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甘くて刺激的な池袋ウエストゲートサンド完成!池袋 西口エリアで勝手にサンドづくり

  • 2023年3月7日
  • コロカル
商店街サンドとは

〈商店街サンド〉とは、ひとつの商店街(地域)で売られているパンと具材を使い、その土地でしか食べられないサンドイッチをつくってみる企画。必ずといっていいほどおいしいものができ、ついでにまちの様子や地域の食を知ることができる、一石二鳥の企画なのだ。

人気が再燃している池袋西口エリアが舞台!

今回やってきたのは東京都の豊島区池袋。そのなかでも西口エリアだ。

いま、ネット配信で人気が再燃しているドラマ『池袋ウエストゲートパーク』通称「I.W.G.P.」の舞台でもある。

放送当時(2000年)、純な学生だった私は、下ネタが多く闇の世界を描いているそのドラマを見て、池袋は怖いところなんだ……という印象を持っていた。いや、もちろん架空の話だし、怖さを超えてめちゃくちゃおもしろいドラマなんですけども。

左から、この辺りが地元の深野さん、小堺(私)、学生時代からなにかと池袋にご縁がある大塚さん。

左から、この辺りが地元の深野さん、小堺(私)、学生時代からなにかと池袋にご縁がある大塚さん。

今回は私の友人の大塚拓さんと、大塚さんが紹介してくれた池袋出身の深野弘之さんにまちを案内してもらう。

実際の池袋西口とはどんな感じかを聞きながら、サンドの食材を買い集めよう。

デパートや飲食店で駅前はめちゃくちゃ賑やか。

デパートや飲食店で駅前はめちゃくちゃ賑やか。

ドラマの舞台となった西口公園へ

せっかくなので、まずはドラマのタイトルにもなっている西口公園へ。池袋には何度も来ているけど、実際行くのは初めてだ。

近代的! 主人公のマコトたちはもうここにはいなそうだ。

近代的! 主人公のマコトたちはもうここにはいなそうだ。

池袋ウエストゲートパークの放送当時より、ずいぶん明るく開けた感じがする。豊島区は近年アートカルチャーで売り出しているそうで、隣の東京芸術劇場とセットでとても近代的に見えた。

ただ安心してほしい。西口には飲み屋街やラブホ街もあり、カオスなのは当時から変わっていないそうだ。いまだに昼から飲んだくれた人たちが将棋を打っている光景は健在だという。

飲み屋には困らない池袋。駅から少しずつ離れてみよう。

飲み屋には困らない池袋。駅から少しずつ離れてみよう。

いろんなお店が乱立して、なんでもあるように見える池袋。ただこの辺には、商店街によくある肉屋などのベーシックなお店がほとんどないそう。それはもう、イメージ通りだ。

唯一あるお魚屋さんはこの日残念ながら定休日だった。

かつては瀬戸物屋や果物屋などの個人商店が並んでいた場所は、今はみんな飲み屋になってる。

かつては瀬戸物屋や果物屋などの個人商店が並んでいた場所は、今はみんな飲み屋になってる。

そのかわりに、店主の目利きがすばらしいという魚料理で大人気の〈定食 美松〉、「西池袋」の宝と呼ばれる喫茶店〈ドリームコーヒー〉(定休日だった)、出身でもないのに愛媛が好きすぎる店主がつくった私設の〈愛媛アンテナショップいよかん〉(定休日だった)、月に1回麺マルシェとして個人向けにも麺をおろしてくれる〈山口や製麺所〉などを案内してもらった。

うわー、ジックリ歩くと興味深いお店がたくさんあるんだな!

「西池袋の宝」と深野さんが断言したドリームコーヒー。今度行ってみたい。

「西池袋の宝」と深野さんが断言したドリームコーヒー。今度行ってみたい。

まずはパンをゲット!

さて、サンドイッチに必須のパン屋さんに行こう。目をつけたのは、福井県からやってきた〈PANTES(パンテス)〉さんだ。

元々はあんこをたっぷり混ぜ込んだ、もっちり&しっとりとした〈あん食パン〉が看板メニューのパン屋さん。ほかにも栗やサツマイモ、かぼちゃなど季節に合わせたスイーツ系のパンを販売している。

その中から唯一甘くない〈チーズ&黒胡椒〉のパンをゲットした。

福井から届くかわいらしいパンたち! 福井名物の羽二重餅が入ったあんパンなんかもあります。

福井から届くかわいらしいパンたち! 福井名物の羽二重餅が入ったあんパンなんかもあります。

無事にパンをゲット!

無事にパンをゲット!

突如現れる池袋のオアシス〈ニシイケバレイ〉

さて、ここから今回特に注目してほしいエリアに入る。池袋駅から要町駅を結ぶ大通りから少し入ったところに、突如現れる癒しの空間があるのだ!

今回の案内人である深野さんが、自分がもっている土地をつかって2年ほど前からちょっとずつ広げていっているオアシス、〈ニシイケバレイ〉>である。

バレイとは谷という意味。西池袋の高いビルに囲まれた場所にあるからそう名づけられた。

バレイとは谷という意味。西池袋の高いビルに囲まれた場所にあるからそう名づけられた。

もともと深野さんの自宅があった場所をつかって、「住人たちの関係が増えていけばいいな」という考えから、この空間は生まれた。

最初は〈チャノマ〉というカフェをオープン。その後、器などの手づくり作品が並ぶショップや、レストラン、曜日ごとに飲食店が変わるシェアキッチン、コワーキングスペースなんかもできた。

カフェ〈チャノマ〉には今やインスタなどで見つけた若者たちが詰めかける。深野さんの家だった頃からある柚子の木には、鳥の巣箱が乗っててかわいい。

カフェ〈チャノマ〉には今やインスタなどで見つけた若者たちが詰めかける。深野さんの家だった頃からある柚子の木には、鳥の巣箱が乗っててかわいい。

こちらの建物の1階はすてきなレストラン。

こちらの建物の1階はすてきなレストラン。

2階は曜日ごとに変わるシェアキッチン。この日は高校生たちが発案・主導でメキシコ料理のお店を出していた。接客も上手で、若いのに尊敬!

2階は曜日ごとに変わるシェアキッチン。この日は高校生たちが発案・主導でメキシコ料理のお店を出していた。接客も上手で、若いのに尊敬!

隣には会員制で借りられるワーキングスペース。

隣には会員制で借りられるワーキングスペース。

レストランの裏にある庭では、畑や池を手づくり中。いずれ蝶や鳥が舞い、魚が泳ぐような生態系をここにつくりたいらしい。

深野さんが楽園の創造主のように見えてきた。

家々を隔てていた塀をとっぱらったことで見通しのいいエリアになった。また、足元のコンクリートにはあえてスリットを入れて、草がのぞくようにしたらしい。左の用具入れも手づくり。

家々を隔てていた塀をとっぱらったことで見通しのいいエリアになった。また、足元のコンクリートにはあえてスリットを入れて、草がのぞくようにしたらしい。左の用具入れも手づくり。

趣きある場所だなあ。

これまで池袋ウエストゲートパークに抱いていた池袋の恐いイメージが一掃された。なにせニシイケバレイでは子どもたちのキャッキャという楽しそうな声があちこちから聞こえるのだ。

子どもたちの楽しそうな声につられて行ったら、パルクール教室をしていた!

子どもたちの楽しそうな声につられて行ったら、パルクール教室をしていた!

隣接するマンションの階段を登ると、パルクールの設備があり、まるで忍者のように自由に飛び回る子どもたちが。

パルクールとは移動しながら体をきたえる運動で、どんな場所でも好きなところにいける身体能力が身につく。このステージには棒や板などの使い方がよくわからないものがあるのだけど、それを使って自分なりの動きを探しながら鍛えるのだそうだ。

なんと『SASUKE』で常連の佐藤さんがコーチでした!

なんと『SASUKE』で常連の佐藤さんがコーチでした!

コーチは、高校生のときから『SASUKE』に出場し、いまや日本パルクール協会会長である佐藤 惇さん。えー!

教室は基本予約制だけど、あいていたら当日参加も可能とのこと。また、大人向けの教室もあるそうだ。

ほかにも、駐車場には「ジム」と呼ばれる小屋があって、子どもたちはその中でも運動できる。自分が小さい頃にこんな場所が近所にあったら最高だったなと思った。

ニシイケバレイでは、〈焼き芋 よろず〉で焼き芋をゲット!

ニシイケバレイでは、〈焼き芋 よろず〉で焼き芋をゲット!

そして駐車場のひとすみには、かわいらしい焼き芋屋さんの屋台がある。実は案内人の大塚さんの奥さん・和佳さんが週に1回出しているお店なのだ。(10月頃から3月いっぱいまで。詳細はインスタグラムにて)

和佳さんのお兄さんが山形・庄内砂丘で育てた無農薬の熟成安納芋を焼いて売っている。

焼き芋の甘い香りがただよう……たまらん! 皮も食べられるから食感もよくて、おやつに最高。

焼き芋の甘い香りがただよう……たまらん! 皮も食べられるから食感もよくて、おやつに最高。

小ぶりの安納芋がたくさん入って1袋500円。昨年わたしはこの焼き芋を食べにきて、また絶対食べたいと思い今回の商店街サンドの舞台に選ばせてもらったのだ。

あー。ニシイケバレイだけで紹介したくなるものが盛りだくさんだった……!ほかにも周辺を散策しよう。

散策がたのしい西池袋

西池袋には、とてもすてきな外観の立教大学がある。閑静で散歩にぴったり。

西池袋には、とてもすてきな外観の立教大学がある。閑静で散歩にぴったり。

江戸川乱歩が住んでいた屋敷もある。一般見学もできるのだ。知らなかった!

江戸川乱歩が住んでいた屋敷もある。一般見学もできるのだ。知らなかった!

立教大生たちが歴代で御用達の飲食店が入る〈味の十番街〉通りを散策。

立教大生たちが歴代で御用達の飲食店が入る〈味の十番街〉通りを散策。

チーズ&黒胡椒のパンに、焼き芋までは決まっている。そこに何が合うのかを想像しながら探した。

〈味の十番街〉の中に入っているクレープとアイスを売っているお店。

〈味の十番街〉の中に入っているクレープとアイスを売っているお店。

お酒入りのアイスを買ってみました!

お酒入りのアイスを買ってみました!

最近オープンしたという〈ジラフクレープ〉。クレープがメインのお店のようだが日本酒や焼酎などお酒入りのアイスが7種類も並んでいた。(ノンアルコールも3種類あり)

ニシイケバレイのカフェ〈チャノマ〉の冷凍庫を使わせてもらえるというので、このシリーズで初めてのアイスに挑戦してみることに。

そして最後は、散策中に目をつけていたインド料理屋さん〈GARA スパイスレストラン〉へ。

タンドリーチキンをオーダー。

タンドリーチキンをオーダー。

こちらではメニューにあるものすべてをテイクアウトできるとのこと。常連客である深野さんは、たまにナンをテイクアウトして家で楽しむこともあるそうだ。本格インド料理を家で手軽に食べられるなんて羨ましい!

チキン2種類をゲット!

チキン2種類をゲット!

楽しいサンドづくり

食材がすべてそろった。ニシイケバレイの駐車場に戻り、子どもたち向けの本がつまった小屋をお借りしてそこで食べることに。

今回集まった食材はこちら!

今回集まった食材はこちら!

おのおのサンドづくり開始。

おのおのサンドづくり開始。

大塚さんは、奥さんが焼いた焼き芋をパンに塗った。芋がやわらかいからこそできる技だな!

大塚さんは、奥さんが焼いた焼き芋をパンに塗った。芋がやわらかいからこそできる技だな!

焼き芋をパンに塗るという発想

大塚さんは当然のように焼き芋をパンに塗り、ついでに皮も乗せた。いつもこうやって食べているそうだ。

私も真似してみる。焼き芋の皮を少し剥いて押し出してみると、ホクホク系焼き芋とはまるで違って、すでにペースト状のような芋が飛び出てくる。それをスプーンで塗りたくった。これだけでおいしそう!

あとはチキンをちぎって乗せ、アイスを添えた。

でーきたー!

でーきたー!

大塚さん作のオープンサンド。最後に添えたアイスがまるでサワークリームみたい。

大塚さん作のオープンサンド。最後に添えたアイスがまるでサワークリームみたい。

こちらは深野さんがつくったサンドの断面。おいしそう!

こちらは深野さんがつくったサンドの断面。おいしそう!

みんな子どもみたいな顔になってる。腹ペコなのだ。いただきます!

みんな子どもみたいな顔になってる。腹ペコなのだ。いただきます!

子どもに隠れて食べたい大人向けサンド完成!

はーめちゃくちゃおいしい……子どもにはまだ早い、池袋ウエストゲートパークのようなサンドができた。

辛味のきいたジューシーなタンドリーチキンとスパイシーなチーズ&胡椒パンが合うこと!それをあまーい焼き芋がやさしく包み込んでくれる。今回思い切ってチャレンジしてみた日本酒アイスは、バニラのような甘さはなく、口の中をスッキリサッパリしてくれた。

そういえばカレー屋にいくとヨーグルトなどの乳製品が添えられていて、混ぜながら食べることがあるけど、今回はその役目を日本酒アイスが担ってくれたわけだ。

食べていると、大塚さんのお子さんのたつき君が部屋をのぞき、食べたそうにしていた。でもごめんよ。辛いし日本酒入ってるし、これは大人向けなんだ。

外では子どもたちの元気いっぱいな声が聞こえる。そんな平和な空間のなかで、大人だけでこっそり食べるサンド。最高においしかったです!

「出たとこ勝負で楽しかった!」深野さん

「出たとこ勝負で楽しかった!」深野さん

深野さんの感想

「出たとこ勝負のぶらり散歩で具材を探し、最終的に唯一無二のサンドイッチをおいしくほおばる!『商店街サンド』という企画の醍醐味を体感させていただきとても楽しかったです。ゆっくり歩けばまちにはまだまだ宝が発掘できますね」

「サイコーでした!」と大塚さん。

「サイコーでした!」と大塚さん。

大塚さんの感想

「都会の真ん中にも、こんなほっこりするところがあるんだなぁと、ニシイケバレイと出会ったのが2年半前。そこから妻の焼き芋チャレンジが始まり、今回大好きなこの企画の案内役として参加できるなんて。サイコーでした! 西池袋の知らなかったところ&よろずの焼き芋の新たな可能性⁉︎ を発見できました」

さて次は、どのまちで勝手にサンドをつくろうか。

●池袋西口サンド(I.W.G.S.)レシピ

パンテスの胡椒&チーズパン………1枚420円焼き芋よろずの焼き芋………1袋500円ジラフクレープのアイス(八海山と柚子レモン酒)………1100円GARAの壺焼きチキンティカ(ハーブスパイス焼きとタンドリー焼き)………6p 990円合計……3010円

writer profile

Maruko Kozakai

小堺丸子

こざかい・まるこ●東京都出身。読みものサイト「デイリーポータルZ」ライター。江戸っ子ぽいとよく言われますが新潟と茨城のハーフです。好きなものは犬と酸っぱいもの全般。それと、地元の人に頼って穴場を聞きながら周る旅が好きで上記サイトでレポートしたりしています。

credit

撮影:水野昭子

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