2月の特集『会いに行きたいパンがある。』はご覧いただけましたか?今回のパン特集にちなみ、 instagramとX(旧Twitter)のコロカル公式アカウントを通して、みなさまから「これぞ! ご当地パン」というイチオシパンを募集しました。
どれも個性的で、編集部も知らなかったパンも多数ありました。あらためて、投稿いただいたみなさまありがとうございます。そんななかでも、編集部が「会いに行きたい!」と思ったパンを厳選。北から順にご紹介します!
青森県・工藤パン〈イギリストースト〉〈工藤パン〉の創業は1932年(昭和7年)。その後、〈イギリストースト〉は1967年(昭和42年)の発売から今も愛されるロングセラー。バリエーションが豊富!(写真提供:さいとうみかこさん/@urabetti)
ご当地パンとして有名な〈イギリストースト〉は、しっとりふわふわのパンにマーガリンと砂糖というベーシックな味のみならず、限定商品をふくめてたくさんのパリエーションがあるのが楽しいですね。工藤パン公式サイトでは230種類を超える歴代のラインナップを見ることができます。
岩手県・福田パン〈コッペパン〉1948年(昭和23年)創業、盛岡のソウルフードというべきご当地パン。(写真提供:cdtrkdさん/@cdtrkd)
「どこか懐かしさを感じる」と地元の方からのコメントがありましたが、地元でない人でも、確かに、ノスタルジーを感じます。〈福田パン〉については特集『会いに行きたいパンがある。』でも取り上げていますので、まだという方はぜひご一読を。
注文すると、目の前で具材を塗ってくれる。詳しくは、特集『会いに行きたいパンがある。』へ。
秋田県・たけや製パンの〈アベックトースト〉1951年(昭和26年)創業の秋田の製パン業界をリードする老舗〈たけや製パン〉。定番なのがこの〈アベックトースト〉。(写真提供:にっぽん食べる旅/@umaimon888)
2種類の味を合わせているから「アベック」なのだとか。時代を感じますね。投稿者の方から「コスパ最高」とありますが、日常的に食べるものだから、コスパも重要ですよね。サンドされてる食パンにはマーガリンとジャムがそれぞれ半分ずつ塗られており、どうやって食べ進めるかについて話が盛り上がることがあるそうです。
新潟県・中川製パン所〈カステラサンド〉1952年(昭和27)創業の歴史を刻むご当地パン。(写真提供:YOSABEIさん/@yosabei_sado)
投稿写真は、佐渡の「あめやの桟橋」でしょうか。ご当地パンはその土地の景色と一緒に味わいたいですね。カステラサンドのオリジナルTシャツ(?)まであるとは……。気になるお味は、素朴な甘さとのこと。佐渡に行ったらぜひ、食べてみたいと思います。
富山県・さわや食品〈昆布パン〉1951年(昭和29年)創業の〈さわや食品〉の名物パン。あわせて〈コーヒースナック〉というご当地パンも人気です。(写真提供:Momo*Kinariさん/@Momo_kinari)
もちもちの生地に昆布が練り込まれた〈昆布パン〉。実は、富山県は昆布の消費量が多い県。とろろ昆布を巻いたおにぎりも有名ですが、ご当地パンも昆布入りなんですね!「お魚料理やお酒にも合う」というコメントからも、いかに地元の食卓に溶け込んでいるかが伝わってきました。
長野県・丸平精良軒総本店〈鳥ぱん〉1855年(安政2年)創業の老舗〈丸平精良軒総本店〉が、明治30年頃に考案した長野の銘菓。(写真提供:葉月 遊さん/@you_hazuki8)
長野県の諏訪湖に飛来する鴨やオシドリの浮き寝姿を見て考案されたのだとか。これをご当地「パン」としてよいかは微妙なラインですが、「ぱん」とあるので採用! 北海道産の餡が入ったおまんじゅうのような味だそうです。
和歌山県・室井製パン所〈ホームパン〉1954年(昭和29年)創業の〈室井製パン所〉がつくるパンは、地元のおやつとしても親しまれているそう。左上から時計回りに、〈ホームパン〉、〈フライ揚げパン〉、〈焼きリンゴ〉、〈あんぱん〉(写真提供:Momo*Kinariさん/@Momo_kinari)
〈ホームパン〉は、マーガリンに粗めの砂糖がまぶされていて、シャリシャリ感のあるご当地パンとのことです。和歌山県みなべ町の老舗〈室井製パン所〉がつくるパンたちは種類も豊富。みかんの産地で、焼りんごのパンというのも気になりますね。どのパンのパッケージからもどこか懐かしい味わいを感じます。
福岡県・リョーユーパン〈マンハッタン〉1950年(昭和25年)創業の〈リョーユーパン〉。〈マンハッタン〉は、1974年発売以来、九州地方で人気の商品。(写真提供:はーみっと旅行者(Purple Hermit Wolf)さん/@purple_h_wolf)
硬めの生地にチョコレートがコーティングされているドーナツで、投稿者のコメントでは「カリカリ、ザクザクの食感」なのだとか。マンガ『クッキングパパ』(第61巻)では「九州名物」として登場するほどのご当地感が。
鹿児島・イケダパン〈シンコム3号〉1948年(昭和23年)創業、かつては九州最大の製菓・製パンメーカーだったという鹿児島の〈イケダパン〉。〈シンコム3号〉は、1961年(昭和36年)発売とのこと。 (写真提供:Momo*Kinariさん/@Momo_kinari)
〈シンコム3号〉!? と気になる名前ですが、1964年にアメリカが打ち上げた世界初の静止衛星(人工衛星)が由来なのだとか。当時の東京五輪のテレビ放送にも寄与した衛星だそうです。公式サイトでは、発売が1961年とあるので、名前やパッケージは当時の盛り上がりからの後付けなのか……!? 謎はさらに深まるばかり……(ご存じの方、ぜひ教えてください)。ブッセにバニラクリームをサンドしたものだそうで、冷やして食べるとおいしいそうです。鹿児島ではお菓子ではなく、パンとして売られているとのことで採用しています。
こうしてさまざまなパンを見ていると、思わず食べたくなってしまいます。というわけで、編集部からもほど近い長野県のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉にて、ご当地パンでも有名な「牛乳パン」を買ってきました。
種類豊富な牛乳パンは、〈銀座NAGANO〉にて日替わりで販売されています。今回購入したのは、左から〈辰野製パン工場〉(辰野町)の牛乳パン、〈トラットリアフォルツア〉(安曇野市)の信州牛乳パンの2種類。
ふわふわの厚みのあるパンに挟まれた甘いクリームの組み合わせは、口にした瞬間、幸せな気持ちにさせてくれます。
日本でも代表的なご当地パンの〈牛乳パン〉ですが、1950年(昭和25年)頃に発売とのことで(諸説あり)、今回集まったご当地パンもほとんどが昭和20年代の発売でした。
少し調べてみると戦後、GHQからの小麦援助により、製パンが盛んになったそうです。1964年の東京五輪をきっかけに洋食化も拡がり、パン食は一般的なものに。その頃、全国各地でつくられたのが、今も愛され続けるご当地パンなのです。
こうして個性豊かなパンとその歴史をひも解いていくと、まだまだ日本全国には“会いに行きたい”ご当地パンがありそうです。
最後になりましたが、今回ご当地パンを投稿くださったみなさま、ありがとうございました!またSNSを利用した企画の際には、ぜひご協力をお願いします。
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コロカル編集部