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石川県小松市の廃校を活用したオーベルジュ〈Auberge “eaufeu”〉。若きシェフが卒業生を招いたホームカミングレストランを開催

  • 2023年4月12日
  • コロカル
過疎化が進む地域で、廃校になった母校でのレストラン体験を

〈Auberge “eaufeu” (オーベルジュ オーフ)〉は、少子化に伴って閉校した旧小松市立西尾小学校の建物をコンバージョンし、12室の客室とガストロノミーレストランを擁する宿泊施設です。小松空港から車で30分ほどの石川県小松市観音下町(かながそまち)にあります。

〈Auberge

その〈Auberge “eaufeu”〉のレストランで、旧西尾小学校の閉校時に在籍していた子どもたちを招待するホームカミングレストランと称したイベントが、2023年3月19日(日)に行われました。

旧西尾小学校の閉校時に在籍していた子どもたちを招待するホームカミングレストランと称したイベントが行われました。

里山に囲まれた旧西尾小学校の校下は、少子化が進み、平成30(2018)年3月の閉校時には30人あまりの児童が在籍していました。2023年3月時点で当時の1年生が小学6年生、6年生は高校2年生に成長しホームカミングレストランに訪れたのは、そのうち17人。もちろん保護者の付き添いはありません。

盛りつけは子どもたちの目の前で。切り分ける前の大きな黒豚のローストも登場

カードには参加者へのメッセージと食材の生産者などの名前が書かれています。裏にはスタッフからの直筆メッセージも。

カードには参加者へのメッセージと食材の生産者などの名前が書かれています。裏にはスタッフからの直筆メッセージも。

メインダイニングは、元は職員室だった部屋が使われています。テーブルには、ナイフ、フォークなどのカトラリー、グラスなどが整然と並びます。

料理に使われる食材とその生産者らが記されたカードもテーブルに。表にシェフの糸井章太さん、裏にはスタッフの全員が一人ひとり、歓迎のメッセージを書き入れて、子どもたちを迎えました。

シェフの糸井章太さん。

シェフの糸井章太さん。

子どもたちが揃うと、糸井シェフが歓迎の挨拶をして、自家製のホワイトコーラで乾杯してイベントがスタート。ホワイトコーラは近隣の山に自生する樹木、黒文字をベースにさまざまなスパイスの香りを移したものです。

自家製のホワイトコーラで乾杯してイベントがスタート。

この日に用意された料理はすベて、このイベントのための特別な料理。ゲストである子どもたちの目の前で盛りつけをするスタイルで行われました。

手際良く盛り付ける様もみどころになっていました。

手際良く盛りつける様もみどころになっていました。

1皿目のサラダがテーブルにそろったところで、各テーブルにスタッフが回ります。

添えられたパンについても「お皿に残った卵をつけて食べるとおいしいです」などと、レストランでの振る舞いについて伝えます。

「サラダはフォークとナイフで食べてもいいし、お箸で食べてもいいですよ」と声をかけ、添えられたパンについても「お皿に残った卵をつけて食べるとおいしいです」などと、レストランでの振る舞いについて伝えます。

「サラダはフォークとナイフで食べてもいいし、お箸で食べてもいいですよ」と声をかける

2皿目は黒豚のロースト。はちみつを塗りながらオーブンで焼いたという丸ごとのロース肉です。各テーブルで子どもたちに見せてから、シェフがみんなの前で切り分けました。

2皿目は黒豚のロースト。はちみつを塗りながらオーブンで焼いたという丸ごとのロース肉です。

各テーブルで子どもたちに見せてから、シェフがみんなの前で切り分けました。

 

子どもたちは「想像していたのと違って、塊の肉が出てきたからインパクトがあった」と普段は見ることのない大きな肉に惹きつけられた様子。

デザートのシュークリームは焼きたて。

デザートのシュークリームは焼きたて。目の前で2種類のクリームが絞られ、粉糖で仕上げられました。テーブルにサクサクのシュークリームが配られると、嬉しそうな表情も見えました。

仲のいい同学年でテーブルを囲み、ときどき若いスタッフと話すなど、和やかな雰囲気で食事が進みました。

食事中、子どもたちは口々に「おいしい」を連発。最初こそ緊張した表情も見えましたが、仲のいい同学年でテーブルを囲み、ときどき若いスタッフと話すなど、和やかな雰囲気で食事が進みました。

約1時間半に渡ったイベントの終了後、子どもたちは、館内ツアーへ。図書室や教室だったスペースを利用した客室や、在校時には立ち入ることがなかった屋上にも足を踏み入れました。

かつて図書室だったスイートルーム。

かつて図書室だったスイートルーム。

コンバージョンされた建物は学校だった面影を廊下の手洗い場や客室のスクリーンとして使われる黒板に残しています。

手洗い場はそのまま。

手洗い場はそのまま。

黒板はスクリーンとして活用。高校生の参加者からは「黒板ってこんなに低かったんだ」との声も。

黒板はスクリーンとして活用。高校生の参加者からは「黒板ってこんなに低かったんだ」との声も。

在校中は立ち入ることがなかった屋上に。

在校中は立ち入ることがなかった屋上に。

 

若きシェフが子どもたちに感じて欲しかったものとは

イベント終了後、糸井シェフは「みんな、上手にフォークとナイフを使えていましたね」と子どもたちの様子に感心した様子です。

ホームカミングレストランのイベントは、糸井シェフが地域の子どもたちに、食事を心から楽しんでほしいと企画したもの。また、プロが選んだカトラリーやお皿を使ったり、サービスのプロによって料理が提供されたりという経験から食に関わる仕事や食そのものについて関心を高めてもらいたいという意図もありました。

若干30歳の糸井シェフは、レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ2023』で期待の若手シェフ賞を受賞したばかり。

若干30歳の糸井シェフは、レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ2023』で期待の若手シェフ賞を受賞したばかり。フランス料理をベースに研鑽を積んだ技術が評価され、20代半ばから、数々の名誉ある賞を受賞。活躍を期待されてきました。

そんな糸井シェフが小松市内でも山間部で、過疎化が進む観音下と出会ったのはオープンの1年半ほど前。石川には全くゆかりがなかったものの、初めて観音下を訪ねて、空港からのアクセスの良さや里山の雰囲気が気に入ったとのこと。さらに近隣の農家がおいしい野菜を育てていることや周辺の山で取れる豊富な山菜や野草も食材に加えられることに魅力を感じ、〈Auberge “eaufeu”〉を率いることを決意しました。

イベント終了後、子どもたちはみんなでシェフにお礼を。

イベント終了後、子どもたちはみんなでシェフにお礼を。

地域との交流も大事だと考え、オープンからまだ1年に満たないながら、これまでも食育イベントや地域住民を対象にしたイベントも開催してきました。

「料理人を子どもたちがなりたい職業No.1にしたいんです。料理人として、いろんな人にどれぐらいいい影響を与えられるのかということに興味を持っています」と糸井シェフは話します。

参加した17人の子どもたちの中には、盛り付けをするシェフたちの手元をじっと見つめる人も、家族に見せると料理の写真をたくさん撮った人もいました。まだ、働く大人の姿を間近に見る経験が少ない年齢の子どもたち。今回の経験をもとに、料理人や食に関わる仕事を目指す人が出てくるのかもしれません。

information

Auberge “eaufeu”(オーベルジュ オーフ)

住所:石川県小松市観音下町口48

客室数:12室

宿泊料金:2名1室利用1名34100円(税込・サ別)から

レストラン: 17:30〜22:00(20:00 L.O.)土・日・祝のみランチ営業あり 12:00〜15:00(13:00L.O.)

カフェ:11:00〜17:00

定休日:火・水曜(祝日の場合は営業)

Web:Auberge “eaufeu” 公式サイト

*価格はすべて税込です。

writer profile

Saori Nozaki

野崎さおり

のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。

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