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名古屋の伝統工芸「有松鳴海絞り」。初心者体験コースでつくれるものとは?

  • 2024年6月3日
  • コロカル
自分だけの有松鳴海絞りがつくれる体験ワークショップ

愛知県名古屋市の南部に位置し、伝統的工芸品「有松鳴海絞り」の産地として知られる有松・鳴海エリア。特に有松は江戸時代の面影が残る町屋が並び、美しい景観を楽しむことができるまちです。

有松・鳴海エリア

そんな有松に、有松鳴海絞りの体験ができる施設がいくつかあるのをご存知ですか?今回紹介するのは、〈株式会社スズサン〉が運営する体験施設〈Studio Suzusan〉のワークショップです。2019年から有松鳴海絞りの体験事業を始めたという同社が、新しい施設を構えるタイミングで、ワークショップの内容を2024年4月20日にリニューアルしました。

体験コースは、基本的な技法を体験できる「ベーシックコース」と初心者でも気軽にトライできる「ビギナーコース」の2種類。有松鳴海絞りは「縫う」「くくる」「畳む」というシンプルな手技を組み合わせることで、これまで100種類以上もの染色技法が生み出されてきました。糸でくくった部分や、塗った部分が白く防染され、さまざまな模様が表現できます。ベーシックコースで学べるのは定番技法の「手筋絞り」と「手蜘蛛絞り」です。手ぬぐいやストールを糸でくくったあと、全6色のなかから好きな色の染料を選んで染め上げます。

「手筋絞り」と「手蜘蛛絞り」

写真奥が「手筋絞り」。手前の「手蜘蛛絞り」は染め上がりが蜘蛛の巣のように見えることからその名がつきました。

一方、ビギナーコースでは三角形に折った生地を板で挟んで染める「雪花絞り」を体験できます。いずれも縛り方や縫い方で模様の表情が変わるので、世界にひとつしかない自分だけのオリジナルの一枚が完成しますよ。

「雪花絞り」の様子

雪の結晶のような模様が生まれる「雪花絞り」。

体験コースの会場は、築150年の古民家。趣のある場所で、伝統的工芸品の魅力や手仕事の奥深さを感じながら、有松鳴海絞りについてじっくり学んでみませんか?

〈Studio Suzusan〉

絞りの原点ともいわれる有松鳴海絞り

スズサンは、前身の〈鈴三商店〉の時代から数えると、100年以上にわたり、有松鳴海絞りを家業として営んできました。分業制でつくられる有松鳴海絞りの作業工程のうち、代々、図案作成や絵彫り、加工全般をコーディネートする影師の仕事に従事してきたといいます。

技法が豊富で細かく分類すると模様の種類が500種にも及ぶといわれる有松鳴海絞りは、種類の多さから、世界的に“絞りの原点”ともいわれる存在です。その素晴らしさを世界に伝えるべく、2008年には自社ブランド〈suzusan〉を立ち上げるなど、幅広く事業を展開しています。

自社ブランド「suzusan」の直営店。

自社ブランド〈suzusan〉の直営店。洋服だけでなく、ストールや照明器具などさまざまなアイテムが並んでいます。

体験施設〈Studio Suzusan〉は、スズサン4代目の村瀬裕さんが有松鳴海絞りの魅力やデザインの面白さを伝えたいと、2019年から始めました。「自由につくること」をモットーとする〈Studio Suzusan〉のワークショップ体験は、いきなり加工の作業に入るのではなく、デザインの工程があるのが特徴。実際に絞りのデザインや配置を紙に書き記してから、くくり加工などの作業に移ります。唯一無二の体験が人気で、海外からも多くの人が訪れます。

お湯で消える「あおばな」という液で、生地に下絵を描く様子。

お湯で消える「あおばな」という液で、生地に下絵を描く様子。

株式会社スズサン4代目の村瀬裕さん。

株式会社スズサン4代目の村瀬裕さん。

今後は、村瀬さんから直接学べる本格的な「マスターコース」や、街歩きや工房見学がセットになった「プレミアムコース」を用意する予定とのことです。名古屋を訪れる際は、ぜひ有松に立ち寄って、ここでしか体験できないモノづくりにチャレンジしてみませんか。

information

Studio Suzusan 

住所:愛知県名古屋市緑区有松3305

TEL:052-825-5386

営業時間:10:00〜18:00

Web:公式サイト

writer profile

Ayumi Otaki

大瀧亜友美

おおたき・あゆみ●山形県出身。広告制作会社や出版会社での勤務経験を活かして、フリーライターへ転身。WEBや紙媒体で編集から取材、執筆まで幅広く行う。旅や料理、植物など心を豊かにしてくれるモノやコトが大好き。

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