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毎年更新している“似顔絵マップ”。6年分を通して見えてきた、地域の変化とは

  • 2023年3月15日
  • コロカル
地域の話題を入れ込んで、次第に充実!!

私が住む北海道・岩見沢の山あいの地域を紹介するマップづくりを始めたのは2017年。マップの名前は〈みる・とーぶmap〉。この地域一帯は東部丘陵地域と呼ばれていて、「東部」を「見る」で〈みる・とーぶ〉とつけた。

毎年欠かさず更新を続けていて、今回で6度目の更新となる。表面は写真とスポット紹介、裏面は似顔絵マップとなっていて、似顔絵の制作やデザインも私が担当している。当初は、いわゆる観光スポット的な場所の少ない地域にあって、いちばんの魅力はそこに暮らす人なのではないかと考えて、似顔絵がメインのマップとなっていた。表面には、この地域がさまざまなエリアに分かれていたため、その特徴をざっくりと紹介してきた。

2017年、最初につくったマップ。表面では万字、毛陽、美流渡、朝日などエリアごとの特徴を紹介。

2017年、最初につくったマップ。表面では万字、毛陽、美流渡、朝日などエリアごとの特徴を紹介。

それがやがて年を重ねるごとに、ゲストハウスや体験施設が増え、旅人が立ち寄れるスペースもできたことから、店舗などの紹介コーナーを設けるようになっていった。

昨年のもの。店舗など立ち寄れるスポットが増えている。

昨年のもの。店舗など立ち寄れるスポットが増えている。

今年の更新では、思い切ってイメージを大きく変えることにした。表紙となる部分には、これまで「みる・とーぶ」のロゴマークを掲載していたのだが、今回からは美流渡に3年前に移住した画家・MAYA MAXXさんが描いたクマの顔に。また、クマのまわりにはMAYAさんが描いてくれたハートを散らした。

右側が表紙の部分。地域全体を示したマップにはMAYAさんが描いたクマの絵がどこで見られるのかのポイントも入れた。

右側が表紙の部分。地域全体を示したマップにはMAYAさんが描いたクマの絵がどこで見られるのかのポイントも入れた。

美流渡(みると)の閉校した校舎。(撮影:久保ヒデキ)

マップの表紙となったクマの顔は、実は美流渡の閉校した校舎に描いたクマ(右下)からとられている。(撮影:久保ヒデキ)

 

そして一昨年、昨年とMAYAさんが地域のさまざまな場所に描いた絵についての紹介コーナーを設けた。それは看板やシャッターといった平面だけではない。赤字が続いていた路線バスが廃止され、昨年春より運行が始まったコミュニティバスの車体にも絵が描かれた。そのほか、MAYAさんの活動拠点となっている旧美流渡中学校をはじめ、巨大な食品倉庫に描いたクマなど、地域にひとつまたひとつと絵が増えている状況も紹介。いずれの絵もバス路線にそって設置されているので、バスに乗りながらMAYAさんの絵を見る旅もできるようになっている。

左下がコミュニティバスの紹介。右側がMAYAさんの絵が見られるスポット紹介。

左下がコミュニティバスの紹介。右側がMAYAさんの絵が見られるスポット紹介。

コミュニティバスの車窓からもMAYAさんの絵を見ることができる。(撮影:久保ヒデキ)

コミュニティバスの車窓からもMAYAさんの絵を見ることができる。(撮影:久保ヒデキ)

似顔絵マップには新しい顔ぶれが登場!

似顔絵マップの全体。

似顔絵マップの全体。

今回、似顔絵マップのほうでは、昨年からこの地域に着任して活動を始めている地域おこし推進員(協力隊)のみなさんを新たに掲載した。岩見沢出身の藤嶋裕介さんは、江別市にある酪農学園大学在学中に、東部丘陵地域のひとつ、朝日町の猟師に弟子入りし、猟師としての活動を開始。その後、新潟で活動をしたのち、この地域に戻り、現在、鹿肉の販売も行っている。

右が地域おこし推進員の藤嶋さん。左が師匠の原田さん。

右が地域おこし推進員の藤嶋さん。左が師匠の原田さん。

魚住駿さんは、札幌の東海大学の4年生であり、地域おこし推進員。地域の農家の作業を手伝いながら、趣味のコーヒーと映画に関するプロジェクトを実施している。

魚住駿さん。

魚住駿さん。

似顔絵を描いているところの動画。魚住さんはなかなか似なくて何度も描き直した。

また、森末愛美さんは、地域の小学校のサポート活動をしながら、スキー競技に取り組み、全国大会にも出場。アートにも興味を持ち、地域の子どもたちの絵の発表の場をつくったりもしている。

森末愛美さん。

森末愛美さん。

この地域の人口は600人ほど。そこに3名の新しい人材が入ることで地域に新しい風が吹くきっかけになるのではないかと思う。今後、マップに記載できるスポットが生まれるのではないかと密かに私は期待している。

1年経つと地域の状況に変化が起こる。それを記録する役割も

一方で、地域から旅立っていく人もいる。店舗が数えるほどしかない美流渡地区に2018年にオープンしたスープカレーのお店〈ばぐぅす屋〉は、この春、岩見沢の市街に移転して営業をすることとなった。私も子どもたちといつも利用していたお店だったことから、移転はとてもショック。店主の山岸槙さんは、当初、2店舗目を近隣の市でオープンさせようと動いていたが、なかなかいい場所に巡り会うことができず、そんななかで、まちなかで新しい複合施設が生まれる計画を知ったという。

美流渡とまちは車で20分ほど。北海道の感覚ではとても近い場所であることから、ひとまずはまちなかに店舗を移すことを決意。「美流渡は愛着があるし離れたくない気持ちもいっぱい。移転したら、まちで美流渡を宣伝したり、ずっとつながっていたいと思っている」と槙さん。移転といってもいつでも通える距離だし、まちの人たちにもこの味を知ってほしいと思うので、この地域を応援してくれる拠点が広がっていくと考えれば、ありがたいことだ。

今回のマップでは槙さんの似顔絵とともに移転情報を掲載。

今回のマップでは槙さんの似顔絵とともに移転情報を掲載。

滋味深き味わい。スープカレーとスパイスカレーがあり、どちらも体が温まる。(撮影:佐々木育弥)

滋味深き味わい。スープカレーとスパイスカレーがあり、どちらも体が温まる。(撮影:佐々木育弥)

パッと見ると、それほど変わっていないように感じられるマップだが、こんなふうに人の出入りがあり、また細かく見ると、営業日が変わったり、営業スタイルが変わったりしている。その変化は、日々、自分たちの暮らしや仕事をどうやって最適化していくのかを考えていくプロセスのように感じられる。マップの変更確認は、それぞれの店舗を訪ねたりメールしたりと地味な作業なのだけれど、みなさんが今何を考え、どう動いているのかがわかって感慨深くもあるのだ。

今年のスポット紹介。

今年のスポット紹介。

そして……、自分の変化に気づくことも。もう、6年も続けているので、老眼がかなり進んでいることを実感。以前に読めた文字が読めなくなってしまっていて苦笑いをしつつ、編集者として同じ仕事に6年も関わることができていることの喜びも噛み締めている。

さて、ここから1年たって、また地域の風景はどう変わっていくのだろう?マップは地域を紹介するためのものだけれど、長く続けていくと変化の記録となっているところにおもしろさを感じている。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、『みづゑ』編集長、『美術手帖』副編集長など歴任。2011年に東日本大震災をきっかけに暮らしの拠点を北海道へ移しリモートワークを行う。2015年に独立。〈森の出版社ミチクル〉を立ち上げローカルな本づくりを模索中。岩見沢市の美流渡とその周辺地区の地域活動〈みる・とーぶプロジェクト〉の代表も務める。https://www.instagram.com/michikokurushima/

https://www.facebook.com/michikuru

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