日常のなかにあるちょっとしたモノやコトで気になっているものってありませんか?
今回は全国にお住まいのみなさんにいま「気になっているもの」を教えてもらったところ、「人」や「食べ物」はもちろん、行動制限が緩和された現在ならではの「お祭り」という声も。
あなたがいまいちばん気になってるものはなんですか?
秋田県にかほ市に暮らし始めたわたしをもっとも驚かせたのは「岩牡蠣」です。夏になると漁港のあたりがいつもより賑やかになったり、魚屋さんや飲食店が色めき立つような雰囲気を感じます。その理由は、市内の海で獲れる岩牡蠣。
殻つきのまま売られていて、その場で剥いてもらい生で食べるのが定番。大きい実をひと口でほおばると、口の中には海の香りと濃厚な牡蠣のミルクが広がります。ひと口でこんなに幸せな気持ちになれるのかと、わたしもすっかり魅力にとりつかれてしまいました。
なぜこんなにおいしい岩牡蠣が獲れるのか。その秘密、実は“森”にあるんです。
まちのシンボルである鳥海山に降り注いだ雨や雪は、森の養分をたくさん吸収して地下へと浸透します。それがまちのあちこちで地表に湧き出し、海へと流れて、おいしい牡蠣を育てているという訳です。
このまちの自然との営みを象徴するような岩牡蠣。にかほを訪れた際には、その味をぜひ一度お試しあれ!
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國重咲季 くにしげ・さき
京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。
東京で開催される阿波踊り祭りのなかでも特に有名なのは高円寺ですが、同じ中央線沿線にある三鷹でも昭和43年から毎年行われているんです。
〈三鷹阿波おどり〉は、三鷹在住、在勤など市内の人が中心となり、30を超える「連」が三鷹駅南口の中央通り商店街で踊りを披露します。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でここ2年ほどは中止に。今年はどうなるのかとても気になっていました。コロナ禍3年目となる今年、三鷹の夏の風物詩の明かりを消してはいけない! と、〈三鷹阿波踊り振興会〉の強い思いのもと、8月21日(日)に復活開催。
〈Re;Start 三鷹阿波おどり〜はじめの一歩〜〉と銘を打ち、規模を縮小しつつ、中央通り商店会で演舞が行われました。
今年はシート張りが禁止となり、声援は拍手のみ。演舞中は踊り子さんたち(出演者)は子どもを除きマスクを装着。あらゆる場所に消毒コーナーを設けるなど、新型コロナウイルス感染症対策もしっかりされていました。
三鷹のまちが活気を取り戻せるようはじめの一歩を踏み出した〈三鷹阿波おどり〉。来年もまた、素敵な演舞が観られますように!
information
三鷹阿波踊り振興会
住所:東京都三鷹市下連雀3-37-15
TEL:0422-49-3111
Web:三鷹阿波おどり
Twitter:@AwaodoriMitaka
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Momo*Kinari きなり・もも
ライター・エディター。東京在住。Webや雑誌、旅行ガイドブックで撮影・執筆。 国内外でグルメや観光スポットを取材。たまに料理やモノづくり、イラストの仕事もしています。 Twitter:@Momo_kinari
阿蘇市在住の県職員、村橋友介さんのライフワークは一風変わっています。7月某日、村橋さんがいたのは隣の南阿蘇村の山の中。「今日はゲストハウスのオーナーから、除草作業の手伝いを依頼されました」(村橋さん)。
そう、〈レンタル公務員〉とはその名の通り、「レンタル」できる公務員。庭の草取りから大工仕事、店番まで、日常生活のさまざまな困りごとを無償で手伝ってくれるという活動です。
この日の依頼は、南阿蘇村のゲストハウス〈豆mame庵(おまめあん)〉の敷地に、キャンプサイト用のスペースをつくること。除草作業というより、もはや開墾作業に近い内容でした。
新人の頃、県職員として担当する山積みの仕事に忙殺され「何のために生きているのか」ということを見失いそうになっていたという村橋さん。この活動を始めてからは、自らの「生きる力」を育てるためには「人とつながること」「経験すること」が大切だと気づいたそう。
依頼主のカナさん(写真中央)、手伝ってくれたユーリさん(写真右)と一緒に。仕事の枠を超えて地域とつながる手段のひとつという位置づけでもあるようです。「レンタル公務員」の活動の様子は、SNSで日々発信しています。
20代の村橋さんが軽やかに口にする「生きる力」という言葉。彼がこれまでに出合ってきたさまざまな人、暮らし、価値観、そして自分自身を見つめなおして辿り着いた、大切なキーワードなのだと活動の様子から感じられました。
「地域にはおもしろい人がたくさんいる。依頼を通して一緒に考えて手足を動かせる機会をもらえることは、お金では得られない価値だと思うんです」(村橋さん)
休日はほぼ〈レンタル公務員〉活動を行なっているとのことですが「もう、楽しくて楽しくて!」と、村橋さんは疲れを微塵も感じさせない笑顔で語ってくれました。
活動時は、つなぎ姿に帽子が基本スタイルの村橋さん。2022年1月から開始し、現在までに20回ほど地域のさまざまなお手伝いを行なっています。「専門知識も技術もない自分に興味を持って声をかけてくれることがとてもうれしいですね」と、この笑顔。
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レンタル公務員
Instagram:@rental_aso
profile
家入明日美 いえいり・あすみ
北海道帯広市から17年ぶりに熊本県へ帰郷。2022年1月南阿蘇村地域おこし協力隊着任。フリー編集者・ライター「たんぽぽのしおり」として活動開始。狼と馬とエゾナキウサギが好き。趣味は読書と散歩。いかにして、「いい肥料となる生き方」ができるか模索中。Instagram:@dandelion_seeds1124
text & photo
國重咲季/Momo*Kinari/家入明日美
Saki Kunishige, Momo*Kinari, Asumi Ieiri