心配なことがあった。誰も熊鈴を持っていないことだ。利尻島には熊がいないと聞いていたので、ボクたちは熊よけの準備をしてこなかった。お酒も入って声が少し大きかったのだろうか? 話に耳をそば立てていたママが「お兄さんたち熊鈴がなくて困っているの? よかったらこれを使って〜。うふ〜ん」と入り口の扉についたドアベルを外して差し出してくれた。チリンチリンと鳴る熊鈴とは違って、大きくカランコロンと鳴るドアベル。重いドアベルをありがたく受け取り、何度もお礼を伝えて店を後にした。」

北海道の最北端、利尻山に登りに行った旅の話。登山や釣りなどを存分に楽しんだが、稚内では、それを越える感動的な体験をしたようです。(北海道稚内市)

佐藤亜沙美さん

佐藤亜沙美

アートディレクター

「都内では子連れでいるだけで申し訳なさそうにしていた自分が解放された瞬間でもあった。なによりどの施設もデザインが洗練されていて、子ども用の施設にありがちな「ほっこり感」に気後れしてしまうわたしは、視覚的にも楽しかった。」

子どもを産む前と産んだ後では、旅に求めるものが変わってきたといいます。そんな出産後に再訪することになった八戸市。子どもと一緒に訪れたことで、感じたこととは?(青森県八戸市)

田附勝さん

田附勝

写真家

「何組も家族を回ると大変な量を食べることになるから“もう要らない”と思ったくらいだ。最後の方は「もう食べられないよ」と素直に伝えて、食べる代わりに一緒にウニの身をザルに入れる手伝いをした。これがなかなか難しい。出荷するものだから、綺麗な身でないと高く売れない。僕は不慣れな手つきで、でもできるだけ丁寧に作業した。」

魚をテーマに撮影することを命題に、地域の漁師に会い、ともに食事をし、関係性を築きながら撮影していく。そのなかでウニの豊饒さを知り、漁師という生き方に惚れたようです。(青森県八戸市)

鰤岡力也さん

鰤岡力也

家具職人

「釣ってどうするかというと、写真を撮って1分もしないうちにリリース。今日の思い出のためだけに釣るわけなのだ。そのイワナを釣るために徹夜で車を走らせ、高価な道具を揃えたにもかかわらず。だけど、「俺は何やっているんだ」とまったく思わないのが不思議。一日中、それを繰り返すのだ。」

ある人の影響ではまったという渓流釣り。家具販売の仕事と相まって、遠野や盛岡への旅が、鰤岡さんのなかで毎年の定番化していったようです。(岩手県遠野市)

岡野弥生さん

岡野弥生

土産商

「2012年に行ったときは部屋でダラダラしていたらほろ酔い状態のおじさんが急に部屋に入ってきたことがあった。翌日旅館の方に謝られたのだけど、その前の週まで私たちの泊まっていた部屋に長期滞在していたらしく、酔って間違えちゃったそうだ。追分温泉は山の上のほうにあるため、東日本大震災のときには津波の被害に遭わず、近隣の方たちの避難所になっていたそう。ほろ酔いで間違えて入ってきたおじさんは復興作業をしている人だった。」

松島、平泉、石巻、気仙沼などを旅した話。東日本大震災をきっかけに東北を再認識し、東北旅を毎年春の恒例行事としてきたそう。1泊2日で行ける東北アチコチの魅力を伝えてくれます。(宮城県)

山戸ユカさん

山戸ユカ

料理家

「その間は基本的に車中泊。食事は地元の人に教えてもらった定食屋やご当地ラーメンなどその土地の味に出合うことも多い。もちろん簡単な自炊をする日もある。車で寝泊まりできると次の日の行き先や予定を自由に変えられるし、朝早くから山に入りたい日には登山口の近くまで夜のうちに行けるという機動性は何ものにも代えがたい。」

いちばんの趣味はスキーで、毎年春先には東北へスキートリップに出かける。車中泊で、自由気ままな旅だといいます。(東北地方)

【関東編】「那須の美術旅館」「八丈島のサーフィン」「上野駅での出会い」「館山のサーフィン」
江藤公昭さん

江藤公昭

〈パピエラボ〉代表

「ギャラリーの展示企画は「壺展」だった。事前の決心も虚しく、到着して早々、抑えるはずだった物欲が溢れた。まったくもって見たことのないタイプの壺があった。惹かれるタイプの壺が数々あるなかで、「これは何だ、わからない……」と、これだけは選ばないと思っていたのが、ギャラリー内をうろうろしているとそれがどうしてもチラチラと目に止まる。気になる……。」

那須の山奥にある旅館〈板室温泉 大黒屋〉を訪れた話。当初の目的は現代美術家・菅木志雄の作品の鑑賞でしたが、通ううちに、違う魅力や「収穫」もあったようです。(栃木県那須塩原市)

西畠清順さん

西畠清順

プラントハンター

「ある日、いつものように仲間たちとサーフィンしていると、そのうちのひとりのリーシュが切れて、サーフボードが流されてしまうという事件が起きた。ボードは瞬く間に切り立った岩場まで流され、本人は夢中でボードを追いかけ岩場に近づく。大きな波がガンガン入ってくるなか、その力で岩場に生身の人間がたたきつけられると思うと、背筋が凍る。なんとしても早く助けなければ! と、アドレナリン全開で助けに行ったときはまさに無我の境地だったが、なんとか無事救い出せた10分後には、もう次の波に夢中で、楽しいあまりそのことを忘れていた。」

八丈島のワーク&サーフトリップ。八丈島で待っているのは“難しい”買い付けと、格別の波。雄大な自然に身を投じていると、次なるステップに進むアイデアも生まれてくるようです。(東京都八丈町)

上出惠悟さん

上出惠悟

〈上出長右衛門窯〉六代目

「『上に出るとはなんだお前、お釈迦様みたいな名前だな。惠みに悟る? 俺は正直に言うけどな、お前は名前負けしてるぞ。完全に名前負けしてる』と何度も言った。私はその通りだと思った。『俺は保○常幸っていうんだよ、いい名前だろう。常に幸せを保つんだよ』そう言っておじさんは笑った。どれくらいの時間話していたのかは覚えていない。『次に東京来たら連絡しろよ。番号は電話帳で調べればわかるから』と言い残し、駅構内ではぐれてしまったという奥さんを探してどこかへ行ってしまった。」

高校3年生の頃、美術大学を目指し、初めて東京に夏期講習を受講しにきたときの話。夏期講習は刺激的であり実りのあるものになりましたが、印象に残っているのは、石川県への帰りに上野駅で出会った不思議なおじさんでした。(東京都台東区)

相場正一郎さん

相場正一郎

〈LIFE〉オーナーシェフ

「車を停めて、外に出て波をチェックして、ひと息ついて、またあらためて、この空気を満喫する。この作業を楽しみに来ているようにも思います。久しぶりの海に来て、再確認しました。実はサーフィンというスポーツ以前に、この作業が僕は好きなのです。やさしい波の音、風の音、鳥の声を感じるために海にいる。その口実が、きっとサーフィンなんだと思います。」

千葉の平砂浦を訪れた話。新型コロナウイルスの影響で、お店の営業も、趣味のマラソンやサーフィンも自粛せざるを得ない状況が続いていましたが、久しぶりにサーフトリップをしたことで自分を見つめ直し、前向きになれたようです。(千葉県館山市)

●この特集『旅は断片。』は、コロカルの連載『旅からひとつかみ』のvol.001〜038を再編集してまとめたものです。連載本編はこちらから

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コロカル編集部

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