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スマホを置いて、芋を掘り、栗を剥く。田舎暮らしのすすめ 

  • 2022年10月10日
  • コロカル

いつのまにかスマホに時間を奪われていない?

最近、『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』(著者:カル・ニューポート、翻訳:池田真紀子/早川書房)という本を読みました。

ついつい手にとって見てしまうスマートフォン。無意識にSNSアプリを立ち上げて、スクロールしながら「いいね!」して、はっと気づけば大切な自分の時間が、知らないうちに30分も1時間もなくなっていたり。どうやったら、スマホやSNSに時間を奪われず、余計な情報を見て心をざわつかすこともなく、自分のやりたいこと、大切なことに集中できるのか、そんなことが書かれている本です。

今やどんな地方の末端でもインターネットに接続できる環境があって、離島の農村で暮らしている私たちも、もれなく活動時間のうちのほとんどがオンライン状態で、ピコーンピコーンと鳴る通知に毎日気をとられています。でも地方で商売をする上で、オンラインであることが必須なのも間違いないです。お客さまと直接つながることができて、私たちのことを知ってもらうことができる。

要はその使い方さえ間違わなければすばらしいツールなんですが、最近の私はスマホに時間を奪われぎみ、集中を奪われぎみな状態です。

すっかり秋らしい風景になった小豆島。柿があちこちで実っています。

すっかり秋らしい風景になった小豆島。柿があちこちで実っています。

今年の秋は彼岸花が一斉にとてもきれいに咲きました。

今年の秋は彼岸花が一斉にとてもきれいに咲きました。

この本のなかで、ちょっと興味深かったことがあったので、今回はそのことについて考えてみようと思います。

著者は、「すばらしい人生には質の高い余暇活動が不可欠である」という前提のもと、充実した余暇活動、言い換えると趣味、好きなことを生活に取り入れ始めることで、それまでのスマホ習慣が急につまらないものに思えるようになる。それがデジタル・ミニマリストにつながっていくと書いています。

その質の高い余暇活動としてあげているのが、家をDIYで直したり、草刈りしたり、薪を集めたりする、体を動かす活動。一見すると、それ仕事じゃんというような重労働を趣味として楽しんでいる人たちがいると。

おや?それって、私たちの生活そのものじゃないか!畑で野菜を地道に育て、草刈りをして、薪を集めて、家を直して。この、日々やらなきゃいけないと思っていたことが、実は素晴らしい人生に必要不可欠な趣味として捉えることができるのかと、はっとしたんです。

畑にある大きな栗の木。台風で何本か枝が折れてしまったのでその片付けと栗拾い。

畑にある大きな栗の木。台風で何本か枝が折れてしまったのでその片付けと栗拾い。

久しぶりに一緒に畑に出た娘。

栗拾いに夢中。

集めた栗。早く仕込みをしなければ。

 

農村暮らしは、壮大な趣味を楽しむこと

もちろん、私たちは生業として農業をしているので、日々の作業すべてが趣味かというとそうではないです。お客さまへの責任もあるし、ともに働いてくれる仲間もいるので、自分勝手に好きなときに好きなだけやるというわけにはいきません。

でも、例えば「日曜日に家族でサツマイモの収穫をすること」は仕事なのか、趣味なのかと問われると、仕事でもあるんだけど、家族のレジャーとも捉えられるなと。すごく気持ちのいい秋晴れの日に、家族で一緒に畑に出て、サツマイモを収穫したり、栗拾いをしたり、それってとても幸せな時間だなと思うんです。

毎年恒例になりつつある、じいちゃんと孫の共同サツマイモ収穫。

毎年恒例になりつつある、じいちゃんと孫の共同サツマイモ収穫。

収穫した「紅はるかサツマイモ」。土のなかでこんなにおいしい食べものが育っているなんてうれしい。

収穫した「紅はるかサツマイモ」。土のなかでこんなにおいしい食べものが育っているなんてうれしい。

考え方によっては、田舎で農業をして、農村で暮らすというのは壮大な趣味を楽しむ人生なんだなと。

田舎暮らしってとにかくやることがたくさんあります。伸びた草は刈らないといけないし、薪を集めて割って乾燥させておかないといけないし、庭の桜や柿の木の葉が散ったら掃除しないといけないし、収穫した大量の果実を仕込まないといけないし……。

そのひとつひとつをタスクとしてしまうと、途端に疲れてしまうけど、薪を割ることも、庭の草むしりをすることも、少しだけ意識を変えて好きでやっていると思えれば、それが趣味になり余暇になり、楽しむことができる。

サツマイモ畑からの風景。ここから眺める集落の景色が美しくて、ついついぼーっと眺めてしまう。

サツマイモ畑からの風景。ここから眺める集落の景色が美しくて、ついついぼーっと眺めてしまう。

スマホぽちぽちしてる時間なんてないんです。楽しい田舎仕事が目の前にたくさんあるんです。

小豆島で暮らしてもうすぐ10年、毎日あれしなきゃ、これしなきゃと過ごしています。最近はそういう日々のやることに対する意識が、「やりたい」じゃなくて「やらなきゃいけない」の思考になってしまっていたけれど、単なる仕事じゃなくて、楽しめるように意識を変えていければいいな。変えていこう。そもそも今の生き方は、自分たちが選んでしていることだし。

栗を茹でて皮を剥く作業は地道で大変だけど、ちょっと考え事しながらだったり、ただただ集中していたり、そういう時間は心地いい。

栗を茹でて皮を剥く作業は地道で大変だけど、ちょっと考え事しながらだったり、ただただ集中していたり、そういう時間は心地いい。

さぁ、今日は「拾った栗を茹でて皮を剥いて冷凍しておこう!」それが私の楽しみ。スマホはどこかに置いて、手を動かして、体を動かそう。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。https://homemakers.jp/

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