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農家が野菜を育て、野菜くずを食べたニワトリの卵をいただく。小豆島で育む循環型社会。

  • 2023年1月30日
  • コロカル
農家にとって、冬はゆったり過ごせる季節

穏やかな冬の日々、私が大好きなシーズンです。ホームメイカーズは、毎年1、2月はカフェの営業を冬季休業というかたちでお休みしていて、いつもよりゆったりとしたペースで過ごしています。

この時期は私たちにとってとても大切で、昨年の野菜栽培や経理を振り返って、今年の計画を立てたり、気になっていた場所や仕組みをメンテナンスしたり、自分のことも、まわりの環境のことも、整える時間。なんなら、ずっと続いてほしいと思うくらい好きな時期です。とはいえ、働かなければ(笑)。

穏やかな冬の農村。山歩きしたときに、山の上から眺めた私たちが暮らす小豆島肥土山(ひとやま)集落。

穏やかな冬の農村。山歩きしたときに、山の上から眺めた私たちが暮らす小豆島肥土山(ひとやま)集落。

カフェは冬季休業中ですが、野菜の栽培と出荷作業はいつもどおりしています。毎週火曜日と金曜日が野菜の収穫&発送日です。

野菜出荷作業の日。畑で収穫してきた野菜をひとつひとつ整えていきます。

野菜出荷作業の日。畑で収穫してきた野菜をひとつひとつ整えていきます。

洗ったにんじん。なるべく葉っぱも含めてまるごとお届けするようにしています。

洗ったにんじん。なるべく葉っぱも含めてまるごとお届けするようにしています。

先日の野菜出荷の日、とってもいいなぁと感じたことがありました。今回はそのいいなぁと感じたことについて書きたいと思います。

野菜出荷の日は、いつもの畑作業メンバーに加えて、出荷お手伝いメンバーが来てくれます。私と同世代の女性たち。小豆島で暮らすようになってから仲よくなった友人だったり、もともとは野菜を購入してくれていたお客さんだったり、つながったきっかけはさまざまですが、今はみんなともに働く仲間であり、友人でもあるメンバーです。収穫チーム4人、出荷チーム4〜5人の合計8〜9人で朝から作業をしています。

野菜ひとつひとつに、名前と特徴、料理方法などを書いたシールを張っていきます。

夕方4時頃に郵便局さんが集荷にやってくるので、それまで終わらせなければとみんな必死に作業。

 

人が9人くらい集まって働くと、まぁまぁ賑やかで活気があります。各自がパソコンの前に座って働くような、いわゆるデスクワークではないので、みんな動きながら話しながら、ワイワイガヤガヤ働きます。出荷の手伝いに来てくれる友人たちはみんなおしゃべりするのが大好きで、手を動かすのと同じくらい口も動いてますね(笑)。

夕方4時頃になると、事前に注文していただいた野菜セットをお客さんたちが受け取りに来ます(野菜セットは遠方の方には郵送でお届けしていますが、近くの方は直接取りに来られます。送料がかからなくてお得です)。朝からせっせと洗ったり、切ったり、選別したりして整えられた野菜を詰め合わせたセットをお渡しします。受け取りに来るのは、主には小豆島で暮らしている人たちなのですが、時々旅行で島に訪れた方がバーベキューや自炊するための食材として注文していただき受け取りに来られることもあります。

その時期に採れる旬の野菜9品ほどを詰め込んだ「旬野菜セット」。

その時期に採れる旬の野菜9品ほどを詰め込んだ「旬野菜セット」。

野菜の出荷作業場が出会いの場に

同じ頃に軽トラでブーンとやってくるのは、島で豚を飼育している〈鈴木農園〉の鈴木さん。出荷作業の日には、白菜やキャベツの外葉など出荷する野菜から切り落とした部分がたくさん出ます。畑に戻すものもありますが、豚ちゃんたちのごはんとして鈴木さんが引き取りに来てくれます。同じように、島でニワトリを飼育している〈222たまご〉のひとみちゃんもやってきます。ニワトリちゃんたちも野菜大好き。冬場は雑草も減ってしまうので、野菜の葉っぱはとても貴重なニワトリのごはんになるそうです。

という感じで、野菜出荷の日は、たくさんの人たちが野菜の出荷作業場にやってきて、いろんな人同士が出会うんです。

先日、222たまごのひとみちゃんが野菜くずを引き取りに来るときに、育てているニワトリが産んだ卵を持ってきてくれました。少し古くなってしまったけどよかったら食べてと。そのときはありがたくいただきましたが、「卵がたくさんあるなら販売してよー、買いたいー!」という話になって、翌週、卵をたくさん持ってきてくれました。

小豆島でニワトリを育てている222たまごのひとみちゃん。

小豆島でニワトリを育てている222たまごのひとみちゃん。

卵。

さっそく、私の大好きな卵かけごはん。小豆島産の醤油とオリーブオイルをかけていただきます。

 

急きょ、農家の野菜出荷作業場で、卵屋のポップアップストア開店!ホームメイカーズのスタッフやお手伝いメンバーはもちろん、野菜を受け取りにきていたお客さんも卵を購入してくれて、完売しました。そのときのやりとりの雰囲気がとてもよかったんです。つくり込まれた“売ると買う”の場ではなくて、卵を売りたい人と卵を買いたい人が、野菜をきっかけに同じ場所に居合わせたことで自然と生まれたそのやりとり。あー、島のこういう暮らしっていいなぁと思いました。

222たまごのひとみちゃんが卵を持ってきてくれて販売してくれた日。このときの雰囲気がとてもよかった。みんな自然と笑顔。

222たまごのひとみちゃんが卵を持ってきてくれて販売してくれた日。このときの雰囲気がとてもよかった。みんな自然と笑顔。

つくる人、食べる人の顔が見える暮らし

生産者と食べる人が近くにいる食べる人もまたほかの何かの生産者であるつくったものとつくったものが循環する

野菜を育てる、その野菜を食べて育ったニワトリが卵を産む、その卵を食べる人が野菜を育てる、そうやって循環しているんです。あー、いろいろなことがつながっているなぁ、これが小豆島の暮らしのコミュニティなんだなぁと。

私たちはただ野菜を育てて販売しているだけじゃなくて、野菜を育てることを介して、みんなが働く場を生み出し、つながりを生み出し、コミュニティを育てているんだと思うんです。そう考えたら、なんだかちょっと農家であることがうれしくなっちゃって。

ホームメイカーズの頼れる畑チーム。極寒の畑でも作業。

ホームメイカーズの頼れる畑チーム。極寒の畑でも作業。

野菜出荷の日に起こった小さなすてきなできごと。なんでもない普通のことなのかもしれないけど、私たちがいろんな人たちと関わりながらここで野菜を育てているから生まれたこと。こういうちょっとうれしい日々のやりとりが増えていくといいなぁと思います。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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