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まちを体現する林業、漁業、航空開発、アニメ・マンガづくりが盛んなあの場所、この場所

  • 2023年1月27日
  • コロカル
今月のテーマ 「まちの産業」

特色を生かしたそのまちならではの特産物や名産品は全国に数多くあります。今回はまちで盛んな「仕事」「産業」という側面から全国の都市を深堀りしてみました。

自然の恵みを産業にしている地域から、新たなものを創造する都市まで幅広く紹介します!

みなさんのお住まいのまちの産業についてちょっと考えてみてください。まちの新たな魅力が見つかるはずです。

【北海道羅臼町】サケ、イカ、ブリ、サバがどっさり! 「魚の城下町」の定置網漁

世界自然遺産の知床を有する羅臼町は自然だけでなく「魚の城下町」といわれるほど漁業も盛んなところ。羅臼の海は一年通してさまざまな魚種がとれるのですが、いちばん盛り上がるのは9〜11月の秋鮭定置網漁。漁獲量もほかの魚に比べて最も多いんです。

深夜2時頃、まちは寝静まっていますが、港にぞくぞくと漁師さんが集まってきます。船に乗り込み、真っ暗な海原へ出港。

15分ほど進んで、定置網のポイントに着いたら全員で一斉に網を手繰ります。網の中にはサケを中心にイカ、ブリ、サバなどさまざまな魚がどっさり入っていました。

港に戻り、種類、雌雄、大きさごとに1匹ずつていねいに選別していきます。

港に戻り、種類、雌雄、大きさごとに1匹ずつていねいに選別していきます。

この魚たちは朝の間に羅臼漁港市場で競りにかけられて、その日のうちに札幌や東京へ配送されていきます。町内の加工場や飲食店へもすぐに配送されます。

羅臼で鮮魚を買うなら、道の駅〈知床・らうす〉の隣、羅臼漁協直営の〈海鮮工房〉へ。その日にとれた魚たちが並んでいるので、旬の魚を知るのにももってこいです!

羅臼で鮮魚を買うなら、道の駅〈知床・らうす〉の隣、羅臼漁協直営の〈海鮮工房〉へ。その日にとれた魚たちが並んでいるので、旬の魚を知るのにももってこいです!

遠くにお住まいの方は、ふるさと納税でも羅臼の海産物がたくさん出品されていますのでぜひご覧ください!ほかには、ブリやウニも羅臼のものはおいしい! と評判です。

information

海鮮工房

住所:北海道目梨郡羅臼町本町361番地

TEL:0120-530-370

Web:海鮮工房

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佐脇 星 さわき・ひかり

兵庫県神戸市の人工島で生まれ育つ。子どものときに読んだ「シートン動物記」をきっかけに野生動物が好きになり、「野生動物の息吹を身近に感じられるところに住んでみたい」という思いから、大学卒業後、世界自然遺産の町である知床羅臼町の地域おこし協力隊に着任。関西人から見た羅臼町の魅力をSNSで発信している。

【東京都武蔵野市】「アニメのまち」として世界に日本のアニメーションを発信!

武蔵野市の主な産業は第3次産業で、事業所の業種では卸売業をはじめ、小売業、宿泊業、飲食サービス業、不動産、物品賃貸業が約6割を占めています。

そんななか、マンガやアニメ文化の発信地としても注目され、武蔵野市の産業のひとつとなっています。

アニメだけでなくドラマなどのワンシーンに登場する吉祥寺駅北口。

アニメだけでなくドラマなどのワンシーンに登場する吉祥寺駅北口。

武蔵野市は、有名な作家が数多く住み、アニメ制作会社が多数拠点を構えていることからアニメとマンガの「聖地」として知られるようになりました。

大きな池のある井の頭恩賜公園は、数々の作品に登場。公園内には〈三鷹の森ジブリ美術館〉もあります。

大きな池のある井の頭恩賜公園は、数々の作品に登場。公園内には〈三鷹の森ジブリ美術館〉もあります。

なぜ武蔵野市に作家やアニメーター、制作会社が集まり、文化を発信しているのだろう?長年住んでいる私も考えたことがなかったのですが、まちの自然や個性的なお店などが、創作意欲をかき立てる刺激的な影響を与える場所が多いからなのだそう。

吉祥寺駅前にある商店街〈ハモニカ横丁〉は、アニメーターや漫画家がよく立ち寄るスポットのひとつ。

吉祥寺駅前にある商店街〈ハモニカ横丁〉は、アニメーターや漫画家がよく立ち寄るスポットのひとつ。

特に吉祥寺のまちは、数々の有名なアニメやマンガの舞台になっており、作品のモチーフとなった場所も多く点在しています。作品のアイデアが生まれたお店や、クリエイターたちが疲れを癒やしたお店など、誰もが知っている有名なアニメやマンガに携わる人たちとまちのどこかですれ違っているかもしれません。

〈ハモニカ横丁〉の様子。狭いエリアに100件ほどの商店が並んでいて、まるで物語のなかに迷い込んだようにも感じられます。

〈ハモニカ横丁〉の様子。狭いエリアに100件ほどの商店が並んでいて、まるで物語のなかに迷い込んだようにも感じられます。

現在、武蔵野市では、武蔵野商工会議所や武蔵野観光機構などとともに、アニメ&マンガにまつわるイベントを開催。

『アニマン祭』

1月にはその第1弾として、タツノコプロ創立60周年記念イベント『アニマン祭』を開催。2月は『吉祥寺アニメーション映画祭』など、アニメの聖地・武蔵野市ならではのイベントが行われます。アニメ好きのみなさん、ぜひチェックしてみてください。

information

アニマン祭

TEL:0422-22-3631(武蔵野商工会議所 アニマン祭運営事務局)

メール:gyoumu@musashino-cci.or.jp

Web:アニマン祭

吉祥寺アニメーション映画祭

TEL:0422-23-5900(武蔵野市観光機構 )

Web:吉祥寺アニメーション映画祭

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Momo*Kinari きなり・もも

ライター・エディター。東京在住。Webや雑誌、旅行ガイドブックで撮影・執筆。 国内外でグルメや観光スポットを取材。たまに料理やモノづくり、イラストの仕事もしています。 Twitter:@Momo_kinari

【北海道下川町】1本の木を余すところなく活用するSDGsな下川町

北海道下川町は、まちの面積のうち約9割が森林に囲まれ、持続可能な森づくりに取り組んでいるまちです。森林資源に恵まれていることもあり、林業・林産業が盛んなまちです。

なかでも、森林の恵みを余すことなく使い切るという「ゼロエミッション」に力を入れています。カスケード利用や木質バイオマスエネルギーの取り組みは、全国的にも評価されました。

1本の木から構造材用に製材するのはもちろん、端材や木の皮はボイラーの燃料にしたり、枝葉を蒸留して精油にしたり、形を変え何度も利用していきます。木炭をつくるときには、炭にならないサイズのものは土壌改良材や融雪材にしたり、炭焼き時の副産物である木酢液も防腐効果のある資材に利用したりします。

カスケード利用とは、利用することにより品質が下がった資源を、その下がった品質レベルに応じて何度も活用することを指します。

カスケード利用とは、利用することにより品質が下がった資源を、その下がった品質レベルに応じて何度も活用することを指します。

また、木質バイオマスボイラーを導入したことにより浮いたお金をつかって、子育て支援や中学生までの医療費無償化を叶えました。

森を通じた取り組みは、未就学児から高校生まで子どもたちの成長に合わせて一貫したプログラムを実施。森林環境教育や森の恵みをみんなで楽しむことをコンセプトにしたイベント『森ジャム』などをはじめ、数多く開催しています。

私が運営している〈A-frame cabin iwor〉も、規格に合わなかった木材を活用。木酢液に漬け込んだ含浸材を外壁にするなど、森の恵みを余すことなく使用しています。

私が運営している〈A-frame cabin iwor〉も、規格に合わなかった木材を活用。木酢液に漬け込んだ含浸材を外壁にするなど、森の恵みを余すことなく使用しています。

cabin内には、林地残材からつくられた作品やバイオマスエネルギーの灰を使った草木染めの作品なども準備しています。

cabin内には、林地残材からつくられた作品やバイオマスエネルギーの灰を使った草木染めの作品なども準備しています。

町民一丸となって持続可能な森づくりを意識して暮らしています。そのことにより、移住者も増加し続けています。

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大石陽介 おおいし・ようすけ

1988年静岡県焼津市生まれ。 小学校教諭として富士山の麓で8年勤務。うち2年は青年海外協力隊(JICA)としてモンゴルへ。 世界自然遺産である『知床』での生活を経て、現在はSDGs未来都市北海道下川町で活動中。ローカルツアー事業を行う〈ぐるっとしもかわ〉代表。1日1組限定の1棟貸しキャビン〈A-frame cabin iwor〉オーナー。

【新潟県新潟市】Niigata Sky Component Association〈NSCA〉が進める航空機産業への挑戦

今回紹介するのは、新潟市が2011年から推し進めている航空機関連産業支援「NIIGATA SKY PROJECT」に賛同した、県内企業7社による航空機産業クラスター、〈Niigata Sky Component Association〉通称「NSCA(ナスカ)」です。

NSCA(

NSCA(

参画企業のみなさんに「NSCA」に挑戦した理由をうかがうと、このような声がありました。

「部品製造の拠点が続々と国外へと移管、また技術者がアジア各国へ流出するようになりました。このままでは、未来ある新潟の技術者が夢や希望を持てなくなるかもしれない。NSCAに参画することで、社員に夢のある仕事をしてほしかったんです」

「自社単独で取り組むより、NSCAとして技術力のある企業と共に活動することで道が拓けると考えました」

ものづくりが盛んな新潟においても、新たな事業を創造することは簡単ではありません。地域経済の活性化を図るため、新潟市が掲げた「航空機産業への挑戦」に賛同した各企業はNSCAとして協力し、互いに企業力を高めています。

NSCA(

NSCAがスタートした目的のなかには「航空部品の一貫生産体制の構築」があります。行政と企業が一丸となり取り組んでいるものの、昨今は新型コロナウイルスの影響で航空機の生産量が激減してしまったそうです。そんな状況下なか、参画している企業の各担当者に今後の取り組みについてお話を伺うとこんな展望が口々に出てきました。

「NSCAと新潟の航空機産業の地名度を上げるためにも、全社の技術をひとつの生産ラインとした一貫生産体制の実現がいちばんの目標です」

「NSCAでしか得られない知識や技術があるんですよね。自社だけでは不足しているノウハウも、連携をすることで補うことができる。これからはより強固な関わりをもって一貫生産体制を目指していきます」

「最終的な目標は、『新潟といえば航空機産業』と認知されること。これからもNSCAの取り組みに、ぜひ注目してください!」

information

Niigata Sky Component Association「NSCA」

Web:NSCA

構成企業:

佐渡精密株式会社(佐渡市)

Web:佐渡精密株式会社

株式会社柿崎機械(上越市)

Web:株式会社柿崎機械

新潟メタリコン工業株式会社(新潟市)

Web:新潟メタリコン工業株式会社

パールライト工業株式会社(新潟市)

Web:パールライト工業株式会社

株式会社丸菱電子(長岡市)

Web:株式会社丸菱電子

戸塚金属工業株式会社(燕市)

Web:戸塚金属工業株式会社

北日本非破壊検査株式会社(新潟市)

Web:北日本非破壊検査株式会社

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齋藤悦子 さいとう・えつこ

新潟在住のフリーライター。しばらく勤め人でしたが、ひょんなことからライターの道へ。南魚沼市→新潟市→阿賀町→新潟市と県内を転居する生活をしています。寝るのが大好き、朝が苦手、スノーボードとたまに登山、ラジオとエッセイとレモンチューハイが好き。Instagram:@suzuki_epi/

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Hikari Sawaki, Momo*Kinari, Yosuke Oishi, Etsuko Saito

佐脇 星/Momo*Kinari/大石陽介/齋藤悦子

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